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灘中入試問題(算数)出題傾向分析


はじめに

この記事では、灘中学校において実施された入学試験のうち、1989(平成元)年度から2024(令和6)年度の算数について、どのような問題が出題されているのか、また、過去から現在に至るまで、出題傾向がどのように変化してきているかを独自に調査したものをまとめています。

36年間に出題された計664問に対し、「計算」「数」「規則性」「場合の数」「割合」「文章題」「平面図形」「立体図形」「速さ」「論理」のタグ付けを行って集計し、それを「1989-1998」「1999-2008」「2009-2018」「2019-2024」の10年ごとに分け、出題問題傾向の変化を調査しました。

灘中の算数を分析する意味とは?

灘中学校は言わずと知れた近畿圏における最難関校。入学試験には、全国から受験者が集まることでも知られており、その難易度は日本でも随一と言っていいでしょう。
そして、近畿圏における難関校の入試問題には、「過去に灘中で出題された問題」が用いられていることがかなりあります(勿論、そのままというわけではありませんが)。「『灘でどのような問題が出題されているか』を知る」ことは、「近畿圏の難関校におけるトレンドをつかむ」ことにつながるわけです。したがって、近畿圏で難関校に挑戦されるおうちの方にも参考にしていただけるのではないかと思います。

勿論、灘中を志望されるおうちの方であれば、算数の重要性はご存じでしょう。

灘中学校の入試は土・日の2日間。国語と算数は1日目、2日目の2回に分けて行われ、それぞれ形式や出題傾向も異なっています。算数については、1日目は単問集合、2日目は大問形式になっており、両日とも時間は60分、満点は100点です。国語と算数が200点満点、理科が100点満点の計500点満点となっています。

「同じ200点満点なら、国語も大事じゃないの?」

勿論否定はしません。しかし、国語と算数の違いは、受験者平均点と合格者平均点の差にあります。

こちらは灘中のウェブサイトで公開されている、今年度(2020年からの5年間)の入試結果です。国語、理科は受験者平均と合格者平均の差が10点前後に収まっていますが、算数は20点から30点もの差があることがわかります。
合格する子どもが算数を得点源にしていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

2024年の入試について

今年度の入試について振り返っておきましょう。
1日目の問題数は12。これは、2021年度から変わっていません。
単純計算で1問につき5分ですが、全部の問題を解く必要はないので、どの問題に時間を振り分けるかが大きなポイントです。
2日目の大問数は5。これは、1989年度からのこの調査において、2018年度(4問)を除いて共通です。1日目と違った時間の使い方が求められる構成となっています。

それでは、過去の出題傾向について見ていきましょう。

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