古いものから自選30首

ツイッターでのフォロワーさんも増えたので、自己紹介も兼ねて古いものから30首自選してみました。なにぶん記憶だよりですので、表記が発表時と異なっているかも知れません。ご容赦くださいませ。古いって、おまえいくつだよ!と思われるかも(笑) 詠み始めたのは前世紀からです。

草原の蒼き光を集めつつ君が舞う空 僕はここだよ(奈良県平成万葉千人一首入選歌:久保哲也)

(↓以下、すべて久哲 名義)

切れぬ糸ゆえにあなたはひだまりの象牙細工のようにやさしい

げばらから手紙をもらいたい僕は姫宮アンシーみたいな薔薇なの

もう誰も泳いでいない真夜中のプールに沈む僕のゴーグル

妹の半裸体には兄として羊歯植物の森を添えたい

以上、上の4首は梨の実歌会出詠歌(梨の実歌会過去ログ:メンバーと日付に驚け:笑) http://www.sweetswan.com/nashinomi/noma-iga.cgi

週末の天使が乗った自転車の前カゴにいる虹色の猫

大勢の人がひとりと思ってるくせにやさしく傘を避けあう

お客様お召し上がりになりますかそれとも背中にお付けしますか

勇者ならビニールバットを聖剣にするまで比喩をぼてくりまわせ

言うておきますがわたしの土人形(ゴーレム)は生まれながらにして土足です

冬の火に願いましては指切りの期間延長したあなたでは

今すぐにキラキラ光るシャンデリアそのものにさえダイブしたいね

「祈りならほぼ毎日がそうでしょう色違いならささやきかけて」

ときめいているのがわかる猫の手が来客用の座布団踏んだ

くちびるをとがらせながら浮いてくる人魚はいりませんか たそがれ

以上、12首はうたのわサイトより http://utanowa.net/

唐突に海へ檸檬を投げつけて「太平洋はレモンティーです」

間違いの訂正のため真夜中にじっと見つめる膝小僧とか

ニッポンに生まれたことを最大の浪費に思う誰の背中も

冬みたい とろろ昆布に捕まった気泡のやるせ無さといったら

この位置で足ブレーキをかけるほど切羽詰っていたのだろうか

夜明け前商店街の側溝で赤い人魚が産卵してた

この際だおまえでいいよ当社比で一割増しの虹になれるか?

夢を持つ艶のいくつか泣かないで光の平均値で歌うから

言うなれば地球の表層部に住んで大王イカとか見ているわけだ

大変だ 薄め続けて五年目の修正液がまだ使えます

野っ原でノシイカ食べて青空に麦藁帽の味と申請

ねえ鳩よ 霧の最後のくちびるをくちばしだけで探してごらん

お布団のぬるい彼岸で矢も盾もたまらず姉が羽化をはじめる

石垣に座って君が青空を消し飛ばすまで口笛を吹く

流星は酔っているから間違えても自由落下の手本にするな

以上、15首はブログとか掲示板より。主に各種新人賞の連作や雑詠より抜きました。まとめてみるものですね。今の方がずっとうまい(個人の感想です)

近作はまたアップいたします。感想などいただければ喜びます。





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