ネット考古学による発掘品(笑)

2005年短歌研究新人賞応募作

2005年である。(2度言いました)

緑雨の影響により(*は雑誌掲載首)

街中に緑が多く自生していることなどで深呼吸する

駅間の暗渠の川にひっそりと白い巻貝棲むと言う嘘

最大の理解者ならば妻と言う友人がいる まあそれで善し

そうたとえどんな天気もおまえには退屈だろうデパートガール

急いでも変わらないとは思いつつ歩く速さは誰にも負けず

ふと思う箱庭作り、都市計画、歌を詠むこと。空が暗いぞ

この風は覚えているが人間の集合体は枯れてゆくかも

いつかまた呼ばれることもあるとしてどちら側から振り向くかだな

阪和線人身事故の影響で五分少々遅れています

行きつけのグリーンショップの店員の時の長さは植物時間

学名で何故に記さぬ「御所車」花は元々男の物だ

*再生紙ティッシュで汗を拭うときコンマ5秒のやさしい夢に

階段に座る若者と目が合って世界を譲るそんなことでは

植え込みに潜む男に背を向けて読んだふりするライトノベルズ

青になるまでの秒数表示する交差点から泳ぐ準備を

意識して白い部分を踏むように父の教えを守るいまさら

物量の多さはきっとやさしさと違うのではないか家電量販店

*ニッポンに生まれたことを最大の浪費に思う誰の背中も

支配者の役を演じる箱達をもう電脳と言わなくなった

銀色の森で迷った小鳥なら肩先に居る まだ殺せない

抗えば闇の空しさ一歩ずつ踏み込んでゆく夏の氷室に

戦えるだけの力を持つとして飛び道具より軽い鈍器を

液晶がすでに水なら降り出した雨の一部を含んで深く

弱電の流れの果てをいつのまに創ってしまう群体として

咲くこともあるだろうから夏だけは無事に過ごせと書き込んでみる

指先が痛い棘皮植物を握ったような擬似愛であり

無理にでも傘を広げて逢いに行く期待は常に罪と思うか

僕と俺 使い分けては秀逸な歌を読んでは嫉妬すること

世界など狭いと思う少年の日々がそんなに乾いておれば

もう一度やりなおせることばかり言うあなたが雨にぬれるのがつらい

※ 今年のより良いような気がしますね(笑)

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