FP&AまたはCXとデータサイエンティス

事業会社でFP&A(Financial Planning & Analysis)的な業務なり部門、活動がある企業だと、財務知識を絡めて定量的なリスク計量や事業シミュレーション、企業価値評価といったことを実施する文化や能力があり、具体的なデータサイエンス的な活動につながりやすいと感じている。

fp&aとは

正体不明な言葉から始めてなんだこの記事という方もいると思うの。ザックリいうとFP&Aは財務経理と経営企画が合体したような部門なり機能のこと。もう少し詳しい紹介は以下の記事に。

ちなみにFP&Aがある方が海外の大企業では一般的で、むしろ経営企画というのが日本独自の組織形態だとか。
じゃぁ、なぜ日本がそのようになったかというと、米国の事情を基に大昔の経産省(当時は通産省)が日本企業に指導しようとしたのだが、いわゆる経理部門が日々のオペレーションに追われて経営戦略まで考えてられないということで、財務・経理部門とは別に経営戦略部門を設立したのが始まりとか。

その財務・経理部門の課題感なんかをもっと簡単にだけ知りたければ、三菱UFJリサーチ&コンサルティング オンデマンド動画「よくわかるDX 導入と活用の仕方(財務・経理業務編)」ご紹介 - YouTubeがある。結局は今も昔も変わらない課題が経理・財務分野にはあるということ。
両者がバラバラだったり日々のオペレーションに追われてるとデータ利活用までいかない。それができるかどうかが今後の企業価値を大きく左右するとは思うのだけど(以下略)

CX(コーポレート・トランスフォーメーション)

この周辺の動きが具体化してきたら、FP&Aが形作られたら、その部門では必ず意思決定支援としてのデータサイエンス機能が必要になるはずだ、とFP&A情報を追いかけている。
最近は第16回 産業構造審議会 製造産業分科会の「資料4 製造業を巡る現状と課題 今後の政策の方向性」1章②と、その元論文があった。よくまとめられてる、経産省が言うと「まず自組織でやれ」とは思うけどwww

もう少し探すとグローバル競争力強化に向けたCX研究会報告書―グローバル競争時代に求められるコーポレート・トランスフォーメーション(METI/経済産業省)の方で「CX(コーポレート・トランスフォーメーション)」としてまとめられていた。いわゆる財務経理部門・経営戦略部門を進化させるFP&Aと、人事部門の進化であるHRBPなど、そしてDX自体を推進する部門(CoEなど)をひっくるめたコーポレート部門のトランスフォーメーションなのだとか。
これまではCXというとCustomer Experienceの方じゃないの、と経営戦略やマーケティング、サービスデザインみたいなところに携わっていると思ってしまう。が、データサイエンスの活用シーンが増える気がするのと、会社勤めのみからするとコーポレート部門ちゃんとせいよと思うので、個人的にはコーポレート・トランスフォーメーションが進んでくれた方が嬉しい。

そもそも企画部門って何だろう

経営企画、情報システム企画、事業企画、商品企画……といった企画立案部門が大企業には数多くある。研究開発部門なども同列に扱ってもいい気もするが、そういった部門が、単純にコスト/人員削減の対象となる傾向がある。部門縮小、予算削減、組織名は残っても単なる集計/事務作業しかしない部門になってたり。
その理由は収益に寄与しないから。「優秀な人はどんどん現場で稼がせる」と言う経営者もいて、実際に経営戦略室にカスしか残っていなかった企業もあったっけ。会社の危機に一時的にそうすることはわかるけど。。。

目先の売上・利益を求めるのは当然だけど、現場が闇雲に動くだけでなく、将来の見据えた効果的なマネジメントを考え(経営企画)、それも踏まえつつ現場が効率的に動ける仕組みを作り(情報システム企画、事業企画など)、次のビジネスの弾を作り(商品企画、研究開発など)、市場動向を的確に捕まえたり必要なリサーチを行う(マーケティング、調査部門など)、中長期を見越した活動も企業を永続させるには本来なら必要なはず。
今までそうした部門が役立たなかったなら役立つように立て直すべきだし、そうなるように経営陣がきちんとバックアップすべき。

もちろん現場が一番なのは良いけど、昔よく見た経営陣は、経営を考えるという彼ら自身のミッションを放棄する言い訳として「現場主義」を使い、時に自分達が(企画立案部門の支援を受けつつ)考えるべきことを全て現場に丸投げしていた。そして目先の利益を稼ぐことがミッションの現場部門には、中長期戦略をじっくりと構築する余裕はなく中途半端に終わっていた。
そんな企業は、カリスマ経営者や企画能力を持った経営者、ちゃんと機能する企画立案部門を有する企業には勝てないし、差はますます開くのだろうな、とあの時の企業を眺めている。

実はコンサルタントにとっても、企画立案部門は大切な存在。コンサルタントは所詮外部の人間、最後は企業が自分で動かないと、コンサルタントの成果物は「画に描いた餅」で終わる。そして企業を内側から動かす仕組み・機能・組織こそが企画立案部門のはずだから。
経営陣にそれなりに問題意識があってコンサルティングを発注しても、経営陣がコンサルタントへの対応を現場部門に動機付けせず丸投げしては、現場部門は目先の活動を優先するのは当然。外部の人間が経営と現場の不一致を調整しきれないことも多く、何とか調整しても契約終了後には元の木阿弥になるPJも経験している。よく「コンサルって使えない」という話は聞くけど、本当に使えないコンサルタントがいるのは事実なのだけど、経営と現場の不一致も大きな原因であり、最後に客の中できちんと推進する人が必要なんだな。

社内で経営陣からも大事にバックアップされない、リスクをとって社内調整を頑張ってもコンサルがいなくなった後は現場に突き上げられるだけの企画立案部門の人が、同じ仕事をするならバックアップもあって給料も高いコンサルファームに転職する話すら聞く昨今。
コーポレート・トランスフォーメーションできるかどうかはマジで企業存続のカギを握ると思うんだけど、果たして浸透するかなぁ。。。

他の情報を見たい方は、目次ページへ
仕切り直しで収集情報の整理から|くすぐったがり|note

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?