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前本彰子個展「宝珠神棚」

神棚をカラフルな色で塗りたくり、ラメやアクセサリーを改造したパーツで装飾し、中には派手な人魚や女神が祀られている。聞いただけでもワクワクしてこないだろうか。

2020年6月29日(月)から7月4日(土)までコバヤシ画廊で前本彰子個展「宝珠神棚」が開催中だ。神棚作品7点に加え、会場奥の小展示スペースには十数点の小作品と、前本が90年代に制作した作品数点で構成されている。

神棚作品にはそれぞれテーマが与えられており、例えば亡くなってしまった猫とそれを悲しむ女神や、ゴシックロリータ、千手観音などがある。

30年前にも神棚の作品を作っていた前本は「仕切り直しの時に自分のために作っている気がする」という。「レビューとレポート」 第8号のインタビューでは

私は以前に美術だけでやっていくって宣言したことがあって、バイトとかしないで「美術だけで食べられないんだったら餓死してやる!」くらいに思っていました。その時に作ったのが神棚だったんです。
ホームセンターで神棚を買ってきて素地を工夫して色を塗って御神体を作って中に入れて、自分で水やお供え物をして「私がんばります」っていう、自分のための神さまを作ったのが最初でした。

と、初めて神棚作品を作った頃の心境を語ってくれた。(https://note.com/qqwertyupoiu/n/n1844ebe91bf9

小展示スペースには、神棚作品のように箱型で観音開きになっている『今世紀最強蛇姫』という作品が展示されている。その内側を覗くと下半身が蛇の女神が双頭の獣の上に鎮座しており、女神の手は獣の頭に添えられている。獣は左右の腕で玉を一つづつ手に持ち、口元を見るとそれぞれが金剛力士像の阿行像と吽行像のように形作られている。『今世紀最強蛇姫』というタイトル通りの迫力は必見だろう。

今回の展示ではモチーフとして繰り返し「手」が使われている。神棚作品の千手観音や目玉のついた手の形のアミュレット、二つの手がそれぞれ上下に向けて配置された『全方位お守り』など、小展示室も充実した展示となっている。

千手観音

筆者撮影

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前本彰子展「宝珠神棚」
会場:コバヤシ画廊 京都中央区銀座 3 – 8 – 12 ヤマトビル B1(http://www.gallerykobayashi.jp
会期:2020年06月29日 - 07月4日 11時30分 - 19時(最終日17時まで)
日曜日休廊

「レビューとレポート」 第14号 2020年7月
(パワードbyみそにこみおでん)

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