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【STORY10】振り出し


調子よくやっているかと思っていたのですが、
減薬とコロナの影響なのでしょうか、
急にざわざわ、おなかが痛くなる日がきました。

その日の夜、全身が震えて恐怖でコントロールがきかなくなりました。
なにが怖いって、自分のこのわけのわからない体です。
なにが原因だかきっかけなのだかわからないのです。

なんで?
今までの努力なんだった?
こんなに苦しんで頑張って治そうとした二年はなんだったんですかと
もうどうしようもなくなりました。

何も変わってないのです。
まるでなにも。

やけくそになり、部屋を引き払い、実家に帰りました。
この間に祖父は死んでいました。

ひとりでは怖いのに、
家族といれば余計なアンテナを立てていないといけない。
毎日毎日具合を聞かれることだけでも具合が悪くなりました。
だって自分が一番わからないですから。

また実家でほぼ寝たきり状態がはじまりました。

地獄。

地獄以外の言葉がないほど地獄。

自分がこの世で一番不幸だとしか思えないような地獄。

この二年はなんの意味もなかった。



ずーっと寝ていると、母親が一冊の本をよこしてきました。
それが宮島賢也先生のうつの本。

まっっったく響きませんでした。
医者嫌い、そもそも「うつ」という言葉が怖くて仕方ない私からしたら、
感想は
「誰ですか、こいつ」
それ以上でも以下でもない感じでした。

そこから今に至るのですね。


つづく

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