”働いて、楽しんで、歴史をつくろう”という企業スローガンがいい
<バーアテンダント5>
コロナ禍でamazon.comがなければ、家に閉じ込められた人々のストレスが増していただろう。
amazon.comの2021年の年商は、4,698億ドル、対前年比で21.7%増えた。
ちなみに、日本円換算で65兆円。(日本の2022年度税収総額 (想定)に相当する)。
こんなビジネス・エンジンを考えたジェフ・ベゾスは天才かも知れない。
まず、1995年ごろ、彼は、ワールド・ワイド・ウエブという軍事目的で
結ばれたコンピュータの迷路を初めてのぞき込んだときに、小売業の未来があると気づいた。
そして「アメリカには、200万タイトルの本があって、街の本屋さんではとうてい展開できない。書籍のネット販売を始めたい」とベゾスは思った。
「70%の確率で倒産する」と、ベンチャー投資家や経済評論家に酷評された。
彼は、めげずに、他人の評価より、自分の直感を信じた。
なりふりかまわず直感だけで挑んだ彼は、他人の目にどう映ったか。
事業計画を売り込んだときの、ワシントンポスト紙の経済記者の感想がある。
「小柄でぎこちない笑みを浮かべて、頭は薄くなりかけていて、どこか熱に浮かされているようだった」
冷静な計算がない、夢見る起業家としか、記者の印象にない。
スライドを派手に使って、リハーサルに1ヶ月かける先輩のスティーブ・ジョブズの足元にも及ばないことを、ベゾスは痛感した。
この苦い経験から、ベゾスの会社では、プレの仕方ではなく、プレの内容に集中した。
A4用紙6ページ以内に、口語体でまとめたわかりやすい提案書に統一し、会議の冒頭にみんなで静かに読むことから始めた。
そして、多数決の勢いで結論を出さないようにするために、会議はできるだけ少人数にした。
これには「ピザ2枚ルール」を目安に、会議のサイズを決めるようにした。
出席者が、3、4人だと、2枚のアメリカン・サイズのピザは、みんなにいきわたる。5、6人だと、足りなくなるので、出席人数を絞る。
これで、ベゾスのように売り込み下手でも、内容さえよければ、検討する会社のシステムができあがった。
また、起業体験から、人にまどわされない「直感」を大切にした。
この点は、調査嫌いで「直感」を信じたジョブズと同じだった。
「優良顧客には、配送料を無料にする」アイデアに対し、費用対効果を分析すると、とんでもなく大損する予測が出た。
このデータを無視。成功を嗅ぎ分ける「直感」を優先し、アマゾン・プライムを実行した。
結果、優良顧客の囲い込みに成功し、長期的に大成功をもたらした。
”働いて、楽しんで、歴史をつくろう”
アマゾンの社内スローガンが、すごいことを言っていながら微笑ましい。
成功をおさめたベゾスも(ジョブズ同様)生い立ちもすごい。
ベゾスは、母親が高校生のときに生まれた。一方、ジョブズは母親が大学生のときに生まれた。
しかし、ジョブズの母親は、厳格な父の怒りを恐れてジョブズを養子に出したが、ベゾスの母親は、手元で大切に育てた。
高校卒業後、彼女は、一輪車の曲乗り男と離婚し、2才のベゾスを連れて夜学に通った。
2年後には、米国大学を卒業した勤勉なキューバ移民と再婚し、養父のキューバ名、ベゾスを4才から名乗ることになった。
高校生には難しいマクドナルドの調理のバイトもこなした。そして、名門プリンストン大学を頭書の成績で卒業。
amazon.comの最初の投資者は、彼の両親だった。
彼の事業内容の説明は、両親にも理解できず、ただ、息子を助けたくて$300,000(3,000万円)出して応援したかったとのこと。
またも、売り込みは、失敗していた。
樽から蒸発する2%(天使の分け前)をネーミングした”Angel's Share"をグラスに
(参考図書:"INVENT & WANDER"ジェフ・ベゾス語録 ダイヤモンド社、その他インターネット調べ)
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