なまえのない思いを何と呼ぼうか
文字が紡ぐものが大好きだった。
物語でも、ひとの生活でも、歴史でも。
物心ついた時がいつだったかなんて、当たり前のように覚えていないのだけれど、
とにかくいつも文字がそばにあった。
一緒に絵がついている時もあったし、
絵に文字がついている時もあったし、
表紙以外は全部文字の時もあったし、
とにかく、いつもそばにあった。
でもいつからか、
文字は生きるための情報を読み解くための記号でしかなくなって、
読書は苦しい時間をやり過ごすための方法でしかなくなって、
そうしてだん