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「おかえりモネ」あれこれ読解

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「おかえりモネ」の読解&考察集です。最終回を終えて、結末がわかりましたが、 それぞれの考察時点の見解としては特に大きく読み違えてないと思ったので、そのまま残しておきます。
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2021年9月の記事一覧

「おかえりモネ」〜「誰かの役に立つ」ということ 「何もできなかった」ということ

何度も何度も出てくる「誰かの役に立つ」という言葉。「あなたのおかげ」「あなたがいてよかった」と表現を変えて至るところに出てきます。 この物語での「誰かの役に立つ」ということ。その「誰かの役に立つ」と対になって出てくる「何もできなかった」という思いについて整理していきたいと思います。 「誰かの役に立つ」ということまず、2話から何度も回想で登場する「水の循環」の説明セリフ。 この回想シーンで「誰かの役に立つこと」がざっくりと説明されています。 龍己「その山の葉っぱさんたちが、

おかえりモネは「水の循環」の物語〜その根底に流れるものは運命の2人の愛

「おかえりモネ」は「水の循環」がストーリー骨子だ、「心の復興」がコンセプトだとtweetしてきました。その基本的な話しの流れは次の通りだと思っています。 水は 太陽エネルギーによって蒸発し、 雨となり、 森林で浄化し育まれ養分を含んだ後、 川で磨かれ、 海に帰ります。 栄養をたっぷり含んで帰った水は、海に潤いを与える。 そして、読み解くとたどり着くのは 根底に粛々と流れている、 ーー「震災で引き裂かれた運命の2人の物語」 要するに『「亮と百音」の愛の物語』です。 そ

「おかえりモネ」〜菅波とモネの優しい関係とは〜登米編

登米でのモネは次の2軸で動いています。 ①「心の復興」を進める ②「気象予報士の資格試験取得まで」 このnoteでは【①「心の復興」を進める】ことについて、整理していきたいと思います。 整理していくと、菅波とモネは「心が復興」するまでの間お互いが欠かせない存在であり、それは運命的な優しい関係といえます。 モネはどんな子か?亮との関係を壊した「水」をモネは受け入れられないでいることが、別noteのインデックス「モネのトラウマは「水害」で整理し、見えてきました。 とにか

「おかえりモネ」〜モネからりょーちんへの気持ちが読み取れる場面〜登米編

上noteを受けて、モネから亮への想いが読み取れる場面をまとめていきます。モネは「何もできなかった」と自分を閉ざしており、気仙沼編に入っても本人は亮への気持ちを自覚しません(病的なほどに)。ここでまとめるのは潜在的に根底に敷かれているモネ→亮への想い〈愛〉です。 まずは登米編。 登米でのモネは2軸で動いています。 ①「心の復興」を進める ②「気象予報士の資格試験取得まで」 ①は主に菅波先生と共に歩んでいます。(別途noteにまとめてます) ②の学習サポートも菅波先生です

「おかえりモネ」〜モネがりょーちんに動かされ〈覚悟〉が決まる8週の考察

浅野忠信と永瀬廉が魂をぶつけ合う芝居を魅せた8週。8週タイトル「それでも海は」からもこの週の主人公は新次と亮だと言わんばかりでした。しかし、このエピソードの裏でモネは、亮に対してあの頃も今も「何もできない」という悔しさと無力感を突きつけられています。モネに今できることは気象予報士の資格をとって「何かできるかもしれない存在」になることしかないという思い込み。その思い込みが、迷いがあった気象予報士資格試験への覚悟になり、試験に向かって猛進させるエネルギーになっています。その経緯を

「おかえりモネ」〜亮と未知の優しい関係

亮と未知の関係を読み解くにあたり、菅波と百音も同様の関係を築いていることが前提となります。 登米で同時期に出会った「菅波とモネ」は偶然にも2人で「自助グループ(同じような傷を負う者がグループとなり、感情を共有しながら心の傷を癒していく治療)」が成り立ち、トラウマ回復のニコイチとして「心の洗濯」をしていました。(→「菅波とモネ」はこちらのnoteにまとめています) これまでの話を辿ると、亮と未知もまた同じようにニコイチでトラウマ回復の自助グループ活動をしているように受け取れ

「おかえりモネ」〜「心の洗濯」の場面

2014年。トラウマを抱えて登米に来たモネと菅波は偶然が重なり「トラウマ回復のニコイチ」として自助グループ活動(同じような傷を負う者がグループとなり、感情を共有しながら心の傷を癒していく治療)をはじめていると読み取れました。(→詳しくはこちらのnote) 菅波とモネは2人で過ごす時間そのものが、2人の「心の洗濯」になっているようです。 ここではその「心の洗濯」につながる要素をピックアップして整理していきたいと思います。 「心の洗濯」①〜『五常訓』はバランスが大事!との教