「おかえりモネ」〜モネからりょーちんへの気持ちが読み取れる場面〜登米編
上noteを受けて、モネから亮への想いが読み取れる場面をまとめていきます。モネは「何もできなかった」と自分を閉ざしており、気仙沼編に入っても本人は亮への気持ちを自覚しません(病的なほどに)。ここでまとめるのは潜在的に根底に敷かれているモネ→亮への想い〈愛〉です。
まずは登米編。
登米でのモネは2軸で動いています。
①「心の復興」を進める
②「気象予報士の資格試験取得まで」
①は主に菅波先生と共に歩んでいます。(別途noteにまとめてます)
②の学習サポートも菅波先生です。しかし、「勉強しよう!」「資格を取ろう!」「私はやるんだ!!」という前向きなエネルギーはいつも亮から受け取っていました。
リアルの恋愛ではさまざまな愛の形がありますが、ドラマ上では「愛の定義」が必要になってきます。定義はドラマごとに異なります。
「おかえりモネ」では震災・心の復興・思春期からの成長が絡み合っているため、『親子・姉妹・友だち・仲間などへの「愛」』とも『トラウマ共感・依存関係』『同情』とも区分される恋愛感情の定義が必要です。
モネの言動を追っていると、明らかに異色な影響を受け、モネが強い気持ちを持ち前向きに動き出すシーンがいくつかあります。この物語ではその前向きなエネルギーこそが根底に敷かれている〈愛〉だといえそうです。これは「水の循環」では「太陽エネルギー」にあたります。
ここでは、登米編②「気象予報士の資格試験取得まで」の流れの中で、モネが前向きなエネルギーを受けて大きく心を動かされた場面を中心にその背景を読み解いていきます。
1.気象予報に《興味・関心》〜私も「亮の役に立てる何か」に出会えた場面
以前noteにまとめた通り、モネのトラウマは「水」で、その背景には「亮の存在」があります。
そんなトラウマを抱えたモネが登米にやってきた1週。
「そこにいるだけで水を蓄え役に立っている”ヒバ”」に出会い、朝岡から「未来が見えて魔法が起こせて海と繋がる”空”」を教わります。それらが、龍己から教わった「水の循環」の記憶と繋がります。
龍己「その山の葉っぱさんたちが、海の栄養になんのさ。山は海とつながってるんだ。なんも関係ねえように見えるもんが、何かの役に立つっていうことは、世の中にいっぱいあるんだよ」百音「じゃあみんな誰かの役に立てんの?」
モネの中で登米の木々や空が海とリンクし、全て「水」が繋いでいると知ることで「水」への悪いイメージが少しやわらぎ、空を見上げられました。
朝岡「空を見て、雲がきれいだと思えたた時点で、その人は前向きになれていると僕は思います。だとしたらそれは、よいことが起きる前兆といってもいいんじゃないでしょうか?」(5話)
空を見上げてからのモネの心情を追うと
トラウマ対象「水」を少し知れたことで、空を見上げられるようになった。
→水のこともっと知りたい楽になりたい
→気象予報士の本に興味。本屋で手に取る。
→「命を守る仕事です」と書いてある
→「水とそれに関する空を知ること=気象予報士の勉強」で「大切な人の大切なものを奪う姿をもうみたくない」を叶えられると気づく
モネは、朝岡さんやサヤカとの出会いからはじまる上記の流れを受けて、気象予報を認知し関心を抱きます。その背景には、何度も言いますが「亮との関係を壊した津波」「亮とモネを隔てた海」(いずれも水)があることは明白です。
海と山と空を「水」が循環していると知り、それにまつわる気象予報士に興味関心を強く抱いたのは「亮の役に立ちたい」からであり、「わからなくなった亮の心の空模様を知りたい」。そして分断された関係を元に戻したいからだといえます。
空は海と繋がっていると知ったモネは、亮の気持ちも空を見てわかろうとし始めたのだと思います。
1.2週で気象予報の勉強をしたい。と気持ちが高まりますが、本格的に「気象予報士の勉強をしよう!」と強く内発的に動機付けられるのは3.4週で亮に再会したのちです。
2.気象予報士への《内発的動機付け》〜初盆浜辺で亮と日の出をみる場面
明日美たちが風に飛ばされた帽子を追ってはけた後、亮とモネは2人で日の出をみながら話します。「海風陸風」の話を亮の口から聞き、亮のいる海もモネの住む山も「空で繋がってる」ことを実感します。
海からの風を感じる2人
亮「海風、回ってきたなあ。雲多いけど、この分だと今日は一日降らないかな」
百音「海風! 海風…。これだ…」「ううん。えっ、何で雨降らないって分かんの?昨日月にかさかかってたよ?天気悪くなるんじゃない?」
亮「うん、でも、亀山に雲ないし。漁師は風向きと天気、必須だから」
亮と気象予報の結びつきに気づき、気象予報の勉強をする「内発的動機付け」となりモネは翌週から「勉強はじめました(第5週タイトル)」。モネは空と水を知ることに本腰を入れていきます。
この勉強でモネが必死に知ろうとしている「相手」は、大切なものを奪ってしまった「水」に加えて、あの日からわからなくなった「亮の心の空模様」も含まれます。だから登米でパシャパシャ空の写真を撮り、部屋中にモネはその写真を飾っていたと思っています。
ちなみにこの初盆の日の出シーン後の牡蠣ナレ…
海も風も こんな朝日も…ふふふ。大好きだったんだよね。
この牡蠣ナレで15話・3週を終えているんです。
雅代は縁側で眺めていた吹奏楽の練習だったり、家族ぐるみでの付き合いの中で微笑ましく2人の関係を見守っていたのでしょう。
モネ本人がまだ幼く恋愛としては無自覚にせよ、亮のことは大好きだったんだと思います。(東京編終わってもまだ〈無自覚〉ですけど…)
翌4週「みーちゃんと牡蠣」でモネは「水を介した山と海と空のつながり」を違う角度から念押ししていきます。
気象予報士をモネが目指すと知った未知が理科の資料集を取り出し
未知「水の循環だよ、天気は。それで大体分かる」
百音「おんなじ?」
ワカメを干すのを手伝いながら
百音「どうして登米に木を植えてたの?」
龍己「登米の山にしみた水はな北上川を下って南さ行くど、石巻に着くべ?うちのカキの生まれはどこだい」
百音「種ガキ・・・。あっ、石巻」
さらに「気象予報の資格」が漁師の役に立つと龍己に確認しています。
百音「もし…もしね、私が天気のことを勉強したら、おじいちゃんの仕事やみーちゃんの研究の役に立ったりするかな? 誰かの役に立てるかな?」
龍己「漁業はギャンブル。天気のデータの読み方ひとつで100万も200万も稼ぎが変わってくんだよ。ハハハ。だがら、将来モネちゃんが天気読めるようになって、俺が一発勝負かける時は、あんたに相談する」
百音の瞳に光が差し込む
モネの中で、トラウマの「水」を知ることが、「亮のために何かできる」(亮の役に立つ)事にどんどん繋がっていきます。
4週ラスト、船で本土に向かうシーンで朝岡セリフの回想が入ります。
朝岡「山は水を介して空とつながっています。海もそうです。永浦さんは、海で育って海のことを知っている人ですし、山のことも知ろうとしている。なら、空のことも知るべきです」
百音「全部つながってる…」
牡蠣ナレ(やっと見つけたんだね、よかったね。)
3.4週の帰省でモネが気象予報の勉強をする動機付けが完了したまとめ。
この朝岡さんのセリフを受けて、5週最初のバス停のシーン。
百音「何か困ってんなら…。何もできないけど、メールとか、電話とか、聞くから」(背を向けたままの亮)
亮「やめよ。ごめん、そういうのは俺やっぱいいわ」
聞くから…といいつつモネは全く聞けそうにないオーラを出しています。「何もできない」から話を聞いてあげる資格がないと思っているモネ。資格をとって「何かできる」自分になれば聞いてあげられる。これが「気象予報」を勉強する背中を最後に押します。力強い海風のように。
(3週)亮の太陽エネルギーによって蒸発した(勉強する前向きなエネルギーを得た)モネは、(5週はじめに)亮の海風に背中を押されバスで登米の山に登っていきます。
登米では菅波先生からの学習サポートを受けてモネは「気象予報士」を目指していきます。
バス停は亮から菅波先生へ一旦託されたバトンタッチのシーンかもしれません。
3.気象予報士合格直前の《覚悟》を決めた8週
気象予報士試験(3回目)を前にモネは亮から覚悟と衝動性を伴う前向きなパワーをもらっています。
「亮の力になるには気象予報士の資格をとりあえず取るしかない!とりたい!役に立ちたい!」と決意と覚悟を固めた週です。
長くなるので詳細は下記noteにまとめました。
ここで言えることは、7週の朝岡のセリフに集約されます。
朝岡「何もできなかった、と思う人は、次はきっと、何かできるようになりたいと強く思うでしょう?その思いが、わたしたちを動かすエンジンです」
亮に対して「何もできなかった」と思い続けたモネは、亮のために「何かできる人になりたい」と強く思い、その思いがモネを動かすエンジンになりました。
●まとめ登米編「気象予報士の資格試験取得まで」のプロセスの重要ポイントには亮が関わっている
こうして追ってみていくと、モネの登米での行動軸のひとつ②「気象予報士の資格試験取得まで」のプロセスにおいて重要ポイントごとにしっかりと亮の存在が関わっています。
資格取得動機付けプロセス
(1)興味関心(亮)
(2)内発的動機付け(亮)
(3)学習動機付け・サポート(菅波)
(4)覚悟(亮)
学習動機付けについては、ひとつひとつ丁寧に菅波先生が「サポート」しています。モネの前向きな強いエネルギーを引き起こすより「サポート」としての役割です。
このページ最初に、この物語では前向きなエネルギーこそが「水の循環」での「太陽エネルギー」であり根底に敷かれている〈愛〉だと書きました。
上記の〈愛〉だと受け取れるモネ自身を強く突き動かすエネルギーの場面は【本物の太陽】の映像表現されており、その箇所を次のnoteにまとめています↓
サポートと前向きなエネルギーでは、モネにとって相手の存在意義が異なります。
菅波先生の丁寧なサポートは、モネにとって「優しい関係」であったと捉えています。詳しくはこちら↓