來川晩夏

2023年随筆100本ノック実施中。 旅と庭と書斎、よそ見と味見とうたた寝と。

來川晩夏

2023年随筆100本ノック実施中。 旅と庭と書斎、よそ見と味見とうたた寝と。

最近の記事

旅のあとさき

書くことは旅に似ている って冒頭からそれらしいことを言ってるだけで中身のない文章になりそうな予感がするけど 書きたいけど書けない 苦しんで、得体の知れない孤独に苛まれ いったんそこから逃げてみるが、頭にはいつもそれがあり 時を経て、ある時ちょっと書いてみると するすると言葉が出てきて目の前に世界が広がり 知らなかったところへたどり着く それは、さながら どこか未知の土地をさすらってみたいが 時間とお金と体調のやりくり 何より気持ちがぴたりとくる行き先を求め、迷い いった

    • 春咲き一年草の引退と余生

      5月が終わる。 近畿地方は2日前に梅雨に入ってしまったらしい。短い平穏な季節はすでに終わり、すぐにやってくる炎暑の日々へのつなぎ期間=高温多湿の我慢大会が始まったところだ。うん。つらい。 季節の変わり目。庭や公共の花壇では植物の植え替えが行われる頃だ。 植え替えのタイミングにいつも悩む。なぜならまだ春咲きの一年草が元気に咲いているから。 去年9月に種まきをして育てたビオラ。2月から少しずつ開花して、長期間きれいに咲き続けている。 咲いているからといって植え替えをしなければ、

      • わたしというパズル

        ネット上でアンケートに答えたりショップの会員登録をするとき、性別欄の選択肢が3つあることが多くなった。 男性・女性・回答しない の3つだ。 初めて見た時はちょっと不思議だった。ジェンダー多様性に配慮するならば、むしろ性別はいっさい尋ねないことにすればいいのでは? と感じたから。とはいえ性別情報が必要な場合もあるだろうし、何が正解かは判断できないけれど。 それはさておき。 性別に限らず、望むか望まないかに依らず、人はその「属性」を背負って生きる。 国籍、身体的特性、才能、家庭

        • 書くべき時に書くために

          随分昔の話になるが、就活時代に通っていた文章教室で教わったことを、今更じわじわと思い出している。 「自分にしか書けない文を書く」。 初回の講義で力説されるのだから、肝に銘じておかねばならない重要ポイントなのだろうが、うーん、なんだか。不安な気持ちで聞いていた。 いや、もちろん講義では詳しく具体例を挙げて指導してもらい、多くのヒントを得た。 特に「自分にしか書けない」の入り口として、お題を与えられたら「他の人は何を書くだろう」と想像し、そこを避けるということ。 あれから何十年

        旅のあとさき

          土鍋炊きごはんのジレンマ

          土鍋で炊いたごはんが美味しいと聞いてはいたが、なんかめんどくさそうで試してこなかったこれまでの人生を悔やんでも遅い。 実際はめんどくさいどころか点火してわずか10分。火を切り、蒸らし15分。 炊飯器よりずっと速い(わが家で使用中の土鍋でお米2合の場合)。 「ふっくら」「もちもち」「つやつや」。 鍋ぶたを持ち上げた瞬間、あらゆるごはん賛辞のオノマトペが口をついて出る。 というように、ごはん炊くだけなのに何か神聖な儀式のように見守り、最高のボルテージで炊き上がりを迎える一連の流

          土鍋炊きごはんのジレンマ

          その愚行の先にあるもの

          YouTubeのアルゴリズムに導かれ、なぜか中島らもがゲスト出演している「徹子の部屋」を見た。1996年オンエアらしい。 中島らも。全てがツッコミどころみたいな、面白い人だったな。そして突然いなくなった。 アルコールと薬物依存の地獄を見たあと、今(収録時)は禁酒を続けているという前提で、過去の飲酒遍歴から違法行為まで、あの独特のゆるい口調で、だけど妙に饒舌に語っている。 お酒やドラッグの怖さを特に若い人に伝える意味で貴重な経験談だと思うし、単純にこの人のトークの面白さは一見

          その愚行の先にあるもの

          春愁の処方箋

          春愁の目地に逆らひ床を拭く 20年近く前にこんな俳句を詠んだ。 季語は「春愁」。「春になると木々が芽吹き、うきうきと華やいだ気分になる反面、何となくもの憂い感じにもなるのをいう」。久しぶりに開いた歳時記に、そう書いてある。 当時俳句のグループに参加しており、毎月のノルマで句を作っていた。 いわゆる「当季雑詠」の「当季」から外れぬよう、いつも季語を調べて選ぶことから句作に取りかかった。 そうして出会った「春愁」。俳句をしていなければ見かけることのないだろう言葉。 「春」と「

          春愁の処方箋

          ここにピアノはないけれど

          高橋幸宏の訃報に触れ、悲しく懐かしく思いを馳せていたのは2か月前。 坂本龍一も逝ってしまった。 以前から闘病を公言していたこともあり、静かに受け止めはしたけれど、喪失感はこのあと深まる予感がある。 今そしてこれからも、多くのひとが坂本龍一について語り、書くだろう。 音楽家、活動家、時にエンターテイナーとしての足跡を。 YMO時代からのゆるいファン、とさえ自称できるかあやしい分際のわたしに、言えることは何もない。 ただ、突然思い出したどうでもいい古い話を記しておく。 通っ

          ここにピアノはないけれど

          誰より桜を見ているわたしに言わせれば

          わたしは誰よりも桜を見ていると思う。 なんの自慢? と思われそうな言い草だが、自慢じゃないけどそうなのだ。 もちろん、仕事で桜の管理をしてらっしゃる庭師のかたにはかなわないが、一般人のなかではめっちゃ桜ウォッチャーだと思う。 言っとくけど「桜の花」ではない。 そしてわたしは詳しいマニアでもない。 生活圏にある桜の木。その遠くから、そしてすぐそばで。みつければいつも観察する。 クルマでよく通る道にはお気に入りの古い桜の大木があり、休日には川沿いの桜堤をウォーキングする。 子

          誰より桜を見ているわたしに言わせれば

          美しく強くあざといひとたち

          一日家を空けただけなのに、帰ってきたら季節がガラッと変わっている庭の様相に、思わず声をあげる。 つんつるてんだったカシワバアジサイの枝先にいっせいに葉芽が吹き、 数年間植え替えを怠っていたせいで成長が止まり、花はつかないだろうとあきらめていたムスカリの細長い葉には、小さめの花が咲き始めている。 ケヤキ、エゴ、その他の草木もいきなり芽吹いたり伸びたりしていて、ちょっとした浦島太郎的タイムスリップ感。 少し前に見た、NHKスペシャル「超進化論」で、人が植物をなでることは生育によ

          美しく強くあざといひとたち

          花曇り、川を臨む、安易な旅

          3月下旬の平日。午後。 堂島川を見下ろすホテルの部屋でのんびり、というかぐったりしている。 体調不良をおしてやって来た、大阪は花曇り。暑くも寒くもなくて助かる。 チェックイン直後、ちょうど始まったラウンジのティータイムに行ってみた。 窓際の席に案内される。 品数は多くないが品のいいスイーツビュッフェで、パンナコッタやガトーショコラが美味しい。 堂島川と中之島を背景に、スイーツを乗せたお皿に焦点を合わせスマホで写真を撮るが、勢いでSNSにアップするのはやめた。 平日なのでさほ

          花曇り、川を臨む、安易な旅

          終わらない夢と禁断のグダグダ日記

          久しぶりに体調を崩し、昨日はせっかくの休日を寝て潰してしまった。 週末は小旅行の予定。予約済みのホテルのキャンセルポリシーではすでに全額負担の期間に入っている。 年末年始に発熱してお正月休みを無駄にするのと、旅行前に体調崩してめっちゃ焦るという謎のバイオリズムをなかなか攻略できない。 とにかく、 休養しようそうしよう。 やはり睡眠は超重要。 寝ている間に成長ホルモンが出て細胞を修復しているという話を聞くたび、NHKの子ども向け番組に出てきそうな「成長ホルモンくん」キャラが

          終わらない夢と禁断のグダグダ日記

          お酒の力は前借り出来ない

          ここ数年、あまりお酒が飲めなくなって、QOLが下降気味だ。 調子に乗って缶ビールグビグビやっちゃうと、その後の体調がよろしくない。 健康情報に敏感なお年頃なのであるが、周りから聞こえてくる「お酒はほどほどに」という長寿国日本の合い言葉、わかる、わかるんだけど、飲みたい。 飲みながら料理、いい気分。 飲みながら庭いじり、ぜいたくな休日。 飲みながらライブ映像鑑賞、アドレナリン3倍増。 飲みながら縫い物、なんかめちゃくちゃ面白くなる。?? 大量でもなく毎日でもないので、身体は

          お酒の力は前借り出来ない

          はす向かいの彼女たちへ

          一昨日の昼間、スーパーへ行く時、はす向かいに住む姉妹が玄関脇で大きな段ボール箱と格闘しているのが見えた。 自分たちの背丈に近い四角い箱を抱えたり引っ張ったりしていて、移動させたいのか開封しようとしているのかわからない。 そのおかしな動きが気になり、クルマに乗り込んだあとしばらく眺めていた。 姉は高校3年、妹は中学3年。ふたりとも受験を終え、最後の春休みを満喫中というところだろうか。 箱の中身は、大学入学と同時に親元を離れる姉の、ベッドか何か大きめの家具かな。いや、家具はふつ

          はす向かいの彼女たちへ

          ブラッシュアップライフ完結/とりとめなく書く

          略して「ブラプラ」って言うらしいけど、略し方おかしくない? 笑 などと めでたくネタバレ回避月間も終了し、SNSでひとのコメント見て余韻に浸っている。 とりとめのない感想しか浮かばず、思うままに書いてみる。 ・わたし的な「連ドラあるある」では、「最終回の直前回がいちばん面白い」。それまでのダイジェストと結末の匂わせ、高密度なラストスパートって感じ。 ところが、このドラマは8話目つまり最終回の前々回が最高だったと思う。 8話で、3人の女友だちの話として語られてきたことが本当

          ブラッシュアップライフ完結/とりとめなく書く

          住宅マニアの独り言

          住宅マニアということになるだろうか。 マニアのつもりはなかったけど、間取り図や家の内装を見るのがかなり好き。 古くは10代の頃から、新聞折込の不動産チラシをチェック。 そしてテレビの住宅訪問系番組。 リフォームの過程を見せる番組も大好物。 YouTube全盛の今、一般人の「内見動画」「ルームツアー」も日々量産されている。その玉石混交のなかに、面白いものを探している。 その他のSNSでは、たとえばハッシュタグ「#書斎リフォーム」などピンポイントなワードで供給される、動画や情報を

          住宅マニアの独り言