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交渉で大切にしてること

こんにちは。QoiQoiの吉次匠生です。
今日は人との「交渉」について考えていきたいと思います。

フリーでの活動は交渉が避けられない

僕らQoiQoiは吉次と大橋の2人しかいません。
大学を卒業して結成し演劇をメインにさまざまなアーティスト活動を2人でやってきました。
団体の活動はもちろんのこと、それぞれのソロ活動も含め、我々は事務所にも所属しておらずマネージャーも制作さんもいないので、交渉ごとは全て自分で行ってきました。
キャストのオファーから、劇場を押さえること、また自分が外部に出演するなど、様々な交渉をしてきました。
アルバイトやフリーター、会社員などはあまり必要ないかもしれませんが、(中には取引先相手となど、必要な人もいます)交渉は僕たちがフリーランスで生活していく上で逃れられないものです。
そして、フリーの役者、または団体主催者として交渉を続けていく中で一つの大事な共通点に気付きました。それは、1番最初にこちらの腹積りをテーブルの上に並べて交渉を始めるということです。

謙虚や遠慮、びびることは交渉の敵

僕は初めの頃、交渉するときに相手に対してとても遠慮しながら交渉していました。僕自身まだ20代で経験も実力も未熟な人間です。そんな僕が自分より経験が豊かな人や先輩方の舞台に出るということはとても光栄なことでした。むしろ「出させていただいている」という気持ちでした。
あまり生意気なことを言って次回声がかからなかったら嫌だなと思い交渉ごとはこちらから強く主張してきませんでした。
また、自分が主宰している舞台にオファーをかけるときも「断られたらどうしよう?」とびびっていました。皆さんも目上の人や協力してくれる人に対し、こんな体験したことはありませんか?

しかし、それは間違いでした。
これは主宰してわかったことです。
例えば、これを読んでくれてるあなたに僕たちが作るお芝居に出てもらうとして、「今度○月にお芝居するから出てくれない?」と言ったらどう思いますか? 条件が曖昧すぎてオファーを受けられない人がほとんどだと思います。出演料や上演場所、拘束日数などより具体的であれば具体的であるほど、交渉を受けた側は判断材料が揃います。これは逆も然りで「何曜日と何曜日は別の仕事で稽古に行けない」など、オファーされた側も条件を出しておくと相手に親切でしょう。
つまり、交渉は条件を曖昧にすればするほど相手にとって不親切なのです。空気を読んだつもりでこちらの思いや条件を隠すことは逆効果になってしまう場合があります。交渉に失敗したり断られるリスクはありますが、断られたら次に切り替えればいいのです。むしろ誠実に向き合っていれば、その時条件が合わなかっただけで、またいつか違う形でご縁が舞い戻ってくるかもしれません。

後出しジャンケンはトラブルのもと

交渉において1番大切なのは1番最初の打ち合わせです。なぜなら企画が始まってしまえば後戻りができずリカバリーにコストがかかります。
これも例を出してみましょう。

演劇をするとして、週2回稽古で1ヶ月間拘束し50,000円のギャラ(数字はかなり適当です)をあなたにお支払いするので僕たちの舞台に出てくださいと交渉して成立したとします。しかし、稽古が始まってしまうと意外に稽古場まで交通費がかかることになった。そこで、僕たちに交通費の請求をするとします。僕たちとしては、参加者の満足を確保したいので、交通費を支払ったとします。しかし、もっと早い段階で言ってくれれば、もっとさまざまな対策を練れたかもしれません。
例えば、稽古場を家の近くにする、稽古時間を伸ばして稽古日数を少なくするなどです。しかし、稽古場を押さえてしまった後では、その選択肢を取ることもできず未然に防げたコストがかかってしまうのです。

つまり、企画が動き出せば出すほど後戻りができなくなり、交渉成立したことをひっくり返されることは相手にとっての信頼関係にも影響します。
確かに全てが最初からわかってることではありません。物事は動いてみないと分からないこともあるし、状況が変化することもあります。
しかし、未来が見えないからこそ最大限の準備が必要なのです。最初に交渉に行くときはなるべく手ぶらで行くのではなく、現段階での自分の条件を最低でもまとめて臨む必要があります。これはあくまで【交渉】なので、まずは相手と親密になるお食事会などを挟むときは別ですが、何回か回を重ね仕事の【交渉】をするときは準備をしていくのが相手に対するマナーだと思います。

要求は最大限に

交渉は最初の準備が大切だということを話してきたのですが、もう一つ大切なことがあります。それは交渉は自分のできる要求のマックスを提示するということです。

今回は演劇ではなく裁判で考えてみましょう。
例えばあなたが車に轢かれたとして、慰謝料として治療代10万円を請求するとします。すると治療代以外に入院中に働けなかった給料分や破れた衣服台など、たとえ裁判官が10万円以上支払っていいと思っていても最高額10万円までしか日本の民事裁判ではおりません。
つまり、あなたが要求しているもの以上のものは与えられないということです。ギャランティなども最初20万で納得している人に、後から100万支払ったりされることはほぼありません。100万円欲しければ最初から100万以上、最低でも100万円請求しておかなければならないのです。
また、交渉される側としても、要求が徐々に上がっていくのと、高い要求からお互いの落ち合える場所を探すのでは印象が全く違います。
もちろん常識のない要求や無茶な要求はダメですが、自分の主張は筋道を立てしっかりしていきましょう。


まとめ

例が多くなったので、少し長くなりましたがここまでのまとめをしようと思います。

交渉に大切なことは

・思ってることや下心を隠さず腹を割って話すこと
・最初の交渉を大切にすること
・準備して臨むこと
・自分の要求の最大を提示すること

です。

僕たちみたいに若い人たちは、なかなか勇気が出なかったり、相手に対して失礼なことがないように考えすぎたりして、交渉に対してドギマギすることがあると思います。
しかし、最低限の言葉遣いと相手へのリスペクトを持って気持ちを伝えると、そんなに大きなトラブルは起きないはずです。嫌われることを過度に恐れる必要はありません。
また、今回話してきたことは少しテクニック的な部分も含んでいて、根底にある最も大切なものは「あなたと一緒にいいものを作りたい」「あなたの力を貸してほしい」という熱意と気持ちです。その熱意をうまく伝えるためにも、少し参考にしていただけたら幸いです。
僕らもトライアンドエラーをしながらwin-winになれるように交渉力を高めていきたいと思います。
ではまた。

QoiQoi 吉次匠生

QoiQoiプロフィール
2018年2月9日に大橋悠太と吉次匠生によって結成されたアートユニット。 当初はano(アノ)として活動していたが、2020年10月1日より団体名を改めQoiQoi(コイコイ)として新たな活動を始めている。

また、「想像力を創造する」を信念に演劇、映像、インスタレーションなどさざまな分野を飛び越え作品制作を行う。団体名のQoiQoiもquality of imaginationが由来である。 また、社会問題から個人の体験まで幅広い事象を可視化し、常に観客に「当事者性」を提示する作品作りが特徴である。

このnoteでは作品制作のことを中心に、被災地のことや原発のこと、その他考えたことなど、読んでくれている方へなるべく為になるような記事や僕らをより知っていただける記事を書いていくことを目指しています。
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