帰省日記

正月。帰省シーズン。
今年は心を決めて、帰省した。

私の地元は田舎だ。最寄り駅は今だにICカードが使えない。そんな場所。

母親と父親の二人暮らし。
今年祖父が亡くなり喪中なので
親戚の家に行く前のバタバタとした準備も、
大掃除もほどほどで、三社参りもなく、
みんなが家にいる、そんな正月になるのは見えていた。

母親がご飯を作るのをただ待ち、野菜を持っていけと姉に言う父親

夕飯の準備と友達と会う姉の送迎でバタバタしている母親

友達に野菜を持って行く旨の連絡をし、野菜を袋に分けていく姉

帰ってきた時の状況だ。
「あー帰ってきたな、」
「そうだ実家の雰囲気ってこんな風だったな」

良くも悪くも全てが詰まっていて心が少し寒くなった

そこから母親に私が夕飯準備変わるよと伝え
作業を始めた。何をしたら良いか聞いてぱたぱたと料理を始めた。

この家では役割が決まっていて歯車みたいに決まった動きをする。私はパーツの1つだったなと思い出した。

母親と姉が家を出たら、私と父親の2人。

父親にどんな話を振れば意気揚々と
得意げに話すかは知ってる。

今は機嫌は普通くらいだな、この話題でいいかなと話し出す。
家をでて3年なのにまだこの話題で楽しく出すんだなと安心した。

ご飯を食べ終わったが、母親は帰ってこないので風呂掃除をした。

掃除終わって、お腹がいっぱいだったからか、寝てしまっていた。お風呂の設備が新しくなっていて私がちゃんとお湯を張ったはずだったのに出来てなかったと起きて言われた。寝室は寒く底冷えがした。

大晦日、
母親は年越しそばの準備をしていて
姉は手伝っていた。
私はお風呂掃除のリベンジをして
父親はテレビを見ていた。

夕飯は
お歳暮の肉を消費するための焼き肉と
年越しそば

姉が肉奉行になって
母親はソーセージを持ってきたり片付け等をしていた。
私と父親は準備されたそばと肉を食べていた。

食べていると紅白が始まった。
若い人たちが出ると「もう最近のは全然分からん」と言う。何度も言う。
「そうだよね。興味がないと全然分からんよね。」と返した。

アイドルグループのグループが出ると
「これ何人（なにじん）？？」と言うので
その都度、
説明した。ジャニーズもラポネもKPOPも。

キーナ（氷川きよし）がでた時は
「こういうのはLGBTQやろ？」と言った。
私は何も返さなかった。
年が明ける前に寝ると言って寝室に父親はいった。

元日、お雑煮と簡単なおせちを食べた。
母親も父親も盛り上がりそうな話題を振った。
盛り上がり出したのであいづち係に転向、
そそくさと寝室に戻った。

もう無理だなと思った。
何も考えずに
この家にいることのできた高校生の自分だったらよかったなと泣いた。

「課題が終わらないからと帰る
　新幹線はもう取っている」と嘘をついた

母親から4万、父親から1万、何の袋にも入ってないお金をもらって帰った。

実家の雰囲気に、私が溶け込めなくなったんじゃない。ずっと変わってないまま。
変わったのは私だった。

夕飯の準備を手伝わない亭主関白な父親も
それを当たり前だとして全て抱え込もうとする不器用な母親も

新しい言葉を知ったかぶりするくせに自ら知ろうとしていない父親も
新しい言葉を知っているだけですごいと反応している母親も

これらに深く関わらず受け流している姉も。

1番気持ち悪かったのは
これらを気持ち悪いと思っているのに

無意識にこの家族のパーツとして
この家族に溶け込もうとしている私だった。

父親も母親も姉も私も全員気持ち悪くて泣いた

私は大学で勉強したりニュースを見て
考えが深くなったつもりでいたけれど
あの家にいると浅はかな子どもでいらされているようで怖かった

あれほど何もしない父親に対して何も言えなくて
ただ何も考えなしに父親を受け入れる母親に失望して

でもそれらを変えようとせず昔のままでいる私を殺したかった

正月や盆は友人は帰省してて
すごいなと思う。

帰省することで何も変わらない自分に失望して
まだ変わってない父親と母親を見ることで

何かが失われるような気持ちになる

みんなは親に失望とか、気持ち悪さに泣くとかないのかな。

親に気を遣ったりしないの？それで心が詰まったりしない？

今まで一度も友人との会話でそういう話が出てこなくて私が異常なのかなと思っている。

何が普通なのかな。ただネガティブな会話にしたくなくて言っていないだけなのだろうか。

ただ、私として生きていきたいだけなのに
血のつながりはずっと切り離せなくて困るね

父親も母親も尊敬できなくて
ただ教育を受けさせてくれて大学に行かせてくれたことだけ感謝してる

私は違和感に気付いて泣くことも増えたけど
気付かないままの方がずっと最悪だったと思う

家族への憧れもないむしろ結婚なんかしたくない
みんなどうして当たり前のようにライフプランに結婚や出産が組み込まれているだろう

私は私が異常であることを隠して
これまでもこれからも生きていくんだと
いつの日からか思ってる