【日記】外用薬は思ったより沁みる

 おでこに梅干しを貼るだとか、ガマの油を塗るだとか、特に民間療法の怪しい治療のイメージから派生して、外用の薬は、まず内服に比べて効果が弱いイメージ、きわめて対症的であるイメージ、薬を「つけている」感が感覚的に感じられるがゆえに、信じられすぎているイメージ等々が重なり、信頼していなかった節がある。
 けれども、最近その外用の薬の効用が思いの外深く、細胞壁が、イオンチャンネルを通して外部とコミュニケーションを取るのと同様に、人間の皮膚自体も、敏感に「何に触れているか」を察知し、取り入れるものは取り入れ、排除すべきものは排除し免疫として機能するなど、さかんに反応しているものなのかもしれない、と思い直してきた。

 ひとつ。先日歯医者での治療を受けた後、歯科衛生士に、フッ素入りのうがい薬を勧められたので、買って使っている。
 まだ効果は見えない。だが、おそらく、これが本質的には、一番口腔内の環境をよくする歯科的アプローチなのだろう。
 事実として、あるアメリカの都市の上水で、誤ってうすい濃度のフッ素が混入したという事件があった。フッ素は、濃度を間違えてしかも服用してしまえば、毒性をするどく発揮する劇薬ではあるけれども、それだけに、菌に対する効果も高い。その都市の子供たちは、そのちょうどよく混ぜられたフッ素によって歯にコーティングが出来、虫歯の発生率が目に見える形で低下したのだという。

 もう一つ、目のかすみを改善するため、目薬をうつようになった。フルスルチアミンだか、ビタミンだか、そんなようなものが入ったもので、こういう目薬の場合、一回差して終わりなのではない。数分間隔をあけて、何度か差して効用が出てくる、というものらしい。そう説明書きに書いてある。
 最初の一滴で、角膜の浸透圧が微妙に変化するのがわかる。おそらく、これがなければ、有効成分が染み渡るということがないのだろう。二度目、三度目で、それほど沁みなくなる。浸透圧が同じ程度になった証拠だ。ここから、液体の内部の物質の交換がおこなわれるのだろう。そんなイメージを、目薬を差すときにしている。

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