小豆沢家の一族(五)特別編――兄
父のお次は兄である。連続して楽な道を選ぶ私に幸あれ。
おそらく、私が今までで一番言及している家族が兄だろう。やはり兄妹なので、一番良くわかり合えているという相対的な部分もあるし、家族の中でも一番アホな話が多いという絶対的な理由もある。
ここで父と兄の違いについて述べよう。このときの兄は、しかつめらしい顔を作り、腕組みまでして一生懸命考えているという様子をこれでもかとばかり醸し出しながら「……多分、ええとこ760ぐらいちゃうかなぁ?」と言っている。演技派なのだ。今ワタシ