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エッセイ

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小豆沢家の一族(五)特別編――兄

 父のお次は兄である。連続して楽な道を選ぶ私に幸あれ。  おそらく、私が今までで一番言及している家族が兄だろう。やはり兄妹なので、一番良くわかり合えているという相対的な部分もあるし、家族の中でも一番アホな話が多いという絶対的な理由もある。  ここで父と兄の違いについて述べよう。このときの兄は、しかつめらしい顔を作り、腕組みまでして一生懸命考えているという様子をこれでもかとばかり醸し出しながら「……多分、ええとこ760ぐらいちゃうかなぁ?」と言っている。演技派なのだ。今ワタシ

小豆沢家の一族(四)特別編――父

 今まで私がポストしてきた、父に関するストーリィにコメントしていこうと思う。  昔のネタをひっぱりだしやがって、楽をしようとしているんだろう貴様! と見えるかもしれないが、それは違う。今までこんなことぼやいてきたんだなぁと、ノスタルジィにひたるための回顧録にしようとしているのだ。  しかしながら、それはまあ、どちらかといえば後者のほうが自分勝手だし、実際楽なので、いざ不平不満がきたとしても、何も言い返すことはいたしません。  父は大体のものを「うまいうまい」で済ましている。

小豆沢家の一族(3)

 小豆沢家の悪いところは一つ。他山の石が実践できないところである。  本当はもっとたくさんあるかもしれない。いや、間違いなくある。でも、今書いている時点で思ったのはその一つだから、この気持ち、ウソではない。言葉の綾。別に構いませんよね。  人の失敗談はとにかく大好き。毎日がぶ飲み。二リットルは摂取したい。そこから何かを学び取り、人間としてちまちま成長していっていればきっと、明治が始まった時点では華族に序列されていただろう。  だから、先祖に対しては怒りを覚えている。なぜ君

小豆沢家の一族(2)

 おおよその女性の本能に抗えず、母は旅行が好きだ。さまざまなところに家族旅行で赴き、キラキラでアゲアゲで豪奢なハッピィライフをSNSで見せつけ、表向きの賞賛と裏で発酵する妬みにまみれることを是とする、というわけではない。  本当に、単純に旅行をするのだ。家族がこんな年齢構成になっているので、全員で行くということはまずない(そもそも、母以外のメンツはあまり旅行が好きではない)。  母が個人的に友達と旅行をするだけだ。  こんな書き出しだと、さも母のずっこけ旅行談が始まると思う

小豆沢家の一族(1)

 最初に言っておく。この文章は「犬神家の」や「華麗なる」とは、大いに趣が異なる不真面目極まりないものである。  文学界に与える影響も皆無だし、世界平和にもつながらないような散文だが、どうしても書かなくてはいけないのっぴきならぬ事情がある。  理由は実に簡単で刹那的である。  Xにおける私の投稿の中では、まちがいなく一番ウケるネタだからだ。  一応、現在は趣味の創作アカウントとして運用しているのだが、「趣味である音楽」や「趣味である文学」、「趣味である音楽や文学のシナジ

トラックボール(EX-G)の修理

私はトラックボールを愛用している。 もともとは兄から譲り受けたもの。使ってみるとマウスより圧倒的に楽だったので、すっかりトラックボール信者になってしまった。 それが、壊れた。 左クリックがチャタリングを起こし、シングルクリックのつもりがダブルクリックになったり、ドラッグしようと思ったのにすぐに離してしまったりと、とにかく通常動作もままならない状態になってしまったのだ。 そこで私は、以前から気になっていたトラックパッドに手を出すのだが、それはまた別の機会に話そうと思う。

海がきこえるときもある(エッセイ#9)

#わたしと海 さて、今回は海だ。何を書こうか……。 私のエッセイを連続して読んでいただけている方がいるならば、おわかりだろう。おおよそ私のエッセイテーマは、何かの応募を兼ねている(とてもゲス)。 海の想い出はほとんどない。なら書くなと言われそうだが、書いてやろうじゃないか。逆境こそ燃える、スポーツ以外ではあまり役に立ちそうもない精神構造を私は持っているのだ(順風満帆でも凪でも向かい風でも、いつでも実力を出せるほうがいいに決まっている)。 リアルな話。海に行ってもあまり

SDGsについて屈折しきった香ばしい気持ちをぶちまけてみせようの巻(エッセイ#8)

#未来のためにできること まず、問いかけたい。MDGsをご存じですか? おそらく99%の人がご存じないのではなかろうか。 これはミレニアム開発目標というやつで、2000年から2015年までの国連目標だったものだ。 SDGsはそれの後釜で、2015年から2030年までの目標。 知名度では圧倒的な差をつけてSDGsに軍配があがるだろう。現在、SDGsの文字を見ない日はない、といっても過言ではない。 この温度差はなんなのだろう? どちらも、よりよい世界を作るための目標

エッセイのレベルアップを図る方法教えます(エッセイ#7)

#わたしのチャレンジ エッセイを書く、という私のチャレンジの舞台裏をご紹介しよう。 ※わたしのチャレンジという応募に寄せたかったので、こんな内容にしちゃいました。 通算すると七作目になるようだ。ここらへんで一つ、こなれた感じを出していかねば、いつまでたっても内容も文体も成長しない野郎だと思われ、飽きられてしまうだろう。そもそも読者が少ないのだから一人二人の読者離れが致命的である。 では、どのようなエッセイを私は書いていきたいのか? ……軽妙洒脱な語り口で、世に存在する

ものを買う勇気(エッセイ#2)

#創作大賞2023 #エッセイ部門 財布の紐の固さで相撲をとれば、私は小結ぐらいにはなれるのではないかと思っている。 かつての活動拠点である「ボカロP」グループの中では圧倒的だろう。 ボカロPという趣味を持つと、やたらとお金がかかる仕組みになっていて、「あれを買った」「これをサブスクライブした」「それを外注した」というつぶやきが雨後のたけのこのように周りからニョキニョキと出てくる。 音源、プラグイン、イラスト、動画……とかくにあの世界は住みにくい。 私はしっかり者で

エッセイのエッセンスと草刈さん(エッセイ#3)

#創作大賞2023 #エッセイ部門 さて、エッセイとはなんであろうか。 もちろん、国語辞典的な回答を用意しているわけではない。 今までに二本書き、そして、他の方の文章を読んで私なりに考えた、エッセイのエッセンスというものについて述べたい。 第一は内容について。 身近にあった出来事。これを面白おかしく書くのが主流。ということは、自分の失敗談がベストだ(悲しいことに山ほどある)。 多分、世間的に関心のあるニュースに対する考えなんかを書いてもいいんだろう。書いている人もい

たこ焼き学(エッセイ#4)

#創作大賞2023 #エッセイ部門 何を隠そう、たこ焼きが好きだ。 カリッとした表面。ふわっとした中身、弾力に満ちた歯ごたえ。 こんにゃくを入れるだとか、明石焼きのように潔く中身を抜いてしまうだとか。様々なバリエーションがあるが、もちろん全て邪道である。愛すべきはシンプルなたこ焼きただ一つ。世の中に通用するのはシンプルなたこ焼きただ一つきり。 これをたこ焼き本位制と言う。他のものはたこ焼きに対するレートが設定されているだけで、うたかたの存在である。 そうまで言い切る私

コンプレックスと付き合う秘密の魔法(エッセイ#5)

コンプレックスというのは、誰でもご存じのとおりやっかい極まりないものである。 私には年の離れた兄がいるのだが、そやつに対して感じることが多々ある。 長年の鬱積を一言にまとめてしまおう。 ヤツに対して「勝った!」と感じれることがほとんどないのだ。 運動にしろ、勉強にしろ、趣味娯楽にしろ、父母からの愛にしろ、人格にしろ。 向こうがどう感じているかは知らないし、周りにどう見えているかもわからないが、私自身はそう思っている。 しかしながら、それが理由で一人悶々するわけでも

生き写しと言われたあの娘(エッセイ#6)

#私の推しキャラ #エッセイ 外見ではなく、中身についての話だ。 その前に、一見関係なさそうな事前情報をご提供。 我が家では、藤子不二雄が神である。子供の時、マンガやアニメを両親から制限されていた。しかし、藤子不二雄作品だけは治外法権の取扱いで、かなりの冊数が小豆沢家文庫にあった。理由はつまびらかにされてはいない(大人になった今なら心で理解できます)。 閑話休題。 私は両親や兄から「お前は本当にエリちゃんそっくりだ」としょっちゅう言われてきて育った。 エリちゃん。み