大人はそんなに偉くないし凄くもない。-羅針盤の話①-

 大人はそんなに偉くないし凄くもない。同じだよ、同じ人間なんだ

 ただ時間の長さがちょっぴり違うから、なんだか大きくみえるものなのさ。
 だからほら、歳を重ねて近づいてごらん。
「あれ、こんな小さかったっけ?」っていつか思う日が来る。
 そんなものなんだよ。

 ぼくは本当は「凄くない」という言葉はあんまり遣わない。
「凄くない」ことなんかないんじゃないかって思うから。でもこの話では、わかりやすくするために「凄い」と「凄くない」に分けてみようと思う。

 本当に凄いもの

 大抵の凄いものは、大して凄くなかったりする。そして本当に凄いものとは、ずっと変わらずにそばにあり続けるものなんだ。自分が気づかないだけで。

 だって凄いから残り続けるんだよ。それが必要だから無くせないんだ。

 空気だってそう、無かったら生きていけない。だからもし無くなりそうになってしまったら、みんな必死でどうにかしようとするだろう。

 凄くなければ淘汰されいずれ表舞台からは消えていってしまうんだ。
 その時その瞬間その時代に必要とされなくなってしまうからね。

 普遍的なものは、本質をとらえているから時間の概念に縛られない。時代をこえて愛され続けていく。
 そういったものに気づけるようになれたなら、人生、結構楽しくなるよ。

 君の中にもそういった変わらない愛すべきものがたくさんある。

 それが君の羅針盤なんだ。

 君の中の羅針盤をみつけてごらん。

 それはいつだって君のなかにあるんだ。

 自分が感じること、思うもの、考えること、それは君の羅針盤から生みだされている。他の言葉を使うなら、信念、人生観、ポリシー、生き様、自分の中のすべての答え、自分の哲学etc…。

 それさえ見失わなければ、自分を見失うことも悩むこともなくなる。羅針盤が指し示す方にいけばいい。それが君にとってのすべての答えなんだ。

 大切なのは、自分の気持ちを大切にすること。素直に感じること。どんなことでも、いったんは受け止めること。

 忘れないで。

 君がどんなふうに感じ、思い、考えたとしてもそれは君だけのもの。何にも侵されない。侵すことはできないんだ。

 君自身の価値は変わらない。

 君はとても尊いもの。

 そして誰しもが尊いんだ。同じだよ。どんなものにも価値がある。

 価値とは、基準が決めるもの。けれど基準がいくら変わっても、基準をあてるものが変質、変容するわけではないんだ。

 ここは認知の歪みによって錯覚しやすいけれども、そうではないんだ。

 とても大切なことだよ。

 君がもう少し大きくなったなら、もう少し詳しい話をしようね。

 今は、自分には価値がある、居場所がある、ここにいていい、望まれて生まれてきた、だから今、ここにいるんだ。そう信じていて。

 大丈夫、君が不安になったら、いつでもぼくが抱きしめる。君は君なんだ。そしてどんな君であっても、ぼくは大好きだよ、愛しているって伝え続けるから。

 ぼくのなかにはいつだって、君の場所があるんだ。

 親とはそういうものだよ。

 心で繋がっているんだ。

 愛しているよ。

 いつだって親は我が子を案じ、幸せを願ってやまないものなんだ。
 いつでもぼくは、君のよき理解者でありたいし、いつでも肩を叩いて笑いあえるちょっと老けた友人でありたい。
 君の最後の砦、羽を休める止まり木、君の背中を預けられる存在でありたい。

 心で繋がった家族とは、最高のセーフティゾーンなんだ。
 ぼくはそういった家でうまれてこなくて、そういったものを知らなかった。
 けれども、君のもうひとりの親である人生の伴侶と出逢って、そしてうまれてきてくれた君たちと出逢って、少しずつ、それを教えてもらっていっている。

 無償の愛のあたたかさ、すばらしさ、深さはまだまだぼくには到底、想像もつかない。
 けれどもきっと、いつか、それを人にいいものだよと言えるように(もちろん今でもそう思ってはいるのだけれども)、もっと感慨深く、そのよさを伝えられたらと思う。

 そしてそれは、君たちがいつも、ぼくに教えてくれているものの1つなんだ。

 いつも本当にありがとう。
 毎日言っている言葉だけれども、やはり、これがぼくのすべてだなと思う。日々、君たちに感謝してやまない。
 ぼくにとっての当たり前が幸せだなんて、夢のように最高な贅沢をかんたんに君たちは叶えてくれるんだ。ただそこにいるだけでね。
 これ以上の望みなんてない。

愛しています。
2022/2/15 from I.


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