テクニックだけ学ぶとダメになる
私は、カリスマ塾と呼ばれる、
かなり大手の進学塾で教えていた経験があります。
そこでは、徹底的に
テクニックを教え、
テクニックを定着させるための反復練習をさせます。
もともと、入塾テストもある塾ですから、
塾生は頭がよく、
テクニックを教えてあげるだけで、一気に成績はあがります。
もし、お子さんを塾に通わせる目的が
「短期間に成績をあげて、志望校に合格する」
一択であれば、こうした塾は
ご希望に適した最もいい塾だと思います。
でも、テクニックを覚えるだけの勉強は
必ず行き詰まります。
その行き詰まりがどこでくるかは
子どもによって違います。
その子のそれまでに培ってきた力の差や
ものの考え方や性格の差、そして
その後の環境レベルの差でも大きく違いがでます。
でも、必ず
テクニックだけを身につけた子の限界はやってきます。
中学に入ってくる、
高校に入ってくる、
大学に入ってくる、
社会に出てくる、
場合によっては、受験直前にくるお子さんもいます。
そして、
テクニックしか知らない子どももそのご両親も、
本当は基礎がスカスカ状態なのに、
なまじ成績がよかったせいで
不要なプライドがあり、
基礎を学び直すことをなかなかしようとしません。
というよりも、基礎がないことにすら気づきません。
それはまるで、
ひらがながまだ読めない幼稚園児が
お母さんに何度も何度も読んでもらった絵本を
そらんじているようです。
そう、その絵本については、
ひらがなを覚えたお友達が、
一字一字、一生懸命時間をかけて
文字を追いながら読むよりも
早く正確に言うことができるので、
お友達よりも読めないことに気づけないのです。
けれど、
読んだことがない本はまったく読めません。
テクニック以上のことはできない。
知らないことはわからない。
自分で考えられない。
そう、技術(テクニック)だけで、
目的を達成するための基本的な知識がないから。
問題に向き合い、自分で考えるために必要な知識がないから。
そして、自分の知識を最大限使って、
目的の為に時間がかかっても向き合うという経験がないから。
そして、時間をかけて問題に向き合うという、
そうした姿勢が定着していないから。
基礎をしっかりと自分の中に落とし込み、
豊富な知識を身につけ、
その知識を利用して、問題に向き合い、
時間をかけて、自分の力で解いていく
という学びは、行き詰ることがありません。
正確にいえば、行き詰っても
ああ、知識不足、向き合い不足とわかるので、
どうしていいかわからなくなることがないのです。
でも、こうした学びは、
とにかく時間がかかり、結果がなかなか出ません。
半年後には受験を控えている状況では間に合わない。
だから、私は
テクニックを教えてすぐに結果を出す勉強方法が
ダメだとは思いません。
ただ、子どもも保護者も知っていてほしい。
それは、あくまで応急処置であり、
本当の学びではないということを。
本当に賢くなるということとはむしろ乖離しているということを。
だから、受験という目的が達成されたら、
もう一度基礎に戻り、
本当に必要な知識を身につけていく必要があるということを。
そして、もし、お子さんにまだ猶予があるのであれば、
本当の学びを子どもにはさせてあげてほしい。
テクニックではなく、
基礎の繰り返しで知識を身につけ、
自分で試行錯誤して問題に取り組むことで
自分で考え、問題に取り組めるようになる
そうした本当の学びをさせてあげてほしいと思います。