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0712「営利法人」

日本に長い間いるので、いろんな人に状況のアップデートをしに行っている。BASSDRUMは、やっていることが一般的に理解しやすいものではないので、まずは「あの人にはわかってもらえると嬉しい」という人に突っ込み気味に説明しに行く。開業してからなかなかこういうことをする時間がなかったので、やっとこういうことができる。

会社というものの運用とか会計というものにすごいアレルギーを持ってきた。
今の私はもちろん、会社のお金の出入りとかそういうのをかなりやっているが、いくつかの会社の役員をやっていたものの、自分で細かくきちんと整理するのがわりと初めてで(アメリカの会社ですら、お任せしている人がいた)、知識不足を露呈して人を困らせることも多い。しかし、そんなこんなでいろいろやっていくうちに、だんだんアレルギーがなくなってきた。請求書出すのも、会社員になる前のフリーランスの頃なんかは苦痛でしかなかったが、今は結構楽しめる作業だ。

アレルギーもなくなってきたのでそろそろちゃんとしよう、と思うが、あんまりマニュアルみたいのを見ても楽しくないので、面白そうな経済系の本を少しずつ読み始めている。有名な「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」から始めてみた。まだ前半しか読んでいないがものすごく面白い。お金というものには歴史があって、とてもシンプルなものなのに、すごく奥が深い。まるでバックギャモンのようだな、と思う。

というよりもむしろ、カジノにおけるギャンブルは、経済というものをシミュレーションしているよなあと思う。私が一番愛してやまないカジノの競技はクラップス(サイコロを2つつかうやつ)だが、誰もルールを知らないしわかってくれないので、ルーレットで考えると、赤の数字か黒の数字どっちが出るかに賭けるとそこに置いたチップが2倍になる。赤にチップを置けば当たる確率は「約」1/2、外れる確率も「約」1/2。なので「2倍」だ。「約」と言っているのは、赤でも黒でもない緑色の「0」という番号があるからだ。形式によってはもう1つ「00」という緑の枠がある場合もある。

同じ理屈で賭けられる偶数か奇数か、みたいのもある。テーブル上の数字の3列の数字のどの列に来るかを賭けるやつもあって、それは確率が「約」1/3で当たる、「約」2/3で当たるものなので、当たると3倍だ。もちろん、30個の数字のうちどれがでるかを当てると30倍だ。当たる確率が約1/30で、約29/30の確率で外れるからだ。

「0」「00」問題があって、これがあるがゆえにカジノというのはカジノ側が勝つようにできている、ということになるのだが、そのへんの話をしだすと長くなるし面倒なのでしない。こういうのは、勝てそうな確率に応じて倍率が設定されているというもので、ローリスクだったらローリターンだし、ハイリスクだったらハイリターンなのだ。

しかし、ことは簡単ではなくて、たとえば、当たったら30倍のところに1ドル賭けると、29/30の確率で1ドルは失われる。この確率は毎回同じで、同じ数字に賭け続けたとして、基本的にはいくら負けが続いても、次の回で負ける確率は29/30だ。実は大数の法則というのがあってどうのこうのというのを言い出すとまた面倒くさくなるのでやめるが、要するに、この賭け方をして29回連続で負けたとしても次勝てるとは限らないということだ。まあ勝てないと思っておいた方が良い。30回連続で負けたら30ドルの損だ。

ところが、赤か黒か、2倍になるところ、例えば黒に10ドルを賭けたとして、3回連続で赤が出て負ける可能性というのは、1/8だ。7/8の確率で1度は勝つ(それでも三回連続赤なんていうのはザラであるから、ギャンブルは奥が深いのだが)。3回のうち2回以上黒が出る確率は、1/2となる。発生しうる全パターン、赤3、赤2黒1、赤1黒2、黒3の4パターンのうち2つがそれに該当するからだ。そうすると、この賭け方をしたとき、1/2の確率で手元の30ドルは40ドルになる。うまくいけば60ドルになる。

さらにいうと、これが思い切って1回に10000ドル(100万円ちょい)賭けちゃったとしても同じ確率だ。3回同じことをやって、1/2の確率で手元の30000ドルは40000ドルになる。うまくいくと60000ドルになる。

こうなると、これは賭け金を上げるというリスクを取っているのでハイリターンになる。数秒で300万円とかのお金がポーンと儲かる。しかし、確率的にはこれはローリスクなので、もうこれは、300万円を賭ける勇気や度量、あと余裕があるかどうかの問題になる。主に余裕がものを言う。なので、お金がないときにギャンブルをやるのは悪手だ。あれは、お金に余裕があるときにやるべきものだと思う。

単純に、ギャンブルの趣深さについて書いてしまった感があるが、会社とか商売をやる場合は、結構努力でリスクを下げてリターンを増やすことができるので、実はギャンブルより時間はかかるが簡単だ。局面によってはより、難しいが、そんなときは見に入っても良いし、ミニマム・ベットもない。努力で勝率が変わるギャンブルは、いくつかあるかもしれないが、たぶん商売というのはすごくその効率が良い。その上でさらに、勇気と度量と余裕で大きく出ることもできる。

今の会社はそういうのではないけど、どこかで徹底的に営利を追求しまくる会社を一度でいいからやってみたいなと思う。それはそれで楽しいはずだ。

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