0201「俺たちの食い物触媒」
日本に来ると怒涛のように人と会って打ち合わせをこなすことになる。いろいろな理由があってアメリカと全然商習慣というか労働習慣が違うので、どうしてもそうなる。
その中で、週明け月曜日のBASSDRUM公開総会(https://public.bassdrum.org/)の準備を進めているのだが、このイベントは半年に一回開催しようと思っているので、お客さんにまた来てもらえるようなおもてなしをしたいなあと思っている。BASSDRUMは始まったばかりのチームで、その周辺に興味を持ってもらえてすぐに参加登録をしてくださった方々はとても大事な人たちだと思うので、何かをしたい。
私はニューヨークにいながら日本の炎上まとめを彼岸から読んで無駄な時間を過ごしているが、こないだの炎上絡みで目にした広瀬隆雄さんのKISSに関する連続ツイートがすごく大事なことが書いてあるなと思って、これはすごく意識しなきゃなあと思っている(ちなみに、脱社畜サロンそのものについてはどうもこうもないです)。
で、そんなわけでこのイベントは継続して続けていきたい。人間は何を動機にイベントやお店なりなんなりにリピートするのかというと、そりゃあもちろんイベントそのものの有益性があればリピートしてもらえるのだと思うのだけど、「あそこに行くとあれが食える」というのは結構あるのではないかと思っている。
たとえば、一番わかりやすい話でいうと、映画館にはもちろん映画を見に行くんだけど、その上で「あ、ポップコーン食えるし映画でも見に行こうかな」という人は結構いるのではないか。
あるいは、大阪には仕事で出張だが、「やった! 田中じゃない串揚げ食いに行けるぞ!」というのは当然ある。
打ち合わせなんかだってそうだ。昔、カイブツさんやバスキュールさんが愛宕のケミカルビルに入っていた頃は、ケミカルビルに行くのが楽しみで仕方がなかった。なぜかというと、港屋のそばが食えるからだ。港屋は、通常のそばとなんか違う剛直な唯一無二の硬質な麺を殴るように提供するそば屋を超えたそば屋だ。
電通に打ち合わせに行くと、「あのイチゴミルク」を飲めるかもしれない、というのも同じだ。
ユニクロの感謝祭で店に並ぶのは、朝から、配布されるアンパン食いたいからという人もいるかもしれない。アンパンなんてどこでも食えるが、食い物というのは風情が付随するものだから、「ユニクロに並びながら食うアンパン最強」というのはわかる。
こういうのを必要に応じた行動モチベーションを補足的に食い物が増進するという意味で、「食い物触媒理論」と勝手に呼んでいる。
なので、定期的にやっていくであろうBASSDRUM公開総会にも「公開総会に行くとアレが食える!」という食い物触媒を用意しなければと思い、古くからの友人が結婚した奥さんの実家である桜新町の辛子蓮根屋さん「ふくとく」にお声がけをした。
私の東京の自宅は世田谷の馬事公苑にあるのだが、東京オリンピックのおかげで馬事公苑が一時封鎖になるまでの間、「世田谷区民まつり」というものが馬事公苑で開催されていて、「ふくとく」はそこにいつも辛子蓮根即売テントを出していて、自分にとっては夏に東京に帰ったら区民まつりに行って辛子蓮根と宮古島のテントのアイスボンボンを買う、というのが自分にとっては「世田谷区民まつり」に対する食い物触媒になっていた。
私は東京オリンピックというものに対してポジティブかネガティブ化でいうと、結構ネガティブな気持ちを持っているが、その理由の95%くらいは、「馬事公苑が封鎖されて区民まつりが移転したから」だ。
BASSDRUMと辛子蓮根には一切の関係がないが、普段生活しているとあんまり、辛子蓮根食わないので、このマイナーな技術イベントのオフィシャルフードとして辛子蓮根を導入することで、「BASSDRUM?、あーあの辛子蓮根の!」となるに違いない。最終的に辛子蓮根を食いたいからイベントに行きたくなる、がゴールだ。
というわけで、当日は辛子蓮根とその他熊本系食い物の即売も行ってもらうことになった。来れない方で辛子蓮根食いたい方は、来る人に頼んで頂ければ幸甚です。