0606「ミニチュアの街」

時差ボケがそれなりにひどくて、夜に酒を飲んでいると早い時間に睡魔に襲われて3時くらいに起きてしまう。そうすると、ニューヨークの現場で微妙に不具合が起きている連絡が来ていて、リモートで調整をしたりすることになる。こういう形でオペレーションするのは、こういう現場の仕事では常識ではあるが、おかげでどうにかいろんなところを飛び回っていてもいろいろ対応できる。

ニューヨークからたまにやってくると、道というものがものすごく細く見える。たとえば、私の東京の自宅は世田谷通りの近くにあるので、帰るたびに世田谷通りを通過するが、世田谷通りといえば、東京に暮らしている感覚だと、両側一車線ではあるもののそれ相応の大通りであるはずだ。しかし、アメリカのノリで考えるとやたら細い。ニューヨークという街は碁盤の目のようになっている。横にたくさん走っているのが「ストリート」、日本語でいうと「丁目」だ。縦に何本か走っているのが「アベニュー」、日本語だと「番街」だ。59street 5avenue、とかだと、「5番街59丁目」とかになる。で、イレギュラーで「ブロードウェイ」みたいなものがその碁盤の目を斜めに突っ切っている。

で、アベニューは、基本的に太くて、片側2〜3車線くらいある。広い通りだ。横に走るストリートは、片道1車線の小道ということになる。

それでも、日本に来ると、たぶん子供の頃から大通りとして認識していた世田谷通りはニューヨークの感覚でいうと概ねストリートと同じくらいの広さしかなくて、実際、下手したらそのへんのストリートより狭そうな感じがする。

これは他の通りなどもしかりで、246などは巨大な大通りで、渡るのにすごいエネルギーが要る何かだったはずだが、実際はニューヨークのアベニューとだいたい同じくらいだ。

そうすると、なんだか小人の国に来てしまったような感じすらする。東京に帰ってきたというより、東京のミニチュア世界に帰ってきたような気がするのだ。

そしてしばらく過ごすと慣れる。ニューヨークに戻っても、そこが巨人の街という感じはしない。

メッセンジャーで「今年はカンヌに来ないんですか?」と聞かれた。カンヌというのは、フランスのカンヌで行われるカンヌ国際クリエイティビティフェスティバル、つまり広告賞のことだが、これは毎年6月に行われる。完全に忘れてしまっていたが、以前は、カンヌを中心にいろんなものが動いていて、6月になるとソワソワし始めたものだった。この時期のカンヌとかあのへんの地域は、とても気候が良いし、用があったら行きたいなあと思った。あんまり用がないのだが、誰か用をつくってもらえないものだろうか。

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!