1206「あのマカロン状の何か」

長距離のフライト中はあまり仕事をやる気も出ないし、時差ボケ対策もあるので、通常その前にガッと覚醒して溜まっている仕事を片付けたりするのだが、昨夜はそれなりに深酒をしてしまった。

午前3時とかに地下鉄で帰宅し、酩酊しながら緊急で対応しなければいけないものに対応し、フライト用にいろいろ充電して、荷づくりをして2時間くらい寝た。

私は飛行機に荷物を預けるのが好きではないので、基本的にリュックサックといつも使っている手提げカバンだけでどうにかしてしまう。今回は機材運んだりとかもないので、酔っていても反射的に適当に荷づくりを完遂できたが、どうせ到着したら何か忘れていることに気づくのだろう。

行きのフライト前にはあまり経験したことのない二日酔いというか、2時間しか寝てないので、普通にまだ酔っている状態で、子供たちに起こされて、すぐに出かけた。朝早くて会えないと思っていたので、会えて良かった。酔っている状態である自分への信頼感は低いので、空港がJFKではなく、ニューアークであるということを3回確認してuberを呼んだ。

東京から出かけるときに成田と羽田を間違えるように、ニューヨーク周辺には3つ空港があるので、注意しないとやられてしまうことになる。

何しろ、こういう長いフライトの前は、それなりにしっかりと心構えして、機上で読みたい本をダウンロードしておいたりとか、ちゃんとやるのだが、二日酔いがひどくて、いろいろ適当な状態で、なんかこんなふわふわした状態で地球の裏側に向かって良いのかよくわからない、心の残尿感が高い中で、有無を言わさず飛行機は上海に出発した。

エコノミーの一番前の足が伸ばせる席に座れたのでそれは良かったが、ユナイテッド航空は、エコノミーとビジネスの仕切りのカーテンがシースルーなので、すぐ前で、ビジネスクラスの上流人間たちがフルフラットで横臥し、銀器で軽食を配膳されているのが見える。上流階級の宴を背景に、私のタブレットでは小三治が「金明竹」を演っている。名人は、私のような下層階級にも分け隔てなく、噺を聞かせてくれる。

下層階級なりに、フルフラットではなく、隣の中国人の婦人の足が私の領域に少しはみ出ている状態で、それなりの時間寝て起きて、日課として決めたことだから仕方ないと思って日記を書き始めた。酒は完全に抜けて、頭ははっきりしていた。あと5時間で上海に着くらしい。中国時間はいま朝の8時だから、時差ボケはわりと抑え込めたかもしれない。

前回ニューヨークから上海に来た際は、着陸直前に東京から急ぎの対応でいろいろすごい怒られてしまって、空からいろいろ対応しつつ、着陸して入国してから空港でずっとガクブルしながら緊急対応していたのを思い出す。

今回は何もないと良いが、あのときはまだ新しい会社をちゃんと始める前だった。そんなに時は経っていないけど、短い間に会社はちゃんと回り始めたし、一緒にやってくれている皆さんには、感謝以外ないな、などということを思いつつ、目の前のビジネスクラス民たちには、マカロンのような何か素敵なものが配られ始めた。あのマカロン状のものが、目の前のシースルーのカーテンを超えてこちらにやってくることは、万に一つもない。

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