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0613「ホームシック」

このところ毎朝だが、朝起きると、いろいろ今日解決しないといけない問題がずーんと迫ってきて憂鬱になってしまう。これは人間としてとてもダメな状態で、いわゆる「毎朝社会に出るのがつらい」みたいな状況だ。私は大丈夫なんだろうか。結構、毎朝起きるのが楽しいみたいな時期はあったのだが、要するにそれは開発とかに没頭できているようなときなのであって、何が問題なのかというと、つくづく自分は人間関係というものが苦手なんだな、とか思って、悩んでいることが中学生くらいから変わっていなくて、なんかすごいなあと思う。

今日も半田ごてを携えて現場に行ってきた。ちょっと繊細な作業になるかもしれなくってかなり緊張したが、1つ1つ冷静に対処して、どうにか完了した。ハードウェアは不可逆的にぶっ壊れることがあるので、ちょっと間違えると地獄になる。どうにかなった。誰か褒めてくんねえかなあと思うが、誰も褒めてくれない。

ハードウェアを片付けてから、デバッグをお願いしているスタッフが再現できないでいた既知のバグを再現しに行った。再現しないと直せないので困ったなあと思っていたが、結構すぐ再現した。誰か褒めてくんねえかなあと思うが、誰も褒めてくれない。

自虐的に、これがベースドラム(=リズムセクション)の悲しみだなあと思う。これが報われるまで生き抜かなければならない。

昨日友人とtextしていて、その流れで、うちの父のpodcastを掘り返してみた。もうこれは10年以上も前なのか。 私が 制作会社に就職してちょっとしたくらいの頃だ。

とりあえず、なぜイントロの音楽がメタルなのか、というところで混乱させられる。そして、その後にしゃべっている内容がまったく頭に入ってこないというか、なんか「超電導」みたいに言葉が言葉として脳を通過して抜けていく。何も残らない。突然山手線の中のノイズを流し出したりしたあげくに、最後はカエルの鳴き声で終わる。

こう、いろいろ悩ましいときに、この実父(清水鱗造)のpodcastは非常にいい。何が良いって、癒やされるとか救われるというか、どうでもよくなる。ああ、自分は広大な銀河泡状構造の銀河系の中の太陽系の中の地球のアメリカのニューヨークの片隅で、何をうじうじしていたのだろう、などと思う。加えて、自分はこの超電導生命体の子供なのだから、明るく前向きに生きる素質はあるはずだ。

現場で父の言葉を流しながら、誰も褒めてくれない作業に集中して、どうにか苦境を乗り切った。なんだかんだ言って父なので、この年になって、軽くホームシックになりそうになる。思えば遠くに来たものだ。父ちゃん、私はがんばるよ。眠れたし、体調が少し戻ってきた。煙草を喫いたい。