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0419「面で伝える」

イースターお休みでカナダに来た。アメリカ生まれの日本人兼アメリカ人である次男と長女にとっては、はじめて日本とアメリカ以外の「外国」だったりする。

だからと言ってカナダだし、本人たちは特に違和感を感じていないみたいだが、高校のとき初めて嫌いな先輩から逃げてアメリカに交換留学に行った人としては、海外で生まれて海外で育つというのは、どういう感じなのかなかなか想像できない。

夜に、レストランでオニオングラタンスープを食ったのだが、例によってスープの上に器ごとチーズをかぶせているやつで、スープを食い終わってから器にくっついたチーズを剥がして食っていたら、妻にみっともないと言われた。しかし、あのくっついたチーズを剥がして食うのが一番うまいわけで、あれを外したらオニオングラタンスープじゃないのではないかと思う。

で、昨日書いた通りお休み中はとにかくこの日記に時間をかけたくないので、読んだ本の感想を適当に書いてお茶を濁していきたいと思う。

今日は2ちゃんの有名トレーダー、CISさんの「一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学」について書く。ちょっと前に読んだ。「資本主義は最高に楽しいゲームで、しかも強くなるとめっちゃ儲かる」というのが主軸な気がする。つまり、金持ちの独白とかではなくて、ゲーム好きな人がゲーム愛について語っている感じの本だ。

こういうトレーディングの本とかって、結局金の話しかしなくって、その周辺にある風情について書かないことが多いので、結構トレーディングにまつわる風情に走っているこの本は、私にとっては正解だった。

「株、楽しそう!」と思わせてくれる本だ。誰かが、「今の時代、『楽しい』より『楽しそう』の方が重要」と言っていたが、しかしそれは、Twitterの140文字なりで伝えることが前提の「楽しそう」なのであって、こういう、何か本当に「楽しい」であろうものの短文では伝えきれない「楽しさ」を長文にまとめて、点ではなく面でプレゼンして、もう少し複雑な「楽しそう」を伝えられる世の中になっていかなければいけない気がする。

何回かいろんなところで言っているが、麻雀の楽しさというのは、とても短文というか「点」で伝わるものではなくて、麻雀にまつわる総合的で複雑な風情が楽しさをもたらしているわけであって、あくまで「面」としての楽しさだ。バックギャモンだってそうだし、もっと言えば、音楽であれ映画であれ、ファッションであれサウナであれ抹茶であれ、本当は複雑な風情が織りなす「良いもの」なわけで、そのへんを思い返すとやはり、Twitterとかに始まる短文発信はいろいろなものの裾野を広げていても、結局のところ奥深い文化の衰退を招いてきた気がする。

そう考えるともうかれこれ10年くらい、私みないな面倒な人間にとっては冬の時代だったなあとも思ってしまうところがあって、自分の今の仕事のキャリアは13年くらいなので、これはもはやほとんど冬の時代だったなと思う。

この日記をやっているnoteなども然りで、少しずつ、もっと多様な「楽しい」とか「楽しそう」を表現できる場所は出てきているような気もするので、そろそろ冬の時代も終わってくれるのだろうか、とか思ったりもする。

毎日書くの超面倒くさいのだが、これはこれで1つ、求めていた状態ではあるような気がする。

点ではなく面で何かを伝えられる時代がやってきている感じはある。

このCISさんの本も然りで、人が本当に好きなものをいかに好きであるかをネタではなく面で表現している様は美しいよなあと思う。

書評ドリブンにすると書くのが楽だ。

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