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0823「おしっこ我慢打法」

昨日はBASSDRUMの総会があった。30人以上の人が来て、「あ、これはイベントっぽくなっちゃうかな」と危惧したが、何人かしゃべっているうちに全然そんなことなくって、いつもの良い感じの総会になった。場所を貸して頂きつつ、串カツ田中のケータリングまでご用意いただいたKonelさんは神だ。涙が出る。BASSDRUMをちゃんとやり始めて1年で、総会のあり方も変化してきたが、毎回ながらやはりこの催し物はすごく楽しくて価値がある。

で、終わったのは午前を回った頃だが仕事がまだ終わっていなかったので、後楽園のラクーアに行って作業する。が、仕事の量が結構あったのもあって、ゆっくりと温まることができなかった。ラクーアのレストランのところは、金曜の夜は居酒屋状態で結構うるさくてきつい。仕事していたら、なんか自分のかばんから液体が滴っているのを見つけた。「お茶でもこぼしたかな?」と思ったら、いつも持ち歩いているファブリーズがかばんの中で爆発していた。かばんがファブリーズくさい。

ほとんど寝なかったが朝起きて、妻の実家のある多摩センターに向かう。駅の書店を冷やかして、何か読むべき本がないかと見て回った。奥田英朗さんの「罪の轍」という単行本が出ていた。奥田さんの犯罪者とかって、すごく面白いので、その場でKindleで買っておこうと思ってAmazonを見てみると、なんとKindle版が無い。正直、もういい加減すべての本はKindle化してくれないと困ると思っているのだが、まだこういうこともある。だいたい、紙の本は環境に悪い。仕方がないので、久しぶりに紙の本を買った。アメリカに持って帰るのが重くて嫌なので、日本にいるうちに読んでしまいたい。

本屋を出て、妻の実家に向かおうとしたが、どうにも歩く気が起きない。暑すぎるからだ。

「もうちょっと涼んでから行くか」と思ったとき、目の前には「GOLD ON 多摩センター店」があった。パチンコ屋だ。そもそもアメリカにパチンコなんてないし、パチンコなんていう、カジノの競技に較べて風情も無いしコミュニケーションも無い人工甘味料でベタベタになったような遊びは、好き好んでやらないが、涼をとるために、今日は珍しく入ってみた。

開店直後だったので、通路のそばの台だと出ないかなーと思って、適当な通路そばの台に座って1000円を突っ込んだ。500円分がまたたく間に終わり、次の500円が始まってすぐくらいに、なんか突然台がジャキーンとか言い出して、ハンドルを握る右手に温かい風がかかった。最近のパチンコ台はそんなこともやるのか。ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・。大げさな音を立てて、台の液晶が揺れたりした結果、なんか突然大当たりしてしまった。よくわからないまま「右打ちしろ!」という表示が出たので右打ちすると、玉が出てくる。

1回の大当たりで500発くらいしか出ない台だった。大当たりが終わった。そしたらなんかすぐに数字が揃った。いわゆる「連チャン」だ。台の上のデータ表示パネルを見ると、「確変」って書いてあった。どうやら私は確率変動状態に入っているらしい。

1時間後、私は完全に飽きていた。既に大当たりは28連チャンをかぞえ、28回似たような当たり演出を見させられていた。玉は10,000発くらい出ていた。もうそろそろいい。十分涼んだので帰りたい。そして何より、最初はまろやかだった尿意が、かなりアグレッシブになってきていた。

おしっこに行きたい。頭がだんだん、おしっこのことで満たされていく。おしっこ。おしっこ。最近こんなのばっかりだ。

頼む。そろそろ連チャン終わってくれ。

しかし非情にもパチンコ台は轟音を鳴らしながら、派手な演出とともに、また連チャンが発生してしまったことを告げる。29、30、31・・・玉は出続ける。私のおしっこだけが出すところを見失っている。

これはつらい。恐らくトイレは席からそんな遠いところにはないのだが、当たりが続いている間は席を離れられない。この当たりは右打ちとかしないといけないのだ。そして私はこんな尿意と戦わないといけないほどの大当たりを経験したことがないので、どのタイミングでトイレに行くべきなのかがわからない。

便利な時代だ。スマートフォンで「パチンコ 連チャン トイレ」とか「パチンコ 確変 おしっこ」とかを検索する。今の時代、検索すれば答えは出る。

ところがそういった検索で表示された情報は、連チャン中にトイレに行く方法ではなく「おしっこ我慢打法」という、「おしっこを我慢しながらパチンコをすると連チャンが続く」というどうでもいい情報だけだった。

42、43、44・・・・。

大当たり演出が終わる。よし、おしっこだ! 外れてくれ! ゴゴゴゴゴドーン、大当たりー! ギャー! 仕方ないもう一回分我慢だ・・・。

という無限地獄が繰り返され、ついに56連チャン目。私は灰になっていた。もう、ここで漏らすのもアリかな、と思っていた。そしておしっこを漏らして泣きながら、妻の実家に帰るのだ。この段階で、おしっこは私の脳まで回ってきていた。

しかしその時が来た。終わった。すぐに打つのを止めて、私はトイレに走った。夢にまで見た便所が見えてきた。

つづく