EVOL

今までの人生で何も成し遂げられなかった、と感じる。学校は卒業したし、進学して国家資格も取ったけれど、今こうして俯いている。だが今解った。愛情への飢えは他者の施しの受け取りかたを知らずにいるだけ。その返しかたを知らずにいるだけ。とはいえ無知は自我に恐怖をいとも容易く招き入れる。知恵を絞ることと学び取ることは同じではない。私は、私のこの飢えは、悲しみは、借りに借りを重ね他者の温情を一身に受けながらにして都合の良い未来を望む、余りにも愚かなないものねだりそのものだったのだ。成し遂げたことがないのは、返済だ。他者を上手く踏み台にしたりして生きていくことは不可能では無いし、それを悪だと言い切ることはできない。だがそういうのは自身の性格的に無理がある。つまり私の借りは溜まる一方なのである。

仕事なら逆だ。自分のリソースを会社に貸して、給与という返済をしてもらう。マクロな視点に立つと交換に近い。時間を金で売る真っ当な商いだ。では私の今までの人生での真っ当な商いはあったか?答えは直ぐにNOだと言える。誰にも何も貸していないのだから、何も返ってこないのは論を俟たないだろう。

このような有り様でも尚、愛を与えずして愛を貰おうと言うことなど言語道断。私は本当に畏れを知らぬ大馬鹿者だ。

ところで、どうすれば人を愛せるのだろう。

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