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【創作と仕事】タイムカウンタ(箱森裕美)

つくりながら生きていくための同人『Qai(クヮイ)』
同人4人が一つのテーマで毎月noteを更新しています。

7月のテーマは「創作と仕事」です。

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タイムカウンタ

※聴取不明瞭の語句は〓記号で囲んでおります
※聴取不可能だった語句は〓記号で囲んだ上、おおよその音節数を□で表示しています
※聴取不明瞭・不可能箇所ともにタイムカウンタを記載しております

おほやまれんげ何度も聴きかへしわかる
翡翠のゐる山の音聴いてをり
まなうらに紫陽花満ちる死の話
夕立や謝罪の続く打鍵音
ソーダ水〓□□□ 01:23:16〓のゐたやうな真昼
海の日の名前をすべて置き換へる


~音声終了


文字起こしという仕事をしています。
インタビュー、対談、鼎談、講演会、ロケ現場の会話…とにかくありとあらゆる人間の声を聴きながら、それを読んだだけで分かるように、文字に、文章にしていくという仕事です。
こどもが生まれてから、何か家でもできる仕事を探していて見つけました。

仕事の内容は毎日毎日、案件ごとに毎回変わり、シチュエーションや話し手もさまざま。共感できるものも、できないものもあるけれど、わたしという体を通して、音声がそのまま文章になります。
(わかりやすいように句読点や言い回しなどを多少変えたりすることはあるけれども)自分の考えや思想は起こした文章には入りません。入れてはいけません。

たくさんの情報を体に入れて、だけれどそれは、案件が終わるのと同時に体から抜けていきます。
からっぽになったなあ、と毎回感じます。もしかしたら、多少は蓄積されているのかもしれないけれども。

そんな、多少蓄積されているかもしれないものをかき集めて、連作をつくってみました。

文字起こしという仕事がだいすきです。AIなど、技術が発達して、もう文字起こしという仕事がなくならない限り、死ぬまで続けていきたいな。

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