【香水まとめ】ジャスミンの香りのニッチフレグランス8選!
ジャスミンの香りの香水をずっと探し求めているのですが、国内のまとめ記事に登場する香水の多くはアパレル系が中心です。
天然香料をふんだんに使用した、こだわりのニッチフレグランスの情報が少ないのが不満だったので、自分で調べてまとめることにしました。
1.ジャスミンの香りについて
暖かい季節に散歩していると時々漂ってくる、甘いジャスミンの香り。
ただ甘いだけでなく、少し妖艶な雰囲気もあって魅力的です。
生花のジャスミンは非常に種類が多く、その香りもさまざまですが、香水の原料に用いられる種類のうち、代表的なものは2つ「インディアンジャスミン」と「サンバックジャスミン」。
インディアンジャスミンは、世界的に、最も古くから香水にも使用されてきた花です。
精油のお店で「ジャスミン」として売られているものは、おおむねこちらの系統かと思います。
インドなどの暑い国が原産地で、かなり香りが強く、ジャスミン特有の、アニマリックでワイルドな臭み(=インドール臭)がしっかり香るのが特徴。
これに対し、サンバックジャスミンとは、ジャスミンティーにも使われる花です。
精油のお店でも、「ジャスミンサンバック」等の名称で、普通のジャスミンとは敢えて分けて販売されていることも多いです。
お茶になるだけあってインドール臭は少なく、比較的すっきりとした、綺麗に澄んだ香りが特徴です。
2.香りの指標
上述の通り、ひとくちでジャスミンの香りといっても生花の種類が非常に多く、その香りも多岐にわたる上に、香りのどこを切り取り、どう表現するかは作品ごとにさまざまで、その幅広さは驚くほど。
そこで、ジャスミンの香水をまとめるにあたり、パッと見で傾向がつかめる簡単な指標も記載してみます。
最大で★5つ。参考までにどうぞ。
・スイート度
まずは甘さ。ニッチフレグランスの中には、びっくりするほど甘みの少ない香水もあります。
・華やか度
イメージとして、華やかにドレスアップした服装に似合いそうな香りであるほど★が多い、というように捉えていただければと思います。
どうしても主観が強くなる指標ですので、参考にされる際にはご注意ください。
・さわやか度
春夏にも似合いそうな、清涼感ある香りであるほど★が多いです。
甘さとも関係してくる指標ですが、完全な反比例というわけでもありません。
・クサみ度
上述の通りジャスミン香の大きな魅力、醍醐味のひとつともいえる臭み。
ケモノっぽいインドールの臭みは妖艶さを添え、草のような青み、エグみはナチュラル感を演出します。
もちろん、臭みのほとんどないジャスミン香水もあります。
自分好みのジャスミンを見つけるための、重要な要素が臭みなのです。
・フルーティ度
ジャスミンの生花は、熟したバナナのようなフルーティな芳香を放つものもあります。
香水でも、ジャスミンはバナナのほかにもブドウのような香りやピーチ、アプリコット等と組み合わせられているものが多いです。
それらのフルーティさの度合いを示す指標です。
・個性的度
あくまでジャスミンを主役とした香りなんだけれど、ちょっと変わった香りと組み合わせてあったり、珍しい香りであったりすればするほど★多めになります。
ジャスミンは好きだけど、ただのフローラルじゃ物足りない!という人は参考にしてみてください。
3.ジャスミンの香りのニッチフレグランス8選
(1)ジャスミン ジャスミン - アール フレグランス
・スイート度:★★★☆☆
・華やか度:★★★☆☆
・さわやか度:★★★★☆
・クサみ度:★★★☆☆
・フルーティ度:★★★★☆
・個性的度:★☆☆☆☆
表題通り、ジャスミンの香りそのものを丁寧に、それでいてストレートに表現した香りです。
冒頭は、ブドウのようなフルーティさと、ほどよい甘さのあるキレイ系ジャスミン。すぐに主張してくる、これまたほどよいインドール。
以降、このジャスミンがそのままずっと続きますが、経過によっては少し温度感高めのフェミニンな香りかたをしたり、逆にちょっと愛想のない、青々しさ強めの香りかたをしたりと、
そのときどきで、気候によって、もしくは人によって微妙に表情を変化させる面も。
とはいえ、基本は表題の通り、あくまでジャスミンで、そのままあまり変化もなく、ややこしい香りもせず、最後まで走り切って消えていきます。
教科書的なジャスミン香水だと思います。
ジャスミン ジャスミン オードパルファン
発売:2019年
調香師:村井 千尋
Top Notes:-
Middle Notes:ジャスミン
Base Notes:-
公式:https://www.rfragrance.co.jp/
(2)ジャスマン エ シガレット - エタ リーブル ド オランジェ
・スイート度:★★★☆☆
・華やか度:★★☆☆☆
・さわやか度:★★★★☆
・クサみ度:★★★☆☆
・フルーティ度:★★★☆☆
・個性的度:★★★★★
表題通り、ジャスミンとタバコをフィーチャーした香り。
まずはしっかりとしたインドールが鼻をつきます。
そして、温かさとフレッシュさのあるアプリコットを伴った、さっぱりと甘いジャスミンが絶妙なバランスで香ります。
さらに、下の方にタバコの香りが控えているのがわかります。
このタバコの香りは、喫煙者から匂ってくるあの臭いヤニや副流煙などのニオイではもちろんなく、箱から出したてのあのタバコの葉っぱの香りで、これが妙に落ち着くというか、とってもクセになる良い香りなんです。
早々にインドールが消えるとともに、このタバコがだんだんと存在感を増し、ジャスミンとともに、絶妙なバランスで香ります。
とても面白い、他にはない個性的な香り。
タバコに苦手意識がある人も、ぜひ嗅いでみてほしいジャスミンです。
ジャスマン エ シガレット|らしさからの解放(オードパルファム)
発売:2006年
調香師:Antoine Maisondieu
Notes:ジャスミンアブソリュート、タバコ、アプリコット、トンカ豆、ターメリック、シダーウッド、アンバー、ムスク
公式:https://www.etatlibredorange.com/(フランス語、英語)
※国内ではNOSE SHOP等にて取り扱いあり
(3)ジャスミン サンバック & マリーゴールド - ジョー マローン
・スイート度:★★★★★
・華やか度:★★★☆☆
・さわやか度:★★★☆☆
・クサみ度:★★☆☆☆
・フルーティ度:★★★☆☆
・個性的度:★★★☆☆
マリーゴールドと組み合わせられたジャスミンは、少しフルーティ。
これはピーチやアプリコットのようにも感じられる、かわいらしい香りです。
それをかいくぐるように時々香る、ジャスミンの草っぽい青々しさも。
これは「クサい」とまではいかない程度に香り、ナチュラルなジャスミン感を演出してくれます。
そして、この香りの大きな特徴でもあるベースのベンゾインが冒頭からバニラのように甘~く主張し、ジャスミンも、その青さもフルーティさも、すべて包み込むように香ります。
少しお菓子のようですらある甘みが特徴のこの香りですが、ジョーマローンらしく透明感あるベースのせいか、重苦しい雰囲気はなく、クセというクセもないため、比較的使いやすいかと思います。
甘い香りが好きな人には、特におすすめです。
ジャスミン サンバック & マリーゴールド コロン インテンス
発売:2018年
Top Notes:マリーゴールド
Heart Notes:ジャスミン
Base Notes:ベンゾイン
公式:https://www.jomalone.jp/
(4)オレーヌ - ディプティック
・スイート度:★★☆☆☆
・華やか度:★★☆☆☆
・さわやか度:★★★★☆
・クサみ度:★★★☆☆
・フルーティ度:★★★★☆
・個性的度:★★★☆☆
最初から、甘さ控えめのジャスミンがしっかりと香ります。
ブドウのような香りも強いのですが、これはおそらくウィステリアの香りなのだと思います。
また、少し草っぽさや青さがあります。
エグみ、というほどでもなかったその香りが、時間の経過とともに弱まるジャスミンの「フローラルらしさ」と入れ替わるように存在感を増し、だんだんと「エグみ」になっていきます。
そういう意味では珍しいタイプの香りかもしれません。
ジャスミンのエグみって、トップですぐに消え去ってしまうパターンが多い印象なので。
全体にかなりナチュラル派のジャスミンといった印象です。
香水というよりも、生花のイメージに近い香りといえるかもしれません。
オードトワレ オレーヌ
発売:1988年
調香師:Serge Kalouguine
Notes:ウィステリア、 ハニーサックル、 ジャスミン、ナルシス
公式:https://www.diptyqueparis.com/ja_jp/
(5)ジャスミン ルージュ - トム フォード
・スイート度:★★★★☆
・華やか度:★★★★☆
・さわやか度:★★★☆☆
・クサみ度:☆☆☆☆☆
・フルーティ度:★★★☆☆
・個性的度:★★☆☆☆
フレッシュでクッキリと綺麗なサンバックジャスミンひとすじの、シンプルかつ華やかなジャスミンの香り。
かなり甘いですが、重みは少なくフレッシュで、全体にクセもあまりない、使いやすい香りです。
少しフルーティさもあり、ともすればシャンプー的な雰囲気にもなりかねないのに、そこはさすがのトムフォード、子供っぽさは感じさせず、どちらかというとセクシーにまとまっています。
無難といえば無難ですが、老若男女問わず、多くの人に愛されやすい香りかと思います。
ジャスミン ルージュ
発売:2011年
調香師:Rodrigo Flores-Roux
Notes:ジャスミン、クラリセージ、アンバー
公式:https://www.tomford.com/(英語)
(6)バブルガム シック(ジャスミンOD)- ヒーリー
・スイート度:★★★★☆
・華やか度:★★★★☆
・さわやか度:★★★☆☆
・クサみ度:★☆☆☆☆
・フルーティ度:★★★★★
・個性的度:★★★★☆
OD(オーバードーズ)というだけあって、まさにむせ返るような甘いジャスミンの香りです。
クサみはほぼなしに近いジャスミンですが、特筆すべきはフルーティ度の高さ。
ブドウのようだったそのフルーティさは、一瞬でパっと花開くようにバナナの熟したような甘い香りに変わり、どんどん湧き出るように、美味しそうに香ってきます。
脳内麻薬が出そうな甘く華やいだ香りはそのまま30分ほど継続しますが、ふと気づいたときには嘘みたいに消え去って、今度はかなり落ち着いた、ホワイトフローラルらしいジャスミンの香りに取って代わります。
これがラストまでずっと続くのですが、ラストにありがちな強いムスク等ではなく、ジャスミンティーのような、控えめで落ち着いた香りです。
全体を通して他にはない、唯一無二のジャスミン香水といえると思います。
エクストレ ドゥ パルファン バブルガム シック
発売:2011年
Notes:ジャスミン、チュべローズ、ホワイトムスク
公式:https://jamesheeley.jp/
(7)アマリア グルマン - フエギア1833
・スイート度:★★★★★
・華やか度:★★★★☆
・さわやか度:★★☆☆☆
・クサみ度:★★☆☆☆
・フルーティ度:★☆☆☆☆
・個性的度:★★★★☆
花束のように豪華なジャスミンの香りと、少し焦げた砂糖とバニラのような甘~~~いグルマンの香りが、最初から最後まであまり大きく変化することなくしっかりと香ります。
クレジットされている「ドゥルセ・デ・レチェ」とは、砂糖入りの牛乳をじっくりと煮詰めて作る、ラテンアメリカ伝統のキャラメル菓子。
私はその実物の香りを知りませんが、ふと立ち上ってくる香気はただ甘くておいしそうというだけではなく、洋酒のような大人っぽいニュアンスも含んでおり、そのためか子供っぽくはありません。
ジャスミンのフルーティさも僅かに感じられますが、このフローラル×グルマンの組み合わせがとってもロマンチックな雰囲気で、特に秋から冬にはピッタリの香りです。
アマリア グルマン
発売:2010年
調香師:Julian Bedel
Tonic note:ジャスミン
Dominant note:バニラ
Sub Dominant:ドゥルセ・デ・レチェ
公式:https://fueguia.jp/
(8)ジャスマン ドゥ ペイ - ペリス モンテカルロ
・スイート度:★☆☆☆☆
・華やか度:★★☆☆☆
・さわやか度:★★★★☆
・クサみ度:★★★★★
・フルーティ度:★☆☆☆☆
・個性的度:★★★★☆
冒頭から、衝撃的なまでの「草」のエグみ。
個性的なニッチフレグランスに普段あまり触れていない人は、ここで受ける衝撃があまりにも大きすぎて、先へ進めないかもしれません。
これはほんの数分で引いていき、根底に少しの渋みとして引きずります。
そしてポットで入れたリアルなホットジャスミンティーのような、ゴールドの光を感じさせる、少しオリエンタルな雰囲気のジャスミンへ。
このジャスミンは、精油を希釈したそのままの香りのようにナチュラルというよりもはやワイルドで、それでいて美しくバランスをとって香水として昇華されており、さすがの大御所調香師の能力を感じさせられます。
かなり甘さは控えめで、全体に上級者向けかもしれませんが、好きな人にはたまらない、もっとも自然に近いジャスミンの香りのひとつといえると思います。
ジャスマン ドゥ ペイ|ジャスミンの国(オードパルファム)
発売:2019年
調香師:Jean-Claude Ellena
Top Notes:ジャスミンアブソリュート
Middle Notes:クローヴ、タジェット
Base Notes:ムスク
公式:https://perrismontecarlo.com/
※国内ではNOSE SHOP等にて取り扱いあり
4.新製品情報
このほかにも、気になるブランドからジャスミンの香りのフレグランスの発売が予定されています。
・ホワイトジャスミン - シロ
北海道発の大人気コスメブランド「SHIRO」から、「復刻してほしい香りナンバーワン」がさらに洗練されて登場します。
公式サイトの説明によると、
生花のフレッシュさを感じさせながら、
フルーティなシトラスノートと軽やかなスパイシーノートがほんのりと混ざり合います。
とのこと。
オンラインでの予約開始時には、サイトがつながらなくて大変でした…。
ホワイトジャスミン オードパルファン
公式:https://shiro-shiro.jp/
・フィス ドゥ ジョワ - セルジュ ルタンス
ジャスミンといえばルタンス!
私がジャスミンの香りを探し求めるきっかけとなった、尚且つ、今も熱狂的な愛好者が多い名作「アラニュイ」も、ルタンスの作品です(現在、国内では入手困難)。
少々刺激的な表題の新作のキーノートはジャスミン、イランイラン、ムスク。
公式サイトの説明は詩的過ぎて、具体的にどんな香りかわからないのが常ですが、どんな香りも一筋縄にはいかないのがセルジュルタンス。楽しみです。
フィス ドゥ ジョワ(Fils de joie)
公式:https://www.sergelutens.jp/
5.まとめ選定基準
最後に、まとめ対象の選定にあたり条件とした基準を記載しておきます。
・ジャスミンを主役としたシングルノート、またはそれに近い香りであること
・実際に肌に乗せて試した香りであること
・ユニセックスの香りであること
・天然香料を大切にした昨今のニッチフレグランスの文脈に則った香りであること
・廃盤になっておらず、国内で比較的容易に入手できる香りであること
以上です。運命のジャスミン香水との出会いのきっかけとなれば幸いです!
6.おまけ
よりマニアックなブランドも含めたジャスミンのまとめ記事も書いてます!
良い香りのジャスミン香水は、世界中にたくさんあります。
奇特な方はぜひご覧ください。こちらは随時更新中。
ジャスミンまとめ - 嗅覚が鈍い
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