50歳50冊 プロデューサー編

プロデューサー編

プロデューサーを志す若者に何を教えればいいのだろう。
教えるべきことは山のように多い。
独創的で実現可能なアイディアの作り方、生涯の情熱を傾けるべき対象の探し方、
死に物狂いで目標に向かうクレイジーなアプローチ、数多の失敗にもめげないタフネス、
プロフェッショナルなメンバーとのコラボレーション、投資を回収する冷徹な経営判断、
ヒットのための4Pマーケティング、顧客との長期のつながり。
それらはこの国の教育で欠けていることばかりだ。
しかし状況は私の時代も変わらなかった。
そこでプロデュースに関する本が私の先生になった。
いま思えば、現場での失敗の繰り返しと
書籍からの概念学習が私のプロデューサー修行でした。


1. スターバックス成功物語 ハワード・シュルツ

君は、生涯の情熱を傾けるモノに出会っているか?

高年収の一流ビジネスマンだった男が、突然喫茶店経営し、コーヒー豆の輸入業者になる。
周囲は大反対!店も当初全くうまくいかず、労使問題、商標問題まで発生する。
ただ彼には夢があった。「ヨーロッパのカフェ文化を全米に届けること」。
プロデューサーに一番必要なモノは何か、スターバックスの誕生物語は教えてくれます。
それは周囲を動かし、顧客からの共感を得る「夢」なのです。

2. スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション カーマイン・ガロ

すべてのプロデューサーはクレイジーなイノベーターであれ。

イノベーションという、何かしらのオリジナルな工夫があってクリエイティブは世の中に出る。
そのオリジナルな工夫とは、製品開発をすることに留まらないで、
パッション、ビジョン、顧客との関係作り、デザイン、体験など多岐に渡るクレイジーな試みの総体である。
本書はジョブズがしてきたことや、ジョブズなるどうするかという観点で
イノベーションの起こし方を7つの法則にまとめている。
Think Different.
ジョブズはまさにクレイジーなイノベーターであり、不世出のプロデューサーだった。


3. エスキモーに氷を売る ジョン・スポールストラ

認識を改めれば、売れない商品でも売れ始める。それがプロデュースだ

ほとんどのプロデューサーは、莫大な費用も潤沢なスタッフも許されない。
だからこそ視点を変えて、チャレンジしなければならない。
認識を改めれば、自分のチームでなく、敵のチームにマイケルジョーダンがいる。
顧客が見たい試合は、そこにあるのだ。

4. 新しいPRの教科書 ブライアン・ソリス

プロデューサーが顧客と「つながる」時代の新しいルールを学べ

大量生産時代の顧客リレーションシップがテレビ広告を中心とする大量広告だとすると
これからは製作・生産の当事者つまりプロデューサーがピンポイントに顧客に直接メッセージを届ける時代になる。
そのためにはPR2.0と呼ぶ変革が必要。
ソーシャルネットワークを活用して、自分の声を直接、ユーザーに届け、語り合うのだ。
だからこそこれからのプロデューサーは、マス媒体による当て推量の宣伝投下の時代のルールから、
ダイレクトメッセージの時代の広報のための新しいルールを学ぶ必要があるのだ。

5. メイキング・オブ・ブレードランナー ポール・M・サモン

SF映画の金字塔に隠されたプロデューサーとクリエイターの対立

時にプロデューサーは非情にならななければいけない。
ディレクターやクリエイターの意見を覆してもヒットのために、資金回収のために、
切り捨てなければならない要素を果断に切り捨てなければならない。
君にその決断が出来るか?

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プロデュースという活動をする人材は時代によってその呼び名を変えられたようです。
曰く、企業家、事業家、実業家、ベンチャー、エヴァンジェリスト、プロデューサー
アントレプレナー、起業家、イノベーターetc、etc。
しかし意味するところはすべて同じだと思います。
その人は自分のアイディアを形にするためにモノづくりし、
実社会に提案して、投資を回収する責任者です。
プロデューサーが全権限掌握者であるということは、
アカデミー賞で最後の最後に「作品賞」を受賞するのが
プロデューサーであるという事実がすべてを物語っています。

遡れば、大航海時代に新世界に向けて船を出航させるために始まった組合組織・企業は
プロデューサーたちの勇気と冒険心と果断なる決断に支えられて発展してきたのです。

25年前にプロデューサーになりたいと祈念して、
プロデュースの師匠に弟子入りして四半世紀。
道半ばなれど、今ではこの道こそが自分だけでなく、
教育再生、日本再生のベースだと実感しています。

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