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【株式投資】ハーモニックドライブ

 しばらく仕事やダイエット、中国語の勉強などで忙しく、日記を更新できていなかった。相場の方向感が定まらず、どういうポジションをとっていいかわからない。
 今回のお題はハーモニックドライブだが、今回は買い目線ではない。投資対象としては、ハッキリ言って終わった銘柄だと思っている。敗戦から学ぶ、的なスタンスです。

 まず、同社について。業界では知らない人のいない、精密減速機のトップメーカー。特に画像の波動歯車減速機の高い技術力で知られ、私も展示会などで減速機メーカーを訪問して話を聞いたが、他社からもリスペクトされている存在。

波動歯車減速機

 最近の日足のチャート。8/19から指数などと比べて異常な下げ方をしている。特に材料も見当たらず、理由のわからない下落。4000円から3200付近へと、20%弱も下落している。本当に下がる時は、理由なんかないということをまじまじと見せつけられている。

 次に業績を見てみよう。いつものバフェットコードより。まずは売上と利益。10年間で売上は2倍になったものの、利益率の落ち込みが顕著。かつて25%もあった営業利益率は、今は5%にまで落ちている。原因は定かではないが、奇しくもニデックが減速機分野に本格参入したのは2015年のことである。ニデックの参入により独占状態を破られた影響が如実に出始めたのだろうか?

 次に、地域別の利益。この日本、というのは中国や東南アジアを含むものと思われる。利益のほとんどをアジア圏に依存していることがわかる。

 地域別の利益率のグラフ。アジア地域(日本)の利益率が格段に落ちていることがわかる。中国市場で利益率が顕著に下がっていることが想像される。また、欧州が足を引っ張っていることがわかる。北米は意外と悪くはない。中国ではあらゆるものが電動化、自動化しており減速機の需要自体は増えているものと思われるが、売上が頭打ちということは、市場成長に対して相対的に受注できていないことが推察される。

 決算より来期予想を見てみる。25/3期は、売上横ばい、営利5%未満、当期利益3.4%と自動車部品並みの利益率の低さである。

 そういうわけなので、株価を見ると予想PERが150を超えるような状況で、お世辞にも割安ではない。仮に売上600億、当期利益率10%を仮定してもPER50-60になるのではないか。どんなに高くてもPER25の会社だろう。だとすれば、ここから半額ぐらいになっても正直おかしくはない。そのぐらい高いバリエーションが認められてきた会社ということだ。売上はせいぜい700億円に対し、時価総額は3000億円を超えているのだから、相当に高いと言わざるを得ない。

 最後に月足のチャート。移動平均線は12,24,60ヶ月平均線。60ヶ月線がかろうじて水平を保っているが、果たして。つねにボトムとしてワークしてきた3,000円付近がワークするのか。

ハーモニックドライブの今後

利益率の推移を見る限りは、かつてのような高収益は維持できておらず、減速機市場は成長しているものの、競争環境は激化していくものと思われる。2019〜2020年頃の記事では、ニデックの参入にも拘らず、やはりハーモニックドライブの牙城は崩せない、という論調の記事がいくつか見られる。一方で、ニデックの決算説明会では、永守会長からニデックが六軸ロボット用減速機の全ての関節部分に対しラインナップを拡充し、客先から承認も得たという趣旨の発言もあった。また、中〜大型の減速機の生産も拡大するなど気を吐いている。

  減速機や歯車というのは不思議なもので、ただ金属を歯切り加工すればいいように見えて、その技術優位を切り崩すのは難しい。これは展示会に実際に行って確認したことだが、ハーモニックドライブしか持っていない加工や製造のノウハウというものがどうもあるようである。研究開発すれば追いつけないわけではなさそうだが、少なくともこれまではそこまで投資をしても回収が容易ではない、本気で投資するには少々市場がニッチ、という側面もあったようである。

 ただ、私の結論としては、そのハーモニックの持っていた優位は残念ながら永遠の参入障壁ではない。少しずつかもしれないが、切り崩されているのではないか。ここ最近の下落トレンドは、そのことにようやく市場が、気付き始めたのではないか、というのが私の見立てだ。

 ハーモニックは日々の値動きを見るとけっこうボラが大きく、指数に対して逆効する動きも多く、長い目では下と思ってもその過程では上下があり、ショートし続けるのに良いのかと言われるとなんとも言えない銘柄である。ただ、やはり今から長期で保有したい銘柄ではない。

 最後にいくつか情報を。まず、昨年末のニュースだが、大株主であったトヨタの政策保有の解消の記事。4%ぐらい保有していたので、安定株主が減った影響も、出始めているのかもしれない。海外投資家向けに売り出されたようだが、案の定この売出しで買った人たちは全員含み損である。

トヨタ、ハーモニック株売却 181億円分:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD067MX0W3A201C2000000/


 ハーモニックの提案力にフォーカスした記事。自分もこの近辺の業界にいたので、提案力や技術者からのメーカーの営業マンへの信頼の重要性はよくわかる。産業用部品は価格だけで決まる分野も多いが、やはりオーダーメードの提案力がものをいう世界もある。ただ、そういう世界はボリュームとしては多くないのも事実である。

特許が切れてもなぜハーモニックドライブに競争力があるのか、という記事。2020年。この4年間で、何がどれだけ変わったのだろうか。

https://forbesjapan.com/articles/detail/37274

【9/8追記】

この日記を書いた8月29日の翌日に鬼リバしたものも、地合いが急に悪化し、結局9月6日は、前月の安値を割る結果に。とにかくボラがひどいが、これは何を意味しているのだろうか。明日9日は、米国市場の流れを引き継いで日本株は大きく売られる見込みであるが、ハーモニックは果たして😮‍💨(私は保有してないが、それよりニデックがやばい)

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