駆り出されたヤマアラシの苦悩
ヤマアラシはトゲを身にまとっている。
他者の温もりが欲しいと思っても、近づき過ぎては、相手のトゲで傷ついてしまう。
ゆえに、つかず離れずの距離を保つことが出来る。
それを心理学では『ヤマアラシのジレンマ』という。
近づき過ぎ、相手を親しく思うが余り、接触が多くなり、場合によっては相手を傷つけ、自身も思い悩む。
そのようなことは誰しも心当たりがあるのではないか。
家族間の感染が多くの割合を占めている現状、この『ヤマアラシのジレンマ』というキーワードが上手い具合に『ソーシャルディスタンス』を言い当てているように思える。
目元だけの表情でのコミュニケーション、激減した対面での会議、講義、雑談…。
これ幸いと思う節もありながら、禍以前の日々はやって来るのだろうかと疑わしくも思ってしまう。
そんな我々にとって、少なくとも数年は『ヤマアラシのジレンマ』を以前よりも意識することになりそうである。
ところでエピソードに勝手に駆り出された『ヤマアラシ』であるが、実際隣り合えないのだろうか?
なんのことはない。
隣り合う時はトゲは立てていないのだ。
ヤマアラシにとっては好い面の皮だ。
そう、彼らは相手を傷つけない方法を知っている。
さぁ、人間はどうだろう。
おしまい
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