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大友全集「童夢」を買った感想 同じ内容の本を2度買うという稀有な経験について


当初は、買うのを少し迷っていた。値段が高いし、童夢は既に自宅にあったからだ。ただ、年末にyoutubeでAKIRAが公開されていて、それを見て大友ブームが胸の中に舞い戻ってきたのと、自宅の童夢を見ると、約30年前に購入したのでかなり変色しているのを確認して、やはりこの本は長く持つものだと思い、今回値段が高いのもそれなりのいい紙を使用しているのではと考え、購入することにした。

あと最近、自分が思春期にものすごく影響を受けたもの、好きだったものを、年齢を重ね、物を作る仕事をしている現在において、再経験し、それがなぜすごかったかを分析し考えることは、とても大切なことなんだなと思うことがあったから。

当時はただ純粋に「お客さん」として、他人の才能に心酔しワクワクさせてもらっていたが、現在は物を作る苦労を少しでもわかったからこそ、感じることがあると思う。

結果、購入した感想であるが「買ってよかった」

真っ白で新しい紙に元の単行本サイズより大きく刷られていて新たに読むような感動や発見がある。すでに家にある本なのにね。こんな体験ができるなんて。

改めて読んで思ったけど、大友ってめちゃくちゃストーリーテラーじゃん。絵がうまいからそちらが強い人という印象が強いけど。

あと、大友全集のポスターにも樹村みのりが好きってあって、私 樹村みのりも大好きなんだけどいったいどこが影響受けてんだろ?と思っていたんだけど社会的に弱者的な立場の人(子供、老人など)に対する視点とか、そういう人を主役に持ってくる。そういうところがもしかして樹村みのり的かもなあ、と思った。ストーリーの作り方は全然違うけど。

こういう昔はなかった感想とか出てきて、本当この機会にもう1度読んでよかったと思えた。

ビニールのカバーも個人的にいいと思う。水による被害を防げるし、本を机とかに立てかけて読むときに、クッションとなり下がつぶれる心配がいらない。

自分は思春期の時に、世界的なレベルでいっても優れたクリエイターの作品が生まれるのをリアルタイムで触れることができたし、それは同じ日本人の作品だった。

それは、ものすごく特殊で幸運なことだったと思う。

大友ショックは、現在 「何波」目なのだろう。
30年近く時を経てみて、大友克洋を超えるような漫画家が現れただろうか。

もうこんな漫画2度と読めないのだ。と気づいた人たちが、今、大友全集を買っているのかもしれない。


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