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開発したソフトウェアの著作権はどこにある?

ソフトウェア開発委託に要注意

 以前、ずっと長いこと開発を委託しているベンダーさんとの間の契約で騒動になりかけたことがありましてですね。

 要は、開発したソフトウェアの権利を発注元が持つか委託先が持つかという点が長年はっきりできていなかったという。。。。

細かいやり取りは書けませんけどね。いろいろとやばい案件であった

契約、怖エエエエ! と思った事例でありました。

ソフトウェアの権利を誰が持つかという問題

 先日の一件で初めて知ったのですが、著作権を譲渡する(B社の著作権をA社に譲渡する)場合と、著作物の利用許諾を与える(B社がA社に当該プログラムの利用を許諾する)場合があるのですよ。

 で、通常、委託を受けて開発している場合は発注元は「当然俺の権利だ」とか思うと思うんですけどね。ソフトウェアには独自で開発した技術ってやつがあるわけです。

ソフトウェアには、開発した人の血と汗と涙がつまっていますぜ

発注元に権利を渡すと、自分たちの技術の権利を要求される可能性も

 で、どこかの子会社とかだったらともかく、いわゆるSIerさんというのは、いろいろな会社から「こんなの作って」という要求にこたえたり、自分たちで市販のソフトウェア作って売ったりしているわけじゃないですか。

 そうすると、自分たちの開発したものの権利は開発元が持っていたいわけです。でないと、特定の技術を他社からの依頼に流用できなかったり、その技術を使って市販のソフトを作って売ったりみたいなことができなくなるから、商売に影響出ちゃいますからね。
 一番怖いのが、自分たちがもともと持っていた技術を作って開発したのに、委託元が「権利は俺らなんだからこの技術も俺らのモンやろ」みたいなことを要求してくるようなケースだと思います。

 少なくとも契約書まわりは「信頼しているから」といった形で意に沿わない内容で合意しちゃいけないですね。

円滑に取引している会社さんでも、法務相手にすると、
びっくりするような主張をされてくることはある

ベンダの思惑とユーザの思惑のせめぎあいになりがち

 それを考えると、きちんとするなら、双方の権利を主張しておくというのが安全だと思います。

 こちらに非常にわかりやすくまとまってますね。

 ざっくり要約すると、下記のようなパターンがあるみたいです。

①ベンダに著作権を保有しつつ,ユーザが必要とする範囲で利用許諾を得ておく
②ベンダや第三者がもともと保有していたプログラムの著作権はベンダ等に留保させ,それ以外の部分はユーザに帰属させる
③②に加えて新規開発部分のうち汎用的に利用可能なプログラムの著作権もベンダに帰属させる
④ベンダ・ユーザが著作権を共有する

https://www.it-houmu.com/archives/1854  より)

 まあ①は、ベンダーロックかかりますし、ソフトウェアとしての権利は自社で管理しているケースならあり得ないと思いますが、SaaSのカスタマイズとかの場合は①や②にしておかないと、開発したプログラムの権利を他社に取られて再販できなくなってしまいます。

 さらに、保守も踏まえて開発したはずなのに、ソースコードの権利は発注元が持っているからということで、保守以降はもっと単価の安い他ベンダにもっていかれるとか、契約のときって交渉ごとになるので、いくら仲が良くても目を光らせておかないと、口約束は危険です。

再販するとか、他に流用するとか、そんなことを考えた交渉になるのです

「IT法務」の役割は誰が担うのか?

 しかし、私自身は事業部門にいたときにほかのジャンルの著作権がらみの案件にかかわったことあるんですけど、ソフトウェアの権利って本当に独特ですね。一般的な事業会社の法務からすると「なんだこりゃ?」って内容あると思います。

 さらに、開発委託先の法務の方が通常知識持っているわけなんで、「これが常識です」みたいなこと言われてうっかり「はい」なんていうと権利もってかれて、こんな事例になったりもするわけです。

 上記は極端ですが、品質や内容について「おかしい」と思っても、ソースコードの権利を持っていないと、第三者に調査をかけるのも委託先の許可が必要とかそんなことになりかねないといったリスクがあるというところは、法務任せではなく、情シスも知っておいた方がよい事例だと思います。

 しかし、最近セキュリティがらみのトピックが本当に多いですね。。。そろそろ専任をおかないといけないのかなあ。。。

 ということで、情シスとしては、ソフトウェア関係の契約についても知っておきたいところであります。

 そしてこれは、システムを委託する側にとっては本当にためになると思います。

 だいたい後になってからもめるんですよね。。。外注って本当にむずかしい。

おしまい。





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