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テストツール導入失敗の顛末

昔の失敗の顛末です。こんなこともあります。

気づいたら導入が決まってた

 本当に、気づいたら決まってたんです。トップがどこかで「テストツールで工数削減!」といった記事を読んだらしく、付き合いのある代理店とやり取りして、大幅な価格交渉などもあったりして、なんというか「案件ありき」ってやつです。

 当時、BPR専門の別チームが走っていて、その活動の一環。私自身は開発から離れていたので、ノータッチでした。

 導入してしばらくは担当者がサポートとやり取りしながら導入を進めていたのですが、利用予定だったプロジェクトが炎上していたこともあり、導入は進まず、ツールのことは担当者しか知らない状況が続いていました。

担当替えして露見した事実

 そして時が1年以上経ち、みんながこのツールのことを忘れていたころ、急な担当替えで、私がこの炎上していたチームに配属されました。あわせて、このツール導入が止まっていること、あと3か月後の大規模テストでの利用を検討していたが、準備が進んでいない、担当者の業務があふれているため、導入研修などのサポートを引き継いでほしいという話がありました。

 で、状況を聞いたんですけど、

・初期設定が大変(ユーザに使わせるとか無理)
・多くのシステムで使えない
・使い方はわかったが、思ったように動かない
・どうしてよいかわからない

うーむ、どうしましょう。

とりあえず課内研修をやることに

 この状況を担当で閉じていても仕方がありません。前任と代理店の営業に確認をしたところ、無料で2回まで研修を受けられるということでしたので、ひとまずやりたいテストパターンをいくつか想定して作ってみることにして、単純な操作や、ファイルを読み込みながらの作業などいくつかテストパターンを想定して、講師の方に事前にお伝えしたうえで、テーマを決めて研修をしていただくことにしました。
 そのうえで、開発経験者を中心に小規模な研修を実施しました。

 研修自体はよくあるもので、内容的にはわかりやすかったのですが、

・Webアプリはよいがクライアントアプリだとできない事項が多い(うちの古くからあるアプリ群はほぼ全滅)
・Webアプリもくせがあり、個別の初期設定が面倒(自動化させるまでの道筋でトライアンドエラーを繰り返す)
・マニュアルに書いていない操作のコツみたいなものがすごく多く都度講師の方に問い合わせる羽目に
・ちょっと改修が入ったら設定をやりなおし

まあ、導入ありきで進めたツールですからね。「使える範囲で使おう」みたいなノリだったとはいえ、なかなかこれはハードルが高い。ほかのツールを使ったことがある開発者の人も「テストツールってこんなもんですけど、いや、これは癖が強すぎますね。すごいいろいろやれるけど、ここまでいらないから操作をシンプルにしてほしい」といった感じで。
 とりあえず、いったん、情シス主導の受入試験などの自動化や、テスト会員をたくさん作るといった用途でターゲットをしぼって利用してみることにしました。
 導入したときの決済を見ると「ユーザテストの工数を削減できることを記載され。。。」といった記述がありますが、これは無理と判断しました。

無料のツールのほうが使いやすかった

 結局そのあと、講師の方とさんざんやり取りをしましたが、最終的には「うーん、おたくのシステムにはこのツールは向いてないですね」というお言葉をいただきました(笑)…って、笑い事じゃないでしょ、まったく。

 そしてその後のテストですが、結局、前任者が別のフリーのツールを勝手に使いだしていて、それを使わせてもらったんですけど、コードを書く前提でやりたいことをしぼると、こっちのほうがはるかにシンプルで使いやすいんですよね。で、そっちを使うことにして、上司と共有し、このツールはお蔵入りにしました。

さようならしました

 で、いろいろ大人の事情があって、ライセンス数を最低限に減らして最低限の保守だけ残していたんですが、2年ほどたちまして、別途、RPAツール導入の話が浮上して、「自動化って、ところであれどうなった?同じようなことできるっていってなかったっけ?」という話になりました。ちょうどよい機会でしたので、こちらでつまづいたポイントを本ツール導入の担当者とテスト試用で確認してもらい問題ないことを確認しました。で、導入したのがWinActor。まったく目的は異なりますが、こちらはそれなりに稼働してます。これをもって、本ツールは役割を終えて解約できました。

見切ることも大切

 このツール導入については「テスト利用で主体的にNoと言わなかった」のが失敗ポイントだと思います。今回私が気づいた問題点は、前任者は全部把握していました。「いや、これ、やりたいことできませんから!うちの環境にはあってませんから!」みたいなことをもっと言うべきでしたが、問題をきちんと報告せず、報告しても代替案なしで受け入れられるはずもなく、ずるずると本契約にいってしまったので、引き返せなくなってしまいました。

 さらに、こういったツールについてよくないのは「導入したから無理やり使おうとして何らかの運用ができてしまって抜けられなくなる」ことです。使わないなら使わないと決めて、もうそれにリソースをかけず、代替のあたりをつけて、廃棄のタイミングを見計らうということも大事だと思います。鳴り物入りで導入したツールを捨てることになったケースって、日本国内でどれだけあるんでしょうね。。。考えたくない。



 


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