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バート・バカラックを追悼する

バート・バカラックが亡くなってしまった。

思い起こせば、僕が以前やっていたWebサイト「pwmweb」(2002年とクレジットされている)のプロフィールにこんなことを書いていた。

好きな作曲家は、バート・バカラック、エンニオ・モリコーネ、ミシェル・ルグラン。

当時から好きなものが変わっていなくて驚くのですが、ここに挙げた三人の作曲家が全て天国に旅立ってしまった。。。Twitterとかでも多くの方がバート・バカラックへの想いを語っていて、僕も悲しい気持ちを抱えたまま、いまnoteの記事を書いているわけです。

そんなわけで、僕がいちばん好きな作曲家、バート・バカラックの楽曲や動画を10個ほど思いつくまま挙げてみたいと思います。

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(1) B.J.Thomas - Raindrops Keep Fallin' on My Head
幼い頃の遠い記憶でこの曲を聞いたのを覚えている。映画『明日に向かって撃て』(1969年)の主題歌がバート・バカラックの原体験だと思う。曲の最後でテンポが変わるところ、一聴すると耳馴染みの良い美しいメロディだけど、実は斬新なリズムやアレンジが施されていて、そのあたりがこの曲を普遍的なものにしていると思う。

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(2) Herb Alpert & the Tijuana Brass - Casino Royale
映画のタイトルバック(オープニングタイトル)に興味を持っていた時期があった。その流れでリチャード・ウィリアムズが手掛けたアニメーションのタイトルバックが大好きになった。映画では、バカラックの奇想天外なメロディメイカーとしての側面が出ています。この曲とか「Bond Street」とか。

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(3) Dionne Warkick - Loneliness Remembers What Happiness Forgets
バカラック音楽の良き理解者でありインタープリターでもある女性歌手、デイオンヌ・ワーウィック。彼女が歌ったバカラックの曲はたくさんありすぎてなかなか1曲に絞れないのですが、二人の親密な会話を交えて歌うこの曲を。

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(4) Cast of Promises, Promises - Turkey Lurkey Time
バカラックのイケイケ期。ブロードウェイ・ミュージカル『Promises, Promises』(1968年)の音楽は、隅から隅まで高密度でハイテンションなバカラック節が炸裂する傑作です。結局バカラックはこの音楽でグラミー賞を受賞する。

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(5) Sergio Mendes & Brasil 66 - What The World Needs Now
「世界は愛を求めている」タイトルから素晴らしい。ジャッキー・デシャノンやディオンヌ・ワーウィックのヴァージョンが有名ですが、このセルジオ・メンデス&ブラジル66のカヴァーは他のカヴァーとは一線を画す素晴らしさ。アップリフティングでゴージャス、エンディングも最高です。

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(6) Astrud Gilberto - Wanting Things
僕がアストラッド・ジルベルトを初めて聴いたのは、10代の頃、FM深夜番組を何気なく聴いていて、ふと流れてきたこの曲だった。「なんて素敵な曲なんだろう」と思い、急いでカセットテープ(!)に録音して、以降繰り返し聴いていた。それがバカラックの曲だと知ったのはもう少し経ってからだった。

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(7) Burt Bacharach - Wives and Lovers
バート・バカラックと仲間達が出演した米国のテレビ番組『Burt Bacharach and Associates』(1972年)。大勢の仲間達のパフォーマンスも素晴らしいですが、冒頭の「Wives and Lovers」が出色の出来栄え。バカラックの1971年のソロ作に収められている再演ヴァージョンとほぼ同じアレンジです。

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(8) Burt Bacahrach - The World is a Circle
作詞家ハル・デヴィッドとタッグを組んでヒット曲を量産していた1960年代。彼と別れて作品を作るようになって、バカラックの楽曲にも変化があったように思う。これは1973年公開の映画『Lost Horizon』のレコーディング風景と思われますが、子供たちへの優しい眼差しが素敵です。

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(9) Burt Bacharach - Alfie
「生きるってどういうこと?」…マイケル・ケイン主演の映画『アルフィー』(1966年)の主題歌は、作者バート・バカラックも自身の最高傑作に挙げるほどの名曲中の名曲。そしてこの名曲をバカラック自身が切々と歌っているこの映像、日本語詞を噛み締めながらご覧ください。

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(10) Burt Bacharach - A House is Not a Home
最後はバート・バカラックが亡くなる少し前の2020年の映像です。バカラックが米国のラジオ局SiriusXMで行った2020年2月24日の演奏。バカラックによるピアノと歌だけのシンプルかつ味わい深い演奏ですが、自身を絞り出すように歌う姿になんだか切なくて泣けてきます。。。

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以上、バート・バカラックの楽曲で思い浮かんだものを10曲ほど挙げてみました。でも、バカラックの名曲・名カヴァーはたくさん存在するので、またの機会があれば続編を作ってみようと思う。

最後に。バート・バカラック氏に対しては、ただただ感謝しかないです。あなたの遺した素晴らしい音楽のおかげで、わたしの人生はとても豊かになりました。ありがとうございました。

2023年2月10日 toru watanabe(pwm)


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