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Joni Mitchell 『Blue』のおすすめカヴァー / Re Blue

須永辰緒さんのソロプロジェクト、Sunaga t experience(STE)の新作CD『Re Blue』が11月16日にリリースされます。ジョニ・ミッチェルの名盤『Blue』を全曲まるごとカヴァーしたアルバムで、イスラエル出身のJ.Lamotta Suzumeをヴォーカリストに迎えて、『Blue』に新たな息吹を吹き込んでいます。そして、わたくし僭越ながら、CD『Re Blue』のライナーノーツを書かせていただきました。

ライナーノーツを書くにあたって、改めてジョニ・ミッチェル『Blue』を聴き返したり、『Blue』収録曲のカヴァーを探して聴いたりしたのですが、新しい発見がたくさんありました。そんなわけで、ここでは『Blue』の楽曲のカヴァーのおすすめを全10曲紹介しようと思います。

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01. All I Want - Nick DeCaro
ぼくが初めて聴いたジョニ・ミッチェルの曲はこれだったと思う。ニック・デカロのAOR名盤『Italian Graffiti』(1974年)より。いま改めて聴いてみると、ソフトロック~イージーリスニング的というか、かなり軽いアレンジに仕上がっていると思う。

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02. My Old Man - Tom Green Septet
英国のバンドマスター&トロンボーン奏者、トム・グリーン。彼が率いる7人組による演奏です。映像の奥の方でたまに出てくるトロンボーンを演奏しているのがトム・グリーンだと思いますが、控えめな性格なのか、ほとんど前面に登場しません。アルバム『Tipping Point』(2020年)より。

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03. Little Green - Morgan James
モータウン・レコーズの創立者ベリー・ゴーディJr.に見出された米国の女性歌手、モーガン・ジェームス。実は彼女も2017年に『Blue』をまるごとカヴァーしたアルバムを制作している。ピアノの美しい響きと透明感あるヴォーカルが絶品です。

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04. Carey - Will Taylor & Strings Attached
ウィル・テイラーという米国のヴァイオリン奏者は今回初めて知りました。ハスキーなヴォーカルにアップテンポでシンコペーションの効いた演奏が良いです。ジョニ・ミッチェルのトリビュートアルバム『Back to the Garden - A Tribute to Joni Mitchell』(2014年)より。

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05. Blue - Joni Mitchell
さて、ここでジョニ・ミッチェル本人のライヴ映像が登場。ジョニ・ミッチェルのピアノとヴォーカルの弾き語り。彼女のパフォーマンスは鬼気迫るものがあって、聴いていると心がヒリヒリするというか、痛々しささえ感じてしまいます。

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06. Califotnia - Colin Steele Quartet
気分を変えて軽快でジャジーな演奏です。コリン・スティールというスコットランド出身のトランペット奏者のカルテット演奏。ジョニ・ミッチェルのカヴァー集『Joni – Jazz Interpretations of the Joni Mitchell Songbook Blue』(2020年)より。

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07. This Flight Tonight - Sunaga t experience with J.Lamotta Suzume
主役登場。『Re Blue』の曲は、どこで登場しても良いクオリティの楽曲が揃っていますが、フックの効いた重低音ベースラインが最高なこの曲で。ジョニ・ミッチェルの原曲とはかなり印象が違いますね。J.Lamotta Suzumeのヴォーカルもクール。

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08. River - Sarah McLachlan
クリスマスが近づくと聴きたくなる「River」。この曲は好きなカヴァーがたくさんあって1曲選ぶのに苦労しました。結局選んだのは、ジョニ・ミッチェルと同じカナダ出身の女性シンガー、サラ・マクラクランの感情が溢れ出てくるような名カヴァーです。

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09. A Case of You - Diana Krall
こちらもジョニ・ミッチェルと同じカナダ出身の女性歌手&ピアニスト、ダイアナ・クラール。原曲よりもジャジーで大人っぽく、ハスキーなヴォーカルが心に響きます。この曲もたくさんのアーティストにカヴァーされていますが、ぼくはこのカヴァーが大好きですね。

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10. The Last time I Saw Richard - Kevin Sandbloom
最後はこちら。ケビン・サンドブルームという米国LAで活動する男性シンガー。少し変わったアコースティックギターのリフをバックに切々と歌う好カヴァー。彼もジョニ・ミッチェルのカヴァー集『Still Blue』(2011年)をリリースしているんですね。

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ジョニ・ミッチェルの『Blue』、そして数え切れないくらい存在するカヴァー・ヴァージョンを聴いてみて、改めて『Blue』が時代を超えて愛されているのだなと実感しました。こんな存在のアルバムってなかなか無いですよ。そして、いろいろな方にSunaga t experience『Re Blue』を聴いていただけたら良いなと思います。
2022年11月15日 toru watanabe (pwm)

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(おまけの1曲)

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