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夫婦喧嘩

我が家に夫婦喧嘩は殆どない。
というのも、大体は癇癪の激しい私が一方的に機嫌を損ね押し黙り、それを見かねた旦那さんが上手くなだめすかしてくれるからである。
概ね私が悪いし、旦那さんには頭が上がらない。
いつもありがとう……。

今日は朝から本当にずっと調子が悪くて、自分でもなんでこんなに苛々するのか分からなくて仕方なかったのだけれど、それが喧嘩に繋がった。
内容はどうでもいいので省くが、最終的に思ったのである。
「なるほど。不倫に走る女の気持ちって、もしかしたらこういうことの積み重ねの結果で起こるのかもしれない……」と。
私は友人知人に不倫する側もされた側もいて地獄はもう見飽きているし、もうこれ以上誰かを好きになる体力も気力も残っていないのでやらないけどね。
あと、旦那さん好きだし。

――っていう感想を、仲直り後に旦那さんに伝えた。
そして締めの台詞としてこう言った。

「そうさくにいかさせていただきます」

するとなぜか、それまではいつも通り「まーた、うちの奥さんなんか言ってるよ」という適当な表情で話を聞き流していた旦那さんの血相が急に変わった。
普段どんなことがあっても怒らない彼の眉間に皺が寄り、「はぁっ!?」と低い声が出る。

あれ? 私今、怒らせるようなこと言ったっけ?
「創作に活かさせていただきます」って言っただけだけど……と冷や汗を掻いたところで、ふと気が付いた。
旦那さんには「(不倫相手を)捜索に行かさせていただきます」って聞こえたのだと。
日本語って難しいな、そう思った反面、腹から笑いがこみ上げてきた。
私が爆笑を始めたら、旦那さんが面食らっていたので再度言い直す。
「クリエイトの創作に活かさせていただきます」と。
そうしたら、旦那さんもホッとした表情になって「君が言うことはよく分かんない」と返してきたので、何を失敬なと言い返す。
二人で笑う。ミルクを飲み終わった赤子だけが、きょとんとした表情で私たちを見ている。
あとはもう普段の日常だ。

山も落ちもない、我が家の取り留めもない痴話喧嘩。
明日で旦那さんの育休が終わる。
赤子が増えて、忙しないながらも穏やかに過ごした育休四ヶ月間の最終日だ。
働かないと食っていけないので旦那さんには仕事に戻って貰うしかないが、毎日「今日はどこに外気浴に行こうかー」とのんびり過ごしていた時間が減ってしまうのかと思うとやっぱり寂しい。
この人がいたから(とりあえずここまでは)産後鬱とも無縁で済んだ。
本当に感謝しかない。
彼を大事にしなくてはいけないなとあらためて自戒する私である。

後々のために、芸人・みやぞん氏の言葉を書いておく。
「自分の機嫌は自分で取る」
いい加減にしろよ、私。

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