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ワクワクを追いかける 〜檜原村に集う仲間たちへの想い〜

NPO法人 さとやま学校・東京との出会いは、今を遡ること3年前。

「檜原村を電動自転車で一周する」というツアーに参加した私は、その一環で廃校となった旧藤倉小学校を訪れた。

小学校は、藤倉地区にある春日神社の真後ろ、少し小高く見晴らしの良い尾根沿いに建っている。
校舎まではいくつかの緩いカーブを伴う、かなりの傾斜角の坂道が続く。
電動自転車とはいえ、急な坂道はなかなかのハードワーク。
ふーふー言いながら着いた先には、なんともかわいらしい木造の校舎が立たずんでいた。

一歩中に入ると、古い木の香りとひんやりとした空気が、汗ばんだ身体を優しく包み込む。
歩くたびに軋む床の感触が、この校舎の歴史を物語っていた。
そして、廊下の先にある少し開けた部屋には、年季の入った薪ストーブと、大きな格子窓から見える鮮やかな新緑。

そうだ、この感じ。
息子が小さい頃通っていた会津の古い幼稚園の雰囲気そのままだ。

初めて訪れる場所なのに懐かしさを感じる理由を探し当て、ほっこりとした気持ちになったことを思い出す。

そして、ここでさとやま学校・東京の理事長、川上玲子さんに出会い、檜原村で活動するNPOの存在を知った。

↓さとやま学校・東京についてはこちらのHPをご覧ください↓
https://satoyama-gakkou.org

農耕民族としての血が騒ぐ瞬間

初めて参加した活動は、畑での農作業。
檜原村の畑は、この地域では伝統的な「斜面畑」と言われる、山の斜面をそのまま利用した畑。
当時、学校に行かなくなった息子をなんとか外に引っ張り出そうという魂胆もあり、息子を連れ立って活動に参加した時もあった。

降り注ぐお天道様の日差しの中で、一心不乱に鍬を振り下ろす作業は、当時の私にとっては新鮮な体験。
木陰でアイスクリームを食べながらの休憩時間、作業後の心地よい倦怠感。
デスクワークの多いサラリーマンだった私は、現実から離れ、汗と土にまみれて、農耕民族としての自分の血を感じる「その瞬間」が好きだった。

そこから、気が向けば不定期に、ボランティアとして活動に参加することになる。

スタッフとして関わる中での想い

昨年4月、サラリーマンを卒業して心身ともに余裕ができた私は、久しぶりに畑仕事をしようと、檜原村を訪れた。

旧藤倉小学校をめぐる環境は大きく変わっており、NPOがお金をかけて校舎を改築し、宿泊事業に乗り出すべく佳境を迎えていた。
古い校舎の外観はプロの建築家と熱心なボランティアさんたちの手で新しく生まれ変わり、白い壁とえんじ色の屋根が眩しい素敵な建物になっていた。

それから数ヶ月の間、運営スタッフとして関わりながら素敵な人たちと出会い、私の今後につながる経験をたくさんさせていただいた。

忙しい日常の合間を縫って、電車や車で時間をかけて檜原村に出向き、手弁当で活動に参加する会員さん、ボランティアさんたちの姿。その熱意と、檜原村やNPOに対する熱い想いが時に運営側と対立することもあったが、私の目にはそれすらも眩しく映っていた。
無報酬で見返りを期待しない活動に、それほどの熱意と溢れる想いを持って参加している人たちが、活動を支える原動力になっているのは、誰もが認めるところだろう。

一方で、スタッフとして関わる中で、運営側の人手不足の実情や、スタッフ一人一人の様々な想いにも触れることになる。
綺麗事だけでは立ち行かない現状もたくさん目の当たりにした。
地元の方々と会員さんとの間で揺れ動く、組織としての未熟さは、スタッフの誰もが痛感してきたことでもある。

そんな中で、時に精神的に追い詰められながらも、目の前のことを一つ一つ淡々とこなしていくスタッフのみんな。
それぞれの向き不向きを補いながら、スタッフ一人一人が自分の役割を考え、なんとかよい活動にしていこうと、力を尽くしてた。
それでも、なかなか思い通りにいかない現実。

...なんてわかったように書いてはいるが、結局のところ私は、スタッフとしてはあまり役には立たず、道半ばでスタッフをおりることを選ぶ。

その想いはまたいずれ別の形で書きたいと思うが、誤解のないようにいえば、それは私自身の想いと理由によるものであり、NPO活動の本質とは関係がない。
むしろ個人的な理由で、中途半端な形でスタッフをおりることを許してくれたスタッフの皆さんには、感謝しかない。

成功できるまで淡々とやる

先日、5ヶ月ぶりに藤倉校舎を訪れた。
見違えるように整った、素朴でセンスのよい内装。

当時は雑然としていた外の敷地には、ワクワクするような存在感を放つウッドデッキがでーんと鎮座していた。

「こんなことできたらいいよね」と夢でしかなかったことが、一つずつ実現している様子に、あらためてこのプロジェクトに関わった全ての方の努力と、一途な想いを感じずにはいられない。

失敗とは、途中で辞めること。
成功とは、できるまでやり続けること。

どんなことがあっても、あきらめずに、自分たちのワクワクを追いかけていく頼もしい仲間の姿。

そう、ポイントは「ワクワク」を忘れないこと。

昨日はスタッフの方の美味しい手料理をご馳走になりながら、たくさん笑って、私も原点に返った一日。
年齢関係なく、「楽しい!!」を体全体で表現する人たちといると、自分もエネルギーをもらえる。

「お互いがんばりましょうね!」

そう言って笑顔で別れた先の、お互いの将来に思いを馳せる。
さて。

私も「こんなことできたらいいよね」に向かって、ワクワクを追いかけるべく、淡々と行こう。

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