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未来を切り拓く系統用蓄電池の普及がもたらす恩恵とは


再生可能エネルギーの課題と九州の現状

再生可能エネルギーの普及が進む中、特に九州ではその導入が急速に進んでいます。しかし、太陽光や風力といった再生エネには課題があります。それは、天候や時間帯によって発電量が大きく変動するため、電力の需要を超えて発電された余剰電力を捨てる「出力制御」という措置が取られることがあるのです。

九州で進む系統用蓄電池の導入

九州は、日本国内でも特に再生可能エネルギーが盛んな地域です。太陽光や風力の発電が活発である分、余剰電力が発生しやすく、2018年度には全国で初めて、離島以外の地域で出力制御が実施されました。そして、2023年度にはその制御量が約12.9億キロワット時に達し、前年度比で約3倍に増加しています。こうした状況から、再生可能エネルギーを無駄なく活用するための対策が求められています。

ここで注目されているのが「系統用蓄電池」です。系統用蓄電池は、発電された電力を蓄え、必要なときに放電する大規模なバッテリーシステムで、余剰電力を無駄にすることなく有効活用できます。この技術が普及すれば、出力制御によるエネルギーの無駄が大きく減少するでしょう。

企業の積極的な取り組みと国の支援

実際、九州では系統用蓄電池の設置が進んでいます。西日本鉄道やJR九州、九電工といった企業が次々と導入を進めており、再生可能エネルギーの有効活用と収益性の向上を目指しています。たとえば、西日本鉄道と自然電力が共同で福岡県宇美町に設置した蓄電池施設は、一般家庭約400世帯分の電力を1日分蓄えることが可能です。また、JR九州も熊本市に電気自動車の使用済み電池を再利用した蓄電池施設を開設し、2026年度までに容量を4万キロワット時まで拡大する計画を進めています。

こうした動きは、単なる企業の収益を上げるためだけではなく、再生可能エネルギーの普及を支える重要なインフラとしての役割を果たしています。企業は、電力の価格が安い時間帯に蓄電池に充電し、価格が高いときに放電して売電することで、収益を上げることが可能です。また、国はこうした取り組みを補助金制度で支援しており、蓄電池事業への参入がしやすい環境が整いつつあります。

系統用蓄電池の普及がもたらす未来

将来的に、このような系統用蓄電池がさらに普及し、より多くの場所で導入されれば、再生可能エネルギーの出力制御の必要性が減少するでしょう。太陽光や風力によって発電された電力を無駄にせず、効率的に利用することで、エネルギーの安定供給が実現され、さらには脱炭素社会の実現にも大きく貢献することになります。

日本政府は「2030年度までに再生可能エネルギーを電源構成の36〜38%まで高める」という目標を掲げていますが、この目標達成に向けても、系統用蓄電池の普及が重要な役割を果たすでしょう。再生可能エネルギーの変動性による電力供給の安定性への影響を、蓄電池を活用して解決する道筋が見えてきています。

未来への期待と私たちの役割

九州での系統用蓄電池の導入がさらに進み、出力制御が不要になる社会が実現すれば、再生可能エネルギーの導入は一層加速するでしょう。この未来は、九州だけでなく、日本全体、ひいては世界中の脱炭素社会の実現に向けた大きな一歩となるはずです。

私たちが「どんどん系統用蓄電池が普及され、出力制限がなくなればいいなあ」と願うのは、決して夢物語ではありません。その未来は、もうすぐそこまで来ているのです。これからもこの取り組みが進展し、私たちの未来をより明るいものにしてくれることを期待しています。

#再生可能エネルギー #蓄電池 #九州 #脱炭素社会 #電力システム

九州で再エネ蓄電池の設置相次ぐ、九電工も検討 - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC132HP0T10C24A8000000/


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