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8 話し合いができない

本来、可愛いわが子に、夫婦で意見を出し合いながら素敵な名前を考えていく過程は、かけがえのない時間になるものではないでしょうか。私の場合は、上の子の時も下の子の時も、名づけが憂鬱で嫌で仕方ありませんでした。産院で夫の面会の時間が近づくと毎日ため息をついていました。

名づけが憂鬱

 出産後、夫は仕事が終わると面会に来ました。名づけに関しては、性別もわかっていたし、あらかじめ候補を決めておいたので、すぐに決まるだろうと思っていました。そして、どんな名前にするかワクワクしながら日中を過ごし、夫の面会を待っていました。しかし3日過ぎるころには

「はぁ、今日も赤ちゃんの名前の話し合いか。嫌だなぁ」

と憂鬱になっていきました。先が見えないのです。

妻の意見は絶対に受け入れない

 そして、私が考えていた候補は見事にすべて却下され、しかもどこが気に入らないのかその理由も教えてもらえませんでした。妻の意見は絶対に受け入れない、というのもモラハラ夫の特徴なのです。妻を支配下に置いている一方で、友人や同僚の意見は驚くほど華麗に聞き入れます。腹が立ちますが、モラハラ夫はいつ何時も妻の意見だけ否定するのです。今回は、その名づけの時のやり取りを紹介したいと思います。

上の子の名前を決める時、私は5つの候補を考えていました。産院ではいつまでも「赤ちゃん」としかわが子を呼べないのがさみしく、早く決まればなぁとも思っていました。出産前に友人が来た時に名づけの話になり、私が候補を披露すると、夫は「いいねいいね!その名前、いいんじゃない?」とテンション高く賛成してくれていました。モラ夫は外面がいいので友人の前では絶対に妻を否定しないだけだったのです。

「華奈美ちゃんはどう?漢字も線対称で美しいし」
モラ夫「・・・うーん・・・」
「え、前は気に入ってたのに、違った?じゃあ『ほのか』ちゃんはどうかな?やわらかい感じがかわいいと思う」
モラ夫「・・・うーん・・・」
「ひよりちゃんは?あったかい感じがしていいなあ」
モラ夫「・・・・・・」


代案も理由も言わずただ無言を貫く

 夫はコメントせず、黙るだけ。かといって自分は何も候補を考えてきていません。こういうやり取りが3日続くとさすがに憂鬱です。いいのか、悪いのか、どういう名前がいいのか、まったくヒントが得られない状態です。私は、夫婦が揃って納得できることが一番の条件だったので、とにかくアイデアを出して、夫の反応を伺いました。そもそも夫は出生届を出す期限のことも知っているのか疑問でした。


「もうそろそろ決めないと。出生届も出さなくちゃいけないんだよ?」
モラ夫「・・・・」
「じゃあこの本でも見て決めようか」
モラ夫「うーん・・・まあ・・・」
本をパラパラとめくり、しばらく無言の後、夫が名前をつぶやきました。
モラ夫「ゆうな・・・」
「ゆうな?・・・うん、いいんじゃない、いい響きだと思うよ。漢字は私が得意やから任せて!」できるだけ明るい声のトーンで提案しました。
モラ夫「じゃあお願い」

 その言葉にとにかくホッとしました。夫のアイデアに賛成するしか道はないと思っていたので、せめて漢字だけは関わりたかったのです。そして何度か声に出して読んでいるうちに、次第にこの名前しかないという気持ちになりました。

 翌日私は「ついにこれが出生届か」と、憧れの書類にドキドキしながら書きはじめました。そして迷った末、こどもの名前の記入欄は、夫のために空欄にしておくことにしました。全部私が記入したら、不機嫌になるか、何もないか(喜ぶことはまずない)、判断できなかったのです。モラ夫の不機嫌発動は原因不明で何が地雷かわからないので、念のためです。

 その日の面会で、さっそくこどもの名前の欄を書くように夫に提案しました。しかし反応は、ハズレ。不機嫌でした。


モラ夫「なんで俺が書かなダメなん?」
「え。もしかしたら、書きたいのかもって残してたんだよ」
モラ夫「別にそこまでせんでいいのに」
照れではなく、本当に嫌そうでした。それならと、私が欄を埋めました。
「出生届はどうする?届を出した人の名前が戸籍にも残るんじゃない?せっかくだからパパ出して来たら?私動けないし」
モラ夫「・・・いや、いいわ」
 結局、私の母に提出してもらいました。「あらあ。そんな大役、夫くんじゃなくて私でいいのかな?ありがとう!」と母は夫の前で大げさに喜んでくれましたが、モラ夫は気が付いていませんでした。

次は、元義母と元義父のこと、元夫の幼少期のことも書いてありますので、有料にさせてください。かなり複雑な家庭環境です。

下の子の時も繰り返す

 下の子の名づけの時も、まったく同じ経過をたどりました。何を提案しても「うーん」とか「わからん」としか言わないのです。上の子の時は嫌な思いをしたので、妊娠中も私は、名前の候補を夫に提案することが怖くてできませんでした。否定され、沈んだ気分の中で出産を迎えたくなかったからです。だからこっそりと、日記帳に候補を書きました。男の子だったら、こんな名前を付けたいという憧れの名前があったのです。

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