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椎名林檎の新曲とMVの感想を書く

こんにちは、うおです

椎名林檎名義で5/28にリリースされた6曲の新曲に度肝を抜かれたので感想を書いていこうと思います

1.ちりぬるを(中嶋イッキュウ)

最初に発表されたのはジェニーハイやtricotで活躍している中嶋イッキュウさんとの「ちりぬるを」。小気味いいビートと銅鑼から始まるイントロから始まり、フルートが鳴り響く本曲。今までにないリズムパターンにまず驚かされました。フルートは過去に「走れゎナンバー」などでも用いられており、新しさを味わいつつ過去作の引き出しを開ける事もできます。また、特徴的なビートから始まるイントロや、ニューアルバム「放生会」の最初のトラックであることから「正しい街」を思い浮かべました。そこに「今の椎名林檎」の要素が加わり、その魅力をガツンと感じられる一作になっていると思います。MVに関しては、椎名林檎と中嶋イッキュウさんの二人が華やかな衣装を纏い、キャバレー風のセットで多くのダンサーと共に妖艶な雰囲気を醸し出している。また、楽器隊、ダンサー含め全体的に黒い衣装が多い点や人間味の無さが生を連想させる「いろはにほへと」に対して死を連想させます。

2.生者の行進(AI)

2曲目に発表されたのはAIとの「生者の行進」。AIさんと椎名林檎のパワフルな歌声がハイテンポなジャズと交わる本作は映像に何度か見られるアフリカのサバンナのような映像や、ドレッドに民族衣装のような服装で情熱的なダンスをする様がとてもエネルギッシュで異国情緒を感じるナンバーに仕上がっています。イタリアにルーツを持つAIさんの持つ大陸のエネルギーと椎名林檎の得意とする純日本風の歌詞が織りなすのはまさに、世界を生きるものたちの行進です。

3.初KO勝ち(のっち)

MVにて、悪そうな椎名林檎とPerfumeののっちさんがいきなり現れる3曲目の「初KO勝ち」。ワウを利かせに利かせたギターイントロから始まり、シンセにストリングス、クラリネットやゴングの音まで幅広い音使いが魅力の本作。椎名林檎は生楽器を使用することが大半で、本曲も上質なセッションを聴いているよう。Perfumeはもっと可愛さが目立つグループだと思っていたため、のっちさんがこんなかっこいい歌い方をする事に驚かされました。また、スポーツに関係する楽曲は「NIPPON」以来でストレートなロックチューンと打って変わって、非常にファンク色の強い一曲。中盤の椎名林檎の低音も聴きどころ。MVでは2人がボクシングをする様子が見られ、攻撃的な歌詞と非常にマッチしていました。それと、余談ですが、MVを見てマイケル・ジャクソンの「Beat It」を思い出したのは僕だけでしょうか。

4.ドラ1独走(新しい学校のリーダーズ)

4曲目は新しい学校のリーダーズとの「ドラ1独走」。SUZUKAさんと椎名林檎の艶やかな歌声が堪能できるこの曲はさながら、椎名林檎流歌謡ロック。伊澤一葉の弾くキーボードと歌から始まり徐々に音数が増えていき、「今夜はから騒ぎ」などでお馴染みのタンバリンが嬉しい。曲構成はAメロBメロの次にサビがあり、Cメロや落ちサビもあって、非常にポップで聴きやすい仕上がりになっている。今挙げた楽器構成や曲の流れからシングル版の「私は猫の目」に共通点を感じました。MVではジャズマスターをバットに見立てて構えるSUZUKAさんとグローブを構える椎名林檎が対決のような構図で描かれています。オマージュ、パロディが大好きな僕としては、曲後半でSUZUKAさんが「幸福論」のようにギターを抱きかかえていた所も要チェックです。

5.余裕の凱旋(Daoko)

5曲目はDaokoさんとの「余裕の凱旋」。今までとは打って変わって可愛さを全面に押し出したような楽曲。「百薬の長」収録の「意識」で見せたクールな雰囲気とは真逆でDaokoさんの知らなかった一面が垣間見えました。曲前半はウィンドチャイムやシンセを多様しており、言うなれば椎名林檎流電波ソング。「800歳の妖怪」や「Wi-FiのPW=yy_world」など、遊び心に溢れた歌詞が特徴的。MVでは最近のお気に入りであるリュックを背負った衣装が印象的でした。また、後半では曲調がガラッと変わってオーケストラ調になりマーチングバンドのような衣装に身を包んだ2人がタイトルの「余裕の凱旋」の通り、堂々たる姿で歌い上げる。

6.ほぼ水の泡(もも)

最後に発表されたのはチャラン・ポ・ランタンのももさんとの「ほぼ水の泡」。椎名林檎作品ではなかなか見られなかったロックンロール調の一曲。ウッドベースでのスラップや特有のハネたリズムが心地よく、明るい気分にさせてくれます。2人のパワフルながなり声が女性の強さを見事に体現しています。お酒の話が中心のこの曲、日夜多くの事に追われる大人には刺さるものがあるのでしょうか。MVの話ですが、まず冒頭。ギターの名越さんがリーゼントヘアにしていたのが衝撃でした。本作はキャバレー風のセットが最も世界観にマッチしていて、我々未成年の知らない世界ですがその輝かしさや大人らしさは十分に感じられる作品に仕上がっていました。また、楽曲後半に椎名林檎とももさんは和服に着替え、そのタイミングでダンサーも和服に。このダンサーは富山県の「おわら風の盆」の物を採用しており、2021年の紅白歌合戦を見ていた方は見た覚えがあるのではないでしょうか。

さいごに

いかがだったでしょうか。椎名林檎が6人の歌姫を集め描き下ろした珠玉の6曲に対して思うことを書き連ねました。このnoteが上がる頃にはアルバムのフラゲも済み、アートワークを眺めながら楽しまれている頃だと思います。「三毒史」リリース以降、5年という長い時間を使い生み出されたこの「放生会」、ぜひともに楽しみましょう。

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