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サウナストーブの基本的な選定方法と注意点

サウナの心臓部分であるサウナストーブの選定方法についてまとめました。ここでは、プライベートでサウナを作りたい人に向けて、薪ストーブと電気ストーブの特徴を比較し、メリット/デメリットや選定のコツをお伝えします。


薪ストーブ

薪ストーブは炎に癒されたり、薪が爆ぜる音や香りを楽しむことができます。自分で着火して火を育て、少しずつ空間が温まっていく体験自体が特別ですよね。個人的には薪ストーブのサウナが大好きですが、サウナの設置場所や利用方法(自宅 or 別荘)によっても採用すべきかどうかは変わってきます。

薪ストーブのメリット

  • 炎や音、香りを楽しめる

  • 本格的な蒸気を得やすい(ロウリュ)

  • 200Vの電源は不要なので導入のハードルは低い

  • 停電の影響を受けない

薪ストーブのデメリット

  • 煙突工事が必要火入れに手間がかかる

  • 薪の購入や保管(薪棚)が必要

  • 煙が発生する

  • 定期的に煙突の掃除が必要

電気ストーブ

電気のストーブはスイッチ一つで温められる、シンプルな操作性が特徴です。薪ストーブに対する思い入れが特に強くなければ電気ストーブが良いでしょう。ただ、200Vの電源が必要だったり、定期的に部品(エレメント)の交換が必要になることは理解しておきましょう。

電気ストーブのメリット

  • シンプルで使いやすく、メンテナンスがしやすい

  • 細かい温度設定やタイマー制御ができる(室温が安定)

  • 薪ストーブよりもコンパクトなので設置がしやすい

  • 火を使わないので安全

  • ストーブ本体の設置が簡単(薪ストーブのような煙突工事が不要)

  • 煙が出ない

  • 灰の処理や薪の準備が不要

電気ストーブのデメリット

  • 200Vの専用電源が必要(1人用であれば100Vの商品もある)

  • (薪と比較して)ストーブ本体の値段が高い

  • 定期的にヒーターエレメントの交換が必要

  • 薪ストーブほど高温になりにくい

シチュエーション別、選定のポイント

住宅にサウナを作る場合

住宅の中に設置する場合のオススメは電気ストーブです。日常の身近な場所にサウナがあるということは、週に数回かもしくは毎日入ることを想定していると思います。例えば、朝サウナに入りたい場合はタイマーで入りたい時間にセットするだけで良いのです。

性能や空間の広さにもよりますが、薪ストーブだと火入れからサウナ室が温まるまで60〜90分ほどの時間がかかります。薪サウナに毎日入るとなると、ちょっと手間がかかりすぎですよね。火入れの手間も含めて楽しめるのであれば薪ストーブ、そうでなければ電気ストーブと考えるのがシンプルな選定方法です。

住宅とは別棟でサウナ小屋を建てる場合は、薪も電気も両方の可能性があります。日常生活の中にサウナを取り入れたいのであれば電気がオススメ。休日に家族や友人と一緒にサウナに入ってゆっくりと過ごしたい、そんな方には薪をオススメしたいです。サウナを中心に過ごしつつ、その横にBBQスペースなどあったら最高ですよね。

別荘など自宅から離れたところにサウナを作る場合

自宅から離れた別荘や自然に囲まれた場所にサウナを作りたい場合は薪ストーブをオススメします。そういう場所を選ぶということは、日常から切り離された自然とのふれあいや非日常の体験を求めている場合が多いと思います。自分でストーブに火入れし、自分で温めたサウナ室に入るのは特別な体験です。

逆にこういう場所で電気ストーブが向いてない理由があります。一般的な家電製品と同じで電気ストーブも定期的に使ってあげないと故障の原因になりやすいのです。使用頻度が少ない場合は薪ストーブを選定するのをオススメします。薪ストーブは構造がシンプルなので過燃焼さえしなければ長く使えるでしょう。

(番外編)サウナ施設に導入する場合

番外編として、事業で個室サウナを運営したい場合について解説します。
都心部などでは(煙突や煙の問題で)自ずと電気一択になってしまうため、サウナ施設の多くが電気ストーブです。初期費用はかかるものの、操作性やメンテナンス性を考えると圧倒的に電気の方が扱いやすいです。

電気が多いだけに、もし立地的に薪サウナが実現可能であればそれで差別化を図り、一つの売りとして示すことが可能です

費用的な面で言うと、電気ストーブは200Vの電源が必要になります。そのためサウナ室を複数作る場合は電気工事だけでかなりの費用がかかります(水風呂の水を冷やすためのチラーもいいお値段します)。電気ストーブは定期的にエレメントの交換が必要だったりするので、家電製品のようなイメージに近いかもしれません。薪サウナの方が導入コストは電気と比較して抑えることができますが、ランニングコストは薪の方が高いです。

本場フィンランドでは?

フィンランド人は薪サウナを好む傾向があります。これはやはり視覚的な炎の魅力、音や香りなどに起因していて、電気ストーブでは得られない体験を提供しているからだと考えられます。
サウナが小屋として利用されるようになってから2000年以上の歴史がありますが、そもそも電気ストーブが発売されたのは1950年代の末ごろで、一般の人に使われ始めたのは1960年代からと言われています。そう考えるとサウナの歴史のほとんどが薪サウナであったことから、伝統的な方法として大切にされているのだと思います。

薪 or 電気で変わる換気計画

一つ強調しておきたいのは、「ストーブの熱源が変わると換気計画が変わる」ということです。薪ストーブには煙突があるので燃焼によって自然と空気を循環させることができます(正しい位置に給気が必要です)。一方、電気は煙突がないので、空気をどうやって入れてどうやって排出するのか換気計画をしっかりと考える必要があります。空気の循環がないとサウナ室が温まったとしても息苦しく感じたり、不衛生になってしまったり、いろんな不具合が発生する原因になります。そして何よりも、換気計画が考えられていないとフレッシュエアーが得られません。つまり最高の体験が得られません。換気の内容だけでもかなりのボリュームになりそうなので、また別の機会にまとめたいと思います。

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