今年のパタゴニア・ダウンセーターは凄いわよ
ごきげんよう
わたくしダウンセーター。
山屋の皆様方?一度は見たことあるわよね?
さかいやスポーツ?WILD-1?それとも好日山荘かしら?
えぇ、口に出さなくてもいいわ。
みんなが私のことをどう思ってるか。
「ペラペラでちょっと不安」
「ペラッペラなクセに値段だけは一丁前」
「いかにもなインナーダウン」
「まぁ、たしかにダウン“セーター”、ね」
「同じFPでモンベルならもっと安く買えるな・・・」
そう思って袖も通さず、ハンガーに戻してきたでしょう?
でもね、今年の私は一味違うっくてよ?
どうかしら?
記憶よりちょっぴり、ボリューミーでございまして?
恥ずかしながらちょぴっと太ってしまいましたの。
いえ、大したものではありませんのよ?たった46 gですの。
ダウンセーターの歴史
ダウンセーターは2004年から販売されている、パタゴニアを象徴する製品の一つです。
それ以前のパタゴニアのダウンは、アルパインダウンパーカ(モンベル)のように大きなバッフルを備えたものでした。
しかしそのような大ぶりのダウンジャケットは厳冬期以外のシーズンには過熱で使いづらく、また脱いだ際に嵩張るので荷物になります。
加えて防寒性をプラスしたいときに、さらにその上に羽織るようにはデザインされていません。アウター専用です。
一方、ダウンセーターが目指したのは「セーターのように使えるダウンジャケット」です。
つまり、晩秋から春先までずっと使えて、本当に厳しい冬の日には着重ねるレイアリングによって快適に保つ。
嵩張らないので運転中や就寝時に着用してもゴワゴワしない。
結果として多様な季節・状況で使えるからこそ、沢山のシーンで長く着ていられる。
最初は懐疑的だった他社も次第に真似するようになり、今日では「インナーダウン」という一つのカテゴリになりました。
実にパタゴニアらしい製品で、海外のレビューサイトでもセリウムLT(アークテリクス)やゴーストウィスパラー(マウンテンハードウェア)と並び、Best Down Jacketとして殿堂入り扱いされています。
でもでもでも、ちょっとペラくない?
しかし店頭で見るそれは、やはりペラペラ感が否めません。
加えて安くない価格。
使い続けて良さが見に染みるナノパフのようなスルメ感があるんだろうと思いつつ、欲を言えばもうちょっと防寒性が欲しいなぁ。
そんな願いが2022年、ついにパタゴニア本社に届いたか届いてないか知りませんが、叶いました。
そう、ダウンが増量されたのです。
それも、大幅に。
+46 g
2022年、ダウンセーターは大幅アップデートを果たしました。
表地が漁業用の網をリサイクルした素材100%になったことが大々的に謳われています。
しかしその裏でこっそり、とんでもないアップデートが成されました。
それが+46 g。
そう、ダウン量が+46 gされました。
800FPのダウンが104 g→150 g。
この数値は公式HPなどでは公開されていません。海外の有志がPatagonia本社に問い合わせたところ、教えてもらえたそうです。ググったら出てくるので、見てみて。
さて、46 gと言われてもよく分かりません。
容積に変換してみましょう。
ダウンセーターは800FPです。
このFPという単位、ちょっと面倒で、FP = inch^3/ozです(やめて!ヤードポンド法やめて!)。
最新の規格ではinch^3/30 g だそうです。
SI単位に変換すると約0.55 mL/g
つまり800FPとは440 mL/gのことを指します。
さて、これをダウンセーターに当てはめましょう。
総ダウン量で比較すると、
2021モデル以前:ダウン重量104 g=ダウン容積45 L
2022モデル:ダウン重量150 g=ダウン容量66 L
脅威の20 Lの増。どうりでバフバフ感が増してる訳です。
パタゴニアによるとダウンセーターフーディの場合、暖かさが29%アップしたそうです。
試着、秒で分かるボリュームアップ
これには「パタのダウンセーター、ちょっとペラくて頼りないんだよなぁ」と思ってた山おじさんもニッコリ。
実際、WILD-1宇都宮駅東店で2022モデルに袖を通したとき、「!?どうしたダウンセーター!」「キミはそんなんじゃなかっだろう?!」と驚き。
その後、他社ダウン製品も取っ替え引っ替え試着。
しかしダウンセーターのような着心地の良さ、気軽さ、生地感の良さ、フィット感、そして暖かさを備えるものには出会えず、迷いに迷った末、レジに向かっていました。
購入してしばらく使った印象は「あぁ、やっぱこれがちょうど良い」。
家の中、就寝中、運転中、街中、温泉あがり、車中泊、いつでも気軽に使えるダウンセーターの魅力にすっかり虜です。
何が何でもパタゴニアが最高?
個人的にはパタゴニアのウェアを好んで選びます。
今までも登山やスキー、自転車用にR1フルオーバー、R1テックフェイス、ナノエアライトハイブリッド、フーディニジャケット、キャプリーンロングスリーブ。
またリラックス&街着としてロスガトスフーディ。
さらに今年はナノエアフーディ、ベーターセーター、そしてダウンセーターを買い増してます。
パタゴニアを選ぶ1番の理由は、自分の体型にすごくフィットするから。
例えばノースフェイスは丈が短すぎ、モンベルも丈短い上に着心地が良く感じず、アークテリクスは胴回りがちょっとキツく、ファイントラックは裾が短く、マムートはモノは最高だけどサイズ感がいいかげん(個人の感想です)。
唯一、ノースフェイスのパンツ(バーブパンツ)はフィットするので、2本持ってますが、それだけ。
結局のところアウトドアウェアで重要なのは、1番に如何に身体に馴染むか、2番にそれは修理できるか、3番に入手や試着が容易か、価格や企業理念なんてのはその後にあるものだと考えてます。
と、言いつつも。
やっぱり高価なのは困ります。
ダウンセーターは本国アメリカでの販売価格は$329。
日本での販売価格は41,800円なので、127円/$の計算。
現在の為替が137円/$なので、かなり良心的です。
ただし、絶対的には高価です
4万って高いよね。うん、絶対安くはない。
もし、
「ダウンジャケットが欲しい!安く!多少ごわついてもいいから!」
であれば、モンベルのアルパインダウンパーカを買いましょう。
価格は2万ちょっと。
これ、アメリカでの価格は$329もするので、こんなに安価に買えるのは国内メーカーの特権です。
ただしアウター前提のデザインなので、ダウンセーターほど気軽には使えず、また厳冬期以外はクローゼットに仕舞われるでしょう。
ちなみにダウンセーター4万というと、脅威の1000FPを誇るモンベルのイグニスパーカやプラズマ1000ジャケットが視野に入ってくると思います。
これらはダウンセーターの代わりになるでしょうか?
答えは微妙です。
理由は絶対的なダウン量の少なさ。
イグニスパーカはダウン重量60 g、プラズマ1000に至ってはたった45 g。
いかに1000FPと言えど、流石に少なすぎます。
用途としては超軽量なダウンジャケットが欲しい夏〜秋口の高山帯に限定されます。
ちなみにこれらダウン重量はmontbell.comで全て明示されています。
結論
アウター専用で安価で暖かいダウンが欲しければアルパインダウンパーカ(モンベル)。
そこそこの値段だけど汎用性を重視するならダウンセーター(パタゴニア)。
ダウンセーターのような使い方をしたいけど、もうちょっと軽量さも欲しい場合はアークテリクスのセリウムLTがオススメです。
しかしどのダウンも共通して、洗うのは面倒さが伴うので扱いには気を使います。
ダウンセーターがいかに気軽に使えるとは言え、着たままラーメンをズルズルすするのは気が引ける。
あぁ、ダウンセーターよりさらにもっと気軽に使えて、洗濯機でぎゃんぎゃんに洗えるナノパフも欲しいなぁ!!