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【エスパース】シングルウォールで1.48 kg、誰が買うんだ?私が買う【クエスト2】

この記事はエスパースのクエスト2を一目惚れから初張りに至るまでを書いたチラシの裏です。
まだ数回しか張っていないので、ロクにレビューなんてできてません。ご了承ください。

カッコいいエスパースなんて解釈違い

初張りのクエスト2(飯豊・切合)

見てよ、この潜水艇の窓みたいな出入り口。
見てよ見てよ、これ以上削ぎ落としようのないシンプルデザイン。
そいでそいで見てよ、明らかに人工色なのに自然に溶け込む絶妙なマスタードカラー。

これが令和のエスパース。
これが令和のヘリテイジ。

あぁ、こんなにカッコいいのはオレたちの知っているエスパースじゃない。
エスパースはね。流行のカラーなんて知らないし、デザインも50年変わらない。やる事全部が古臭くなきゃいけないの。

そんな概念を改める。
このテントを鉱泉で目にした数週間後、足はカモシカスポーツに向かっていた。

我が家のテント達

ウチには山用テントが3張りあります。

はじめに買ったダブルウォールのエルチャルテン1.5P(ゼログラム、2018モデル)。
次に買ったフロアレスシェルターのKhufu(LOCUS GEAR、HB)。
最後に買ったシングルウォールのDjedi DCF-eVent(LOCUS GEAR、廃盤)です。

後ろ2つはNOTEにも書きました。

2024年現在、最も使用頻度が高いのはDjediです。

近影 2024年5月18日 燕山荘

軽く、広く、設営しやすく、耐候性も高く、DCF-eVentのずば抜けた透湿性があるDjediは汎用性の塊です。

2020年10月24日 地吹雪の涸沢
ものともしないDjedi

迷ったらDjedi。
むしろ、迷わずDjedi。

そんなことを続けていたので、流石にハードユース。
Djediにもガタが出てきます。

写真1 DCFの裂け(ほつれ)
写真2 ポール受けの剥離

DCFは不織布です。ほつれは本来生じません。
高強度でもあるので、容易には千切れません。

しかし、ハードユースの代償はご覧の通り。

4年で6回

それでもDjediは現役。

LOCUS GEARはとにかく直してくれます。
しかも超スピード。

写真1と2はKhufuの修理と一緒に出して2週間で戻ってきました。

最速記録は月曜に修理依頼+発送→水曜に修理完了+返送→木曜夕方に戻り。

こうした修理をDjediでは既に6回。
理由は第一にハードユース。
第二にDCFのピーキーな素材特性。

これからも直しながら使い続けます。
しかし、いつか終わりは来ます。

またDjedi買えばいいじゃん?
ところがドッコイ。

幻となったDjedi DCF-eVent

Djedi DCF-eVentは既に廃盤です。
理由は生地の生産停止。

現在ローカスギアの修理は、ストック生地を使いながらということ。
いつかは修理不能になる日がやって来ます。

Djediはとてもお気に入りのテント。
機能性や実用性だけでなく、山々を巡り歩いたアイコンです。

少しでも長く使い続けるため、Djediの代わりとなるようなテントを探そうと思い至った訳です。

赤岳鉱泉にて

まぁ、でも、まだDjedi使えるしなぁ。
防水透湿のシングルウォールなんて他にあんま無いし。

ましてやeVentなんて......。

そんな想いを抱えながら、久しぶりに八ヶ岳をふらふらとハイキングしていました。

2024年6月15日 赤岳鉱泉

鉱泉に到着したのはお昼頃。
テン場はえらい混雑。

Khufuも若干斜めに張って一息ついてると、森の奥のスペースにひと張りのテントがありました。

写真は雑コライメージ図です

その真円の窓に心を奪われました。
一目で理解します。あれはエスパースだ。

エスパース=古いテント、という図式が山人には刻まれています。
「きっと古から山をやってきた熟練のヤマンチュなんだろうなぁ」と勝手に理解します。

しかしカッコいい。
時代遅れのデザインは、時代の波に揉みに揉まれた結果、洗礼された秀逸さを醸し出しています。
この洗練さは、ポッと出の新進気鋭ULテントには出せません。

現役時代には生まれていなくても、往年のクラシックカーやハイソカーに惹かれる若者がいるように、現代では決して作られてないクラシカルなデザインには、その栄枯盛衰の歴史を含めて惹かれるものがあります。

いいなぁ。カッコいいなぁ。
何年前のテントなんだろう............え?去年?

2023年夏 エスパース クエスト新発売!!

恥ずかしながら、まったく知りませんでした。
エスパースといえば、流行色の概念を完全無視した蛍光緑のイメージしかありません。

一目でエスパースと分かるアイコン的カラー

しかし、もう少し下を見ると見慣れないテントがいます。

俺たちの知ってるエスパースじゃない

マキシム」というのは聞き覚えがあります。
確かマキシム・ナノとか言ったはず。

実際「マキシム」はマキシム・ナノのリニューアルモデルです。
一方、「クエスト」というのは完全新作。

🙍‍♂️「自己紹介してもらえる?」
⛺️「はい!クエスト1、クエスト2。1才です!」
🙍‍♂️「へぇ。新しいんだ。重さは?」
⛺️「はい!1.34 kg1.48 kgです!」
🙍‍♂️「??? キミ、シングルウォールだよね?その......ちょっと重くない?」
⛺️「はい!自分、エスパースなんで!」
🙍‍♂️「うーん。高耐久なのは分かるけど、流石に.......」
⛺️「自分、eVentでできてます!」
🙍‍♂️「採用」

いました。Djedi DCF-eVentの代わりになりそうなヤツが。
まさかの視覚外、ヘリテイジから。

このクエスト、2023年夏に唐突に登場したため、ロクにレビューがありません。
そもそもeVentを採用してるからといって、1.48 kgのシングルウォールを真面目に欲しがるのなんて、相当拗らせてる個性的な山人です。

レビューがない。
それじゃ、行くしかないじゃない。

親の顔より見た芝生(もっと親の顔見ろ)

わざわざ平日に休みをとって、やって来ました松本は我らがカモシカスポーツ。

こちとらeVent採用シングルウォールの時点で購入は確定。

悩むはサイズだけで、クエスト1(100cm(奥行)×210cm(長さ)×106cm(室内高))かクエスト2(128cm(奥行)×210cm(長さ)×115cm(室内高))かです。

店内で試し張りしたクエスト2

クエスト1のサイズは展示してあったクロスオーバードームと同じだったので、クエスト2だけ張らせていただきました。

奥行き28 cm差はその数値のまんま結構な差があります。
居住性はもちろんですが、設営に必要な面積は小さい方が何かと有利です。

室内高9 cmも結構な差です。
私の場合は姿勢良く座るとクエスト1では天井に頭が接してしまいました。

なので購入したのはクエスト2。
荷物の多い積雪期でも使用すること。シングルウォールなので荷物を全部幕内に入れなきゃなこと。大きいことは何かと快適なこと。
この辺りが決め手です。

山岳テントを買うのは5年ぶり。
ウキウキ気分で白馬に向かい、🍔を頬張ってエンドです。

なんで高田馬場じゃなくてわざわざ遠い松本だって?そりゃ、これよ。

初張りin飯豊山

3日後、アルプスの天気がオワオワリだったので雨がマシな東北に向かいました。

ガイラインは山旅旅で売ってるやつに変更済み

中はめっちゃ広いです。
夏は広すぎです。
冬は最高だと思います。

結局、この日は雨も降らなきゃ、風もなく、特に寒くもなかったので、レビューなんてしようがありません。

唯一判断できたのは結露。

幕の上の方は若干の水滴

シングルウォールなので結露はします。
eVentだって結露はします。

ただ、シングルウォールでこの程度であれば許容範囲です。

Djedi DCF-eVentの透湿量50,000 g/m^2-24hに対して、クエストは10,000g/m^2-24h。
Djediほど驚異的じゃありません。

ただ、Djediは透湿性と引き換えに繰り返し使用時の強度を犠牲にしています。
いわば、DCF-eVentはGORE-TEX SHAKEDRY™。
クエストはしっかりとした3レイヤーレインウェアのイメージです。

前室フライ

シングルウォールを雨天時に使おうとすると、前室オプションは必須です。

Djediも雨予報のときは必ず前室を使います。

昔3万、今4万の超高級前室

クエストも前室フライがオプションとして用意されてます。
それがこちら。

ダッッッッ

そうそう、これこれ。
敢えて色味を合わせない、このズラし。これこそが俺たちのエスパースだよ。
なんで色合わせへんねん。

重さは310 g。
ちょい重め。

ちなみにクロスオーバードームにも前室フライがあります。

160 g

色味も合っていて、ちょい軽い。

「これ、クエストに使えへん?」とヘリテイジに聞いたところ、
👨‍🔧「張り綱を出す位置が10 cm違うから、オススメせぇへんで。強制はせんけどな
と教えてもらったので、そのうち専用前室フライを買おうと思います。

ちなみに手持ちのDjedi用の前室フライを無理やりつけた様子がこちら。

超高級前室 Djedi VX ¥46,800-
使えなくはなさそう

多少不恰好ですが、使えなくはなさそうです。
しばらく様子見ですね。

補足

クエストにはオプションで入口を吹き流しに変更できます。

雪山用ですね。

ただし、内張はオプションでもありません。
この辺りは兄弟モデルの「マキシム」との違いです。

マキシムはクエストと違い、eVentではありません。
その分、クエストより、4万円も安価です。

ただしマキシムは完全防水ではないので、雨の日はフルサイズのフライシートが必須です。
フライは¥30,800-するので、セット購入の価格はクエストに近付きます。
また、合計1.84 kg。流石に重さが気になります。

マキシムはオプションで内張が用意されてます。
なので「厳冬期でしか使用しない!」という方にはマキシムの方がオススメかもしれません。

ただし、旧「マキシム・ナノ」のレビューには「防水性はないので初冬やGWといった雨か雪か微妙な季節では非常に困る」という意見もありました。

その点、クエストは完全防水です。
雨がひどい時に快適性を上げたければ前室フライ(310 g)を追加すればよく、必須でもない。
そうした「都合の良さ」に惹かれ、マキシムではなくクエストにしました。

最後の補足として、クエストにはグラウンドシートがありません。
オプションでも用意されていません。
理由は、以下の通り。

 シングルウォールテントの場合、アンダーグランドシートを併用してしまうと、雨などがテントパネルを伝ってボトム下とアンダーグランドシートの間に水が溜まっていくことがあります。
 防水加工をされたボトムではありますが、耐水圧を超える圧力(荷物を置いたり、自身が座ったり寝たりするときの重み)がかかると染み込んできてしまうので、アンダーグランドシートのオプションはご用意していません。

https://kamoshika.co.jp/blog/espace-quest-review/

理解ってますね。
流石です。

クエストのボトムは40D。
容易に穴が空いたりはしませんが、果たしてグラウンドシート無しでどこまで耐久性があるかは今後の検証点です。

おわりに

先週に1回張っただけなので、本格的に評価はこれからです。

特に気になるのは雨の時の使用感。
暴風時の耐候性。
雪山での快適性。

興味が尽きません。
ひとしきり使ったところで、また改めてレビューしようと思います。

初張り目的で訪れた飯豊は、素晴らしい山でした

おわり