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ヨーガ療法士というお仕事

 私の職業は、ヨーガ療法士です。仕事は、ヨーガ療法を指導することです。まだまだピンと来る人が少ない仕事だと思います。ヨガインストラクターですか?と、言われる時もありますが、あえて「いいえ」と答えます。

そこに、私のヨーガ療法士としての誇りとこだわりがあります。

ヨーガ療法は、医療、福祉、産業、教育、司法の分野とも共同することができます。シニアの方とも寝たきりの方とも行うことができます。伝統の中で伝承されてきたヨガをベースにし、そのエッセンスを提供しています。何より、このストレス社会の中のストレスマネージメント法の1つとして奏功しています。

 ヨーガ療法士になるには、約3年が必要です。月に1回開催される(前期10回後期22回合計32回の)講座への参加と、毎回欠かさず出るレポート提出をこなしていかなければなりません。

 前期は、ヨガの概念的なこと。全体像を学び、ただ学ぶだけではなく、自分は今どこまで、ヨガの智慧を自分の生き方の中に取り入れているか、これから取り入れられるかなど、瞑想の中で考え、レポートにしていかなければいけません。この自分を振り返り、掘り下げる作業は、人によってはとても苦しい作業です。なので、ここに向き合えない人は、続けることが難しいかもしれません。しかし、向き合う恩恵として、過去の辛かった出来事が、人生に価値のある出来事に変わる瞬間に出会えます。過去はかえられない?いいえ、亡くなってしまった人が生き返ることはありませんが、自分が経験した過去の出来事に対する思いや感情は変えることができます。ここが変わると、今辛いことが、価値のあることに変化して、先の人生へ大きな影響を及ぼします。このようなことを学び、自分のこととして落とし込んでいくことで、ヨガインストラクターの資格が得られるのが、ヨーガ療法士育成講座の前期です。

 そしてヨーガ療法士育成講座の後期では、スタジオ・教室・サロンなどにくるヨガの生徒さんが、どのような動機でヨガに来ているのかを、カウンセリング(ヨーガ・ダルシャナ)し、見立てを作っていくための勉強をします。これは、簡単なようで、簡単なことではなく、例えば「ダイエットを目的に来た」と言っても、どうしてダイエットをしようと思っているのかは、人それぞれです。病気の予防の人もいれば、洋服がキツくなったとか、体が重くなったとか・・・表に出ている主訴を発言させている大元を聞かせていただき、それに対して目標の一致(インフォームドコンセント)を取って、ヨガのプログラムを出していきます。これができるようになるために、ヨガの病理論を学びます。アーユルヴェーダの医学書チャラカ・サンヒータやヨーガの聖典群を理解しアセスメントができるように、カウンセリング(ダルシャナ)のテクニックも学びます。
 そして、ヨガ実習前後の生理データ、心理データを取って(もちろん倫理規定のもとクライエントの同意をとって)ヨーガ療法学会という学術学会の中で、研究発表をします。卒業論文も書きます。大学生なみのことを行います。ついこの間まで、普通のヨガの先生だったかもしれないし、普通の会社員や主婦だったのに、研究発表ができるような講座の仕組みになっています。レポートは多いですが、ここで得ることは、主観的ではない、客観的なヨガの効果を表現できるということ。現代社会の中で生きるにはとてもエビデンスはとても大切なことです。ここまでできて、やっとヨーガ療法士です。講座の中では、医学的なこと、心理学的なことも学びます。ヨガの専門用語ではない、社会の共通言語でヨガやヨガの効果を話すことができる、ヨーガ療法士は、社会とヨガとの架け橋になれる専門家です。

 体の部分、ヨガのポーズも、高血圧、めまい、緑内障など下を向かない方が良い人がいる場合は、下を向くポーズは選ばず、リラックスが不適切な不安の強い人にはリラックスを深くさせないようにヨガのプログラムを提供します。身体的にできないことがあったら、それはやらずにプログラムを作ることができます。
 心の状態によっても、提供するポーズ、呼吸法、瞑想を変えます。

ヨーガ療法は、対症療法的に行うのではなく、心身相関で行っていくというのが、大きな特徴の一つでもあります。

より多くの人にヨーガ療法のことが伝われば嬉しいです。

私は、人の進化や気づきに携われる、このヨーガ療法士という仕事に誇りとこだわりを持っています。

そして、ヨーガ療法士養成講座の講師として、ヨーガ療法士の輩出にも力を入れています。

*前期(YIC)はヨガインストラクター養成講座、後期(YTIC)はヨガセラピスト養成講座です。講座の主催は日本ヨーガ・ニケタンです。

*一般的に使われる用語には「ヨガ」を用いていますが、名称が決められている言葉には「ヨーガ」を用いていますが、意味は一緒です。

*ヨーガ療法士の方、YIC、YTIC受講中の方で、SNS、HP等でヨーガ療法の説明に、この文章を使いたいという方は、使っていただいて良いのですが、ヨーガ療法は時代とともに進化していきますので、ここに書いた内容が、その時のヨーガ療法と合致しない可能性もあるので、一度ご連絡ください。
無断転載は、ヨーガ療法学会の倫理規定に則り対処させていただきます。


#私の仕事

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