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ラストオブアス2の感想や批評に対する反論のようなもの(完全にネタバレ)

 僕もオタクの端くれなので好きな作品について語るのは好きである。しかし、感想文やお気持ち文章を書くことはなかった。今回このような文章をダラダラと書き綴ろうと思ったのは、好きな作品が貶されるのに腹が立ったし(実際はアンチがうるさいだけで大きな批判は目にしていないのだが)、実際に自分での思いをまとめてみることが単純に面白そうなのでやってみようと思った次第である。あとはリフレインする感情をまとめることで、このゲームに対するクソデカ感情を整理したいと思ったのだ。

1. ストーリーが賛否両論とのことだが何が文句あんのか実際不明
批判のそれを簡単に書くと、「ジョエル(前作主人公)があっけなく死んだ」「アビー(第2の主人公)に感情移入できない」「主要キャラがあっさりと死ぬ」に分けられると思う(多分ね)
① ジョエルがあっけなく死んだ
 これはエリーがメインキャラとなるという事前情報を仕入れていたゲーマーならなんとなく予想していただろう。(というか死ぬものだと思ってたし、発売前から分かっていたことではないか?)ジョエルは拷問を受けエリーの目の前で死んだ。これはエリーと前作をプレイしたゲーマーに強い衝撃とトラウマを与えただろう。この事件を契機に復讐の物語が始まっていく。ジョエルとトミー(ジョエルの弟)が感染者に襲われるアビーを助けたのに、恩を仇で返すのか!と憤りを感じるだろうし、それは至極全うな感情だろう。ここでプレイヤーが気づくのはアビーの中に存在する巨大な復讐心と狂気である。自分のピンチを救ってくれた恩人だとわかっていたとしても、ジョエルを殺さなくてはならない強い感情にプレイヤーは息をのむことだろう。
② アビーに感情移入できない
 これはエンディングまで正しくプレイしていない人の感想だと思う。アビーの父親はファイアフライという前作の組織の一員でジョエルに殺された。エリーは抗体を持っているがワクチンを作るにはエリーの脳髄が必要であり、それすなわちワクチンを作ることはエリーの死であった。ジョエルは絶望の世界での一縷の希望と少女の命を天秤にかけて、エリーの命を守ることを選択したのだった。(話はそれるのだが、ワクチンが完成したところでその恩恵を受けられるのは一部の権力者だろうし、ワクチンをめぐる戦いは必ず起こるだろう)
 アビーの物語は父親との思い出から始まる。復讐者である彼女も父親を大切にする少女だった。病院の廊下から始まり父親の死をみる夢、フラッシュバックを度々繰り返す彼女をみて、アビーに対する復讐心が募る一方でアビーの心境についてもプレイヤーは考えていくようになっていく作りになっている(なれよ)。
 アビーが劇場でエリーを追い詰めるシーンで、エリーをなぜ自分の手で傷つけるのか、プレイヤーはかなり葛藤すると思う。この段階では自分もエリーを殺したくない、上腕二頭筋で絞め殺したくないと思っていた。ここで、自らの意思でボタンを押すことが彼女たちの運命を変えていくのだと再認識させられる。選択式のアドベンチャーゲームでもないのに、自らの選択について考えさせられるのがすごいと思う。しかも緊迫する戦闘の中でだよ?「手に汗握る戦闘」をプレイングの難しさではなく(2、3回失敗したけどさ)ストーリーの重さで表現させるのがやっぱり神だと思った。
 まとまりのない話になってしまったが、『アビーに感情移入できない→アビーに感情移入しなくてもいい』のだと僕は思う。父を思う姿、姉妹を救い、心のどこかで贖罪を求める姿、高所恐怖症が可愛いとか(ちょっとした高いところでビビる)彼女も過酷な世界で生きる少女の一人なのだと考えさせられる、丁寧な作りだと僕は思う。逃亡姉妹への思いについてはもうちょっと考えていく必要あるので、後でまとめていきたい。

※余談…正直僕はアビーの仲間たちには感情移入できなかった。
・エリーでアリス(犬畜生)を簡単に殺した後でアリスとのふれあい体験をさせるのはマジで鬼畜だなと思った。
・孕ませ幼馴染はなんなんですかね…アビーの捨てようとしていた恋心を利用して逃亡に加担してもらおうと思ったのかな?嫁がいるのに無茶すぎんだろ…
・その嫁はまあ…選ぶ男を間違えただろうね。医者なんだからギャングの中でも安定した仕事ができただろうに。
・トミーに殺されたチャラ男もこれといった感想なし。トミーじゃなくてもその辺で死にそう。
・エリーに殺されたドレッド女もバックストーリーあんのかな?ジョエルに対する暴言を吐いたのちにあっけなく殺されるわけだけど、エリーとプレイヤーの神経を逆なでするための存在だったらかわいそうですね。
③ 主要キャラが簡単に死ぬ
 マジであっけなく死ぬ、孕ませ男達からギャングの親玉、懸命に助けようとして快復したキャラまであっけなく死んだ。この辺は昨今の海外ドラマとかでもありがちだと思う。(みたことないけど)極限のサバイバル環境では、人命は軽視されることなんて日常茶飯事なんだろう。
 簡単に死ぬのは主要キャラだけじゃなくて敵対組織の人間NPCも同様だ。ナイフで死ぬ、上腕二頭筋で死ぬ、感染者に鉢合わせて死ぬ、設置爆弾で死ぬ…などと敵対組織に集団で襲われるとたまったものではないのだが、順番に処理することで戦闘はぐっと楽である。NPCは死んだ仲間を見つけると名前を叫び、激昂したり罵声を上げたりする。何気なく殺したNPCにも仲間がいて、語られないストーリーもあるのかもしれない。これは人間戦の最初から一貫していることで、「殺しているんだ、殺されもするさ」的な考えの導入となっていると考える。話は少し逸れるのだが、エリーが南海岸でラトラーズ(ギャング)の罠にかかり吊り上げられるシーン。あれは故意に殺そうとしたわけじゃないんですよね。感染者の罠だったり捕虜にして奴隷として使ったり、そのまま生きる罠として利用しようとしたのでしょう。しかし、エリーは吊られた反動で腹に木の枝が刺さって致命傷を負ってしまう。(腹に致命傷を負っても死なないのは前作ジョエルのセルフオマージュだよね)
 なにが言いたいかというと、他者の介入はあったにせよ事故で死ぬってことはどんなときでもあり得るってことだよね。人は簡単に死んでしまう。


2. 確かに全体的に暗いので万人受けはしないのはある
 年齢制限あるしね…プレイする前に情報仕入れて、どうぞ。ただ暗くてグロいゲームなんだと思われたくないのでもうちょっと駄文を書こうと思う。

3. 前作から一貫した「愛」のテーマは変わらない
 EDは切なかった。ディーンとの新婚生活をしていた家は綻び自分の荷物以外空っぽになっていた。ジョエルの形見であるギターを弾こうとするも指を失い依然のようにギターを弾くことはできず、形見を廃墟に残して去っていく。エリーは痩せてはいたけど傷ついてボロボロってわけではなかったので、ジャクソンに戻ったりディーンには会ってたのかなと考えている。一人残されたのではなく、ジョエルへの思いを廃墟に残して、今の生き方を受け入れて進みだすEDなのだろう。エリーは自分の役割、生きる理由を抗体保持者であることに依存していたが、ジョエルにそれを否定された。ジョエルを理解できないエリーは苦悩し続けたわけだが、それでも生きていてほしいという思いを受け入れて進みだしたのだ。心にざらついたものを残しながらもいいEDじゃないか…。
・今回も親子愛を描いた作品だと思う。思春期のすれ違いだったり、感情を直接伝えられない不器用さだったり、少女の数年ごとの成長の変化も繊細に作っている。
・同性愛の件はどうでもよくない…?前作もホモおじさんいたよね?てかディーンとアジア男の性別が逆だったら物語進まなくね?
  
4. ゲームは体験するエンターテインメントだと再認識した
 僕はRPGのエンディングが苦手なタイプだ。この世界にまだまだ浸っていたい、愛すべきキャラクターの物語が終わってしまうのがつらい…と考えてしまいなかなかラスボス戦に進めないタイプだ。しかし、この作品はまったく逆の思いだった。彼女たちの結末を知りたい…これ以上彼女たちを苦しませないでくれ…と祈りながら後半はプレイしていた。
 海岸でエリーとアビーが満身創痍で決闘する最終戦。これ以上戦いたくない、自らの行動が彼女たちにトドメを刺すのだと思うと滅茶苦茶つらかった。この感情は実際プレイしないと湧かないだろう。映像がきれいで話が良いなら映画でいいじゃんってなる。ラストオブアス2がゲームとして至高なのは体験によって生まれる感情が素晴らしいからだ。なのでこのゲームが気になる人は実際にプレイしてみてほしい。まあ、こんな駄文を読んでゲームを始める人なんていないだろうけどね。もしも見てくれた人がいたら、ありがとう。

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