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The Smashing Pumpkinsのメランコリーな10曲そして解説

90年代のグランジブームの真っ只中は、仕事をしながら、ずっと、これまで以上に洋楽を聴いていました。時代はグランジバンドと同じ。

なぜか、私も一緒に、デジタルデザインで世界制覇して行こうと、渋谷の夜景を眺め「我が街!」などと独り言をいい世界征服の首領になった気分で盛り上がって仕事をしていました。

まあ、要は、全くセリフとは逆の空間にいて、グランジバンドの方々は本当に世界制覇しましたけど。

グランジ四天王、Nirvana、Peal Jam、Soundgarden、Alice In Chainsとなりますが、当時の私の中では、Nirvanaは期間が短い、Peal Jamは日本では人気がなかった、Soundgardenは少々遅れたデビューとハードロックすぎ、Alice In Chainsもメタル寄りかなーっていうことで、最終的にThe Smashing Pumpkinsだよねっ!と、悦に入って聞いていました

The Smashing Pumpkinsの魅力はメタルやハードロック、パンク、近いとすればシューゲイザーで、オルタナですが、スタイルはグランジだったと思っています。

渋谷にいる人達から見れば、The Smashing Pumpkinsはオシャレだし、可愛い音楽もあり、キラキラしている!そんな独特な考えから、Pumpkinsをいそいそと観にも行きました。2回目の来日だと思いますが、IHABILLYのツインギターの歪みのある爆音で演奏するのは本当に爽快だし、そこにJIMMYのこちらもパワーな爆音ですが、結構な手数の多い腕のいい技巧派の音が2人の後ろから聞こえてくる。JIMMY、今回はツーバス採用していましたね。

今はすっかり悲しいですがD'arcyもいて、D'arcyはクールでカッコいいし、ファッショナブルで、4人は良かったなーと。

The Smashing Pumpkinsは楽曲が、他のグランジにないPOPさ、音のキラキラ度にメランコリックな曲。ハードで爆音、劈く歪みギター音、メロウで、ブルーで、ダウナーで、デプレッションで、メランコリックな曲が魅力の1つでもあります。

今回はThe Smashing Pumpkinsに新たに女性ギタリスト選考からKiki Wongが加わり、ワールドツアーに出ている記念で、メランコリーな10曲を選びました!

この選曲はPumpkins活動期の1988–2000までのステジオアルバム以下からです。※筆者リアルタイムで各アルバム購入したリアル体験ファンです。音楽雑誌を読んだり、各方面の番組などを見聞きしております。サブスクで記事を書くためではありません。ご理解ください。

  • Gish (1991)

  • Siamese Dream (1993)

  • Pisces Iscariot (1994)

  • Mellon Collie and the Infinite Sadness (1995)

  • Adore (1998)

  • Machina/The Machines of God (2000)


では、行ってみましょう!


10. Blue Skies Bring Tears

アルバム『MACHINA/the machines of God』(2000)から、このアルバムでバンドは一旦解散をします。

メンバーはIhaBillyJimmyD'arcyでしたが、レコーディング中にD'arcyが脱退。時代もKoЯnLimp BizkitなどのいわゆるNu Metalに人々の心が動き、アルバムに音にヘヴィさがなくなったと。

最終的にこのアルバム後、バンドは解散しますが、2004年のBillyのインタビューで原因は実はIhaの脱退という事でした。

まるでビートルズのポールの脱退が解散の原因だったという衝撃にも近いドンデン返しですが、D'arcyの脱退でも、アルバムセールの不振よりもIhaだけはどうしても代わりがいないとうか、修復不可能な限界点と言いましょうか。

解散宣言は『MACHINA』のリリース前に宣言しますが、この当時、やはり雑誌でこの一連の流れを読んではいましたが、日本からというか単なるファンだと「あれよ、あれよという間」でしかないので、海外のファンは辛いです。

こうして沢山の未発表曲と共にPumpkinsは終了しますが、このアルバムを聴いた時は、確かに1曲目あたりは「昔のPumpkinsだー」と思いました。そうそうこれなんだと思いましたが、どのバンドも「流行り」「新勢力の勢い」に流されて行った2000年。

この曲はそんな混沌とした、週末感、終焉な感じのする音楽で、当時はこれで終わりだとはわかっていましたが、なんかよくわからなかったです。

ザ・メトロでフェアウェル・コンサートの件は覚えてます。日本からシカゴに行きたいと思いましたが、治安が日本と違いすぎますから、どうしても無理と断念しました。


9. For Martha (Mono)

For Martha」はアルバム『Adore』(1998)に収録されていますが、本日は2014年にリリースされた『Adore』のリイシュー版の2枚目の「Adore Mono Remastered」からのヴァージョンを選んでみました。

ベッタリな感じですが、エッジが聞いた音に聞こえます。これ(Mono音源)が良いという人もいますが、私は立体感のある音(Stereo)がいいいです。昔の音がグルグル回るのは本当に楽しいというか、心が乱されます。

この曲はピアノが印象的で「鬱」よりも「美しい」という感じの曲なのですが、各アルバムからということなので、10位です。

流れる様なギターソロも感動的。


8. Take Me Down (Remastered 2012)

アルバム『Mellon Collie and the Infinite Sadness(メロンコリーそして終りのない悲しみ)』(1995)から

2012年のロッキンオンWEBのニュース記事にBillyが「『メロンコリー〜』はニヒリズムと感傷と破格の希望とがいびつに組み合わさった作品なんだ。あの世代はあの時、そんな場所にいたんだよ」とインタビューに答えています。

この曲はそれでもまだ夢の世界を浮遊する様な感じのうっとりするロマンチックなで、フワフワした感覚の音楽で、まだ希望の音があります。


7. Obscured (Remastered)

アルバム『Pisces Iscariot』(1994)からの曲です。

このアルバムはB面などを集めたコンピレーションアルバムですが、当時は寄せ集め的ではありましたが、1st、2ndからの曲なので、「続き」というか3rdアルバム的な感じもしました。

このアルバムのタイトルは「Neptulius」になる予定だったそうですが、この「Neptulius」はのちにBillyのソロで曲のタイトルとして登場します。

この曲はアコースティックなサウンドで、タイトルはPink Floydのアルバムを思い出しますが、なんとなくボンヤリした、曖昧さが、鬱っぽい曲という感じで選んでみました。

しかもちょっとスリリングな危うさを感じる、アンニュイ曲です。

Through these eyes
I rely on all I've seen
Obscured, through these eyes
It looks like I'm home tonight

この目を通して、私は見てきたものすべてに依存しています
あいまいに、この目を通して、今夜は家に帰ったみたいだ

特に何も考えないで訳すると上記の様な感じですが、なんだかタイトル通り「あいまい」っていう感じ。

非常に良い曲で、確かにちょっとPink Floydっぽいかもしれないです。狙ったかは知りませんが、それにヴォーカルが違うので。一段とBillyの甘々な声がいいです。

この曲は『Gish』のレコーディング中に書かれたもので、「Lull EP」収録予定の曲で、本当はシングルになるはずだったとBillyは語っております。

このアルバムは結構良い曲が多くて、これだけでもスタジオアルバムとしてもリリースしても良かったかもです。


6. To Sheila

アルバム『Adore』(1998)からの曲で、

商業的な失敗作と言われていますが、実際のチャートランクは上位ですし、個人的には、このアルバムも普通に良かったと思うのですが、Billyが語ったことによると、『Adore』は「A Door」をもじったもので、このアルバムがバンドのキャリアに新たな入り口を与えることを意味していたとのことで、「アコースティックアルバムと言っておけば良かった」ということです。

それもそうかもという気もしなくないですが、当時、こういう音でヒットしていた曲が多かった記憶です。

Today」「1979」がヒットしたことなどの路線変更、3人になって寂しさはありましたが、MVから見るIhaのコンビニ店員の演技も良かったですし、D'arcyも一段と摩訶不思議に、Billyの怪演など、ウチらの知っていたカレッジバンド、グランジからグッと突き抜けた感で良かったです。

この曲は『Adore』の1曲目で、アコースティックで始まり、そのまま終わるという、シンプルな曲です。


5. Daydream (Remastered 2011)

アルバム『Gish』(1991)からの曲ですが、「Daydream」は、白日夢、白昼夢、空想という意味もあります。

この曲はMy Bloody Valentineの影響を受けているとリマスター時のライナーで語っていますが、D'arcy Wretzkyの唯一のリードヴォーカル曲です。

今でもD'arcyPumpkinsを観たいというファンの悲願もありますが、今だに夢かなうことないままです。

この曲のエンディングは弦楽団の演奏で終わりますが、この曲は隠しトラックがあり、90年代には隠しトラックが普通にあって、長い長い沈黙の後にいきなり大音響でハードな曲が始まるのが多々ありました。この曲の後に始まる「I'm Going Crazy」(2:07〜)はこんな歌詞。

i'm going crazy
i'm going crazy
i don't want feelings
your feelings

i have gone crazy
motherfuckin' crazy
i have gone

こんな感じで、まあ本当に「おふざけ的な」レコーディングとライナーで語っています。


4. To Forgive (Remastered 2012)

アルバム『Mellon Collie and the Infinite Sadness』(1995)から

この曲は結構人気曲なので、上位に上げたくなかったのですが、順位やアルバムの有名度などのバランスを考えるとどうしても、微妙な位置になってしまいます。

この曲は以下の歌詞から始まります。

Ten times removed
i forget about where it all began
10 回目が経ち、すべてがどこから
始まったのか忘れてしまった。

過ちを「許して忘れる」言葉からの曲で、あれこれ思い出しては葛藤し、自分を許していく感じが曲の情景に出ています。地味ですがなんとなく「あ、そうなのか」と納得し、心に染み入る曲です。

ドラムの音とブレークで「はっ」としますし、カチカチと時が進んでいくようです。しかもベースアンプの不調の音も入っていて、それが一段と感傷的な、心の中を表現しているように効果的に聞こえます。

結構、淡々とした曲ですが、いい曲です。



3. Luna (2011 Remaster)

アルバム『Siamese Dream(サイアミーズ・ドリーム)』(1993)からの楽曲「Luna」はローマ神話では月の女神、ラテン語で月という言葉になります。

この曲はロンドンで書かれた曲で、Billyは当時のパートナーと口論となり、不安定な心からこの曲を作ったそうです。

なのでリフレインはずっと以下です。

I'm in love with you
I'm in love with you
I'm in love with you, ooh
I'm in love with you (So in love)
I'm in love with you (With you)
I'm in love with you, ooh
I'm in love with you (So in love)
I'm in love with you (I'm so in love)
I'm in love with you, ooh (With you)

思わず、「大丈夫?」と言いたくなるほどの繰り返し。そんなになるなら何故に口論?と思うのですが、1つ前に戻って「許して忘れる(To Forgive)」ですか。

当時のパートナーはおそらく、Courtney Loveのことで、なんかもうこれはキツいっすよねって流石の私も思ってしまいました。

とはいえ、Billyは「この曲は月のための曲で愛する人の歌にはなり得ない」とライナーで語っています。

つまり「Luna」は英語で月はMoonなので、ある意味、Moonの隠された意味で精神異常者、狂人にもある、心が張り裂けそうなほど、心が乱れてしまったのかもしれない、そんな狂気な心情だったのかなと。

憂鬱で寂しいです。


2. Rhinoceros (Official Music Video)

アルバム『Gish』(1991)からです。

この曲を1位にと思っていましたが、1位の方が通り的に有名かつアルバムセールスが上だと思い、この順位です。

とはいえ、私的にはこの曲はとてもPumpkinsらしい曲と思います。

当時の音楽雑誌で見るバンドは4人が大変かわらしい容姿でにこやかに笑っているものでしたが、メタルやパンクのバンド写真にはない「かわよ」さが誌面から溢れていました。

歌詞は「Panda show」で「Planned Show」ではない様で、2018年のLiveではハッキリPandaって言ってますが、Panda Showの何が問題なのかちょっとよくわかりません。どっちかというとパンダのショーを見るって空虚で虚無で、メランコリーな感じ。

それにこの曲は一番長く演奏されて続けている曲で、90年代のシューゲイザー、ドリームポップの王道という曲だと思います。



1. Disarm (Official Music Video)

アルバム『Siamese Dream(サイアミーズ・ドリーム)』(1993)からの曲ですが、正直、メランコリーな曲の1位は「Rhinoceros」にと思いましたが、アルバムの完成度の高い『Siamese Dream』からの楽曲であるこちらを1位にしました。

正直、この歌詞の方がカッコいいと思います。

Disarm you with a smile
And cut you like you want me to
Cut that little child
Inside of me and such a part of you
Ooh, the years burn

笑顔であなたを武装解除する
そしてあなたが望むようにあなたを切ります
私の中にいるあの小さな子供を切り取って、あなたの中にいる
ああ、年月は燃える

「笑顔であなたを武装解除」は何かオタクなアニメっぽいのでとても素敵なのですが、次の歌詞でBBCから放送禁止になりました。理由は「中絶」を意味するからだそうです。

「私の中にいるあの小さな子供を切り取って捨てろ」

The killer in me is the killer in you, my love
I send this smile over to you

私の中の殺人者はあなたの中の殺人者です。 愛しい
あなたにこの笑顔を送ります

このコーラス部分がわかると子供だった少年が老いたとあり、かつ、「中絶を申し渡した男性と中絶をする女性」が「殺人者」であり、そのことに笑顔だそうです。

確かにこれだと、少年だった男性が女性に中絶を的にも読めますが、Billyは「殺したいほど憎いんでいた両親に対する復讐の曲」だそうで、4歳の時に離婚した両親への曲だそう。

ああ、こわかったです。

このアルバム制作時は多くのプレッシャーからバンド内では様々な問題が噴出し、Billyもプレッシャーからセラピーに通うなどの状況で曲を書いたと言われております。

本当に憂鬱だったのかもしれないですし、辛いけれど、バンドとして、もっと上をと思うのもわかります。


最後に最新情報として、The Smashing Pumpkinsはギタリストを加入させてツアーを行なっております。

新ギタリスト公募に1万人以上応募 キキ・ウォン起用、だそうです。


と言うことで、今回の「The Smashing Pumpkinsのメランコリーな10曲そして解説」の記事でした。


次回予告ですが、『Definitely Maybe』デビュー作の30周年記念のツアーにとありましたね。うーん、3回目の『シド・バレット「ひとりぼっちの狂気」』の映画鑑賞に突入とか、またSydの楽曲ランキング、50曲、再びメタル、英国ロック、Kula Shakerの『Natural Magick』のツアーは重要案件とかありましたが、うーん、どれでしょう?


この先もまだまだ続きます。


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