見出し画像

スキナモノ・コレクション

「趣味はなんですか?」
という質問に答えづらい人だ。

聞かれる度に、毎回「えぇっと…」と逡巡タイムが挟まる。「結構好きなものが多くて…」と続く。
「読書も好きだし…手芸とかも好きだし…ゲームも…アニメとか、動画とか…」
そんな感じでいつも馬鹿正直に好きなものを並べて、相手に話題を繋げてもらうことに期待することになる。
挙げたものの中に共通の話題があればラッキーで、無ければ「多趣味なんだね」で話が終わってしまう。
私の受け答えが下手なせいで気まずい空気にしてしまった、と後から一人反省会を開いたことがもう何回あったか分からない。

飽き性で移り気、焚き火のようにひとつのことに打ち込んで燃え上がっては時期が過ぎればすぐに燃え尽きて(飽きて)しまう、自分のことが嫌な時期もあった。
推しについても、どんどんと新しい人を好きになっていってしまうから、「この人が好きって言っていたのにもう別の人なの?」と周りに思われるのが嫌だったし、すぐに別の人に夢中になれてしまう自分が信じられないとも思っていた。

2年前くらいだろうか、あるツイートを見て、考え方が少し変わった。
そのツイートには、手書きの棒グラフに添えて
「推し以外は好きじゃない訳じゃなくて、推しがたくさんいる中に最推しがいるの」…と、
原文ママではないけど、そんな感じの内容が綴られていた。棒グラフ上にはピンク色で他よりも明らかに長い値がひとつだけ示してあって、「今はこの人が好き!」という吹き出しがついていた。

それを見て、あぁ…!とスッキリしたというか、
私、これじゃん!!と思って、自分のもやもやに答えを貰えたような気がした。
私には好きなものがたくさんあって、自分だけの「好きなものを並べた棚」みたいなものが自分の中にあって、その中から「今はこれが好き」を選んでいる感じなんだ。新しいものを好きになったら元の好きなものを捨ててるんじゃなくて、棚に一緒に並べてるんだ。
そう思うようになった。
そう思ったら、「飽き性」から「多趣味」になれた。自分がお金持ち…じゃないけど色んなものを持ってる豊かな人間であるような気がして、自分の移り気なところも好きになれたというか、認められたような気がする。

だから最近は、冒頭の質問の答え方も身につけた。
「趣味はなんですか?」と聞かれたら、
「色々好きだけど、今はこれが好きです」と、
胸を張って答えればいい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?