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美しいものを見に行くツアーひとり参加 益田ミリ

旅エッセイ読みたくなっちゃったんだから。

初めて買った旅エッセイ。
買ったタイミングは覚えていて、大学時代丸3年間時間も体力も尽くしていたバイトを辞める直前。何かの用事を済ませてこれからバイトだーっていうときに寄った本屋さんで買ったんだったと思う。駅からバイト先に向かう道の間で読みながらちょっと涙ぐんだ覚えがあるから。

それまでの自分へのフラストレーションと、新しいことを初めてやるんだ!!!という気持ちと、プラスとマイナスの感情がばらばらに存在していて発狂しそうだった時期だった。「美しいものを見に行くツアー」「ひとり参加」の両方にときめいて、私もやりたい!!!って思ったら手に取っていた。

私にもエッセイって読めるんだ、とびっくりしたのが最初読み切ったときの感想だった。モンサンミッシェル憧れるなぁ…とか、本場のクリスマスマーケット行きたい…!ホットワインは飲まないけど…とか、ラプンツェルが好きだから軽率に天燈祭は行ってみたいランタン揚げたい…!とか、章ごとにワフワフしながら読み進めたはずなのに、読み切って閉じたあとの感想はそれ。今まで興味もなくて国語の本文で出てきてもつまらんなぁと思っていたエッセイを、自分で楽しんで読めたことにびっくりした。それを最愛の女に話したら(この本を押し付けたら買ってくれた)お返しにさくらももこさんのエッセイを勧めてくれた。たしかに、さくらももこさんのエッセイも短編集かなんかに載っていたものは楽しく読んでいた気がする。子どもの頃の記憶だけれども。
それから気に入って益田ミリさんの本は何回か買っている。旅ものばかりだけど。

渡り鳥に怖くないのかと思うミリさんの気持ちが、私の中のバイトを辞める前の足がつかなくなるような浮く怖さとリンクして、だからあのとき泣いたんだろうなぁと読み返してみて思った。
渡り鳥たちは自分は必ずこの海を渡れるんだと自信を持って飛んでいるのだろうか、何にも途中で羽を休める場所もない海の上で。思い返すと図々しくて恥ずかしいけど自分に重ねたんだろうなぁと。とはいえ今もなんだよなぁとか。いいえ渡り切りますよ、私はね。

旅の目的ってたべものとか、癒しとか、とにかくその地を踏みたいとか、色々だけど。「美しいものを見に行く」って堂々と掲げるの、いいなって。結局みんなそうなんだろうと思うんだけど、見たいものを見に行くってすごくシンプルで海を渡る理由として原始的でふさわしいよなぁなんて思ったり。これを読むとああ旅行きたいねって思う。ミリさんの着眼点とかすごく好きで、私も47都道府県全部行ってやりたいわって思ったくらい。未来の目標のひとつだなー。

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