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あの家に暮らす四人の女 三浦しをん

いつ買ったんだったか。
愛なき世界を買った頃と近かった…はず。一緒に買ったんだっけ?いやこれを買うのと一緒に新書を一冊買ったような気がするんだよな…それがどれだか覚えていないのだけれども。

三浦しをんを読むといつもアニメ化に向いているなぁと思う。実写化でもいい。表現がどうも三次元的な分かりやすい図が浮かぶような描かれ方をしているような感覚。デフォルメされている感。批判するつもりは無いんだけど、ナチュラルな人間の動きってそうじゃないよなぁとか。今回で行くと、鶴代が白髪をお団子に結って朝ごはんを作っているとかサザエさんのおフネさんかな?みたいな設定がすごく丁寧に描写されているところ。そこそんなディティール要るかなみたいな。でも読んで光景が浮かびやすい文章って読みやすい文章だし、上手でもあるということだと思うので、そこが魅力と捉える人は多いんだろうなぁと。だから三浦しをんを読むといつもなんとも言えない不思議な気持ちになる。

最後まで読んでタイトルをもう一回読み上げると腑に落ちるのがいいよね。なんでそんな他人事みたいな言い方なんお前誰や、みたいなふわっとした違和感がするっと形になってカチッと嵌る。あーなるほどね、っていう納得感が気持ちよい。急に神視点が(しかも二回も!)登場したときは本を閉じようかとも思ったけど、まるっと綺麗に収められちゃったからまぁいっかと最後まで読み切ってしまったよね。鶴代さんみたいな人に死ぬほどイラついてしまう類の人が身近にいるなぁと思いつつ、箱入り娘中まで鶴代さんの気持ちもわかってしまう私も何だかなぁ反面教師だなと思いつつ、それでも四人もいると楽しいだろうなぁと一貫して羨ましかった。タイムリーに立憲民主党が掲げた同性婚の法改正の話がトレンドに上がっていたけれど、「婚」に価値を置く以上たぶんそういうことじゃないんだよなー感はずっと抱えている。私は最愛の女と一緒に暮らせたらそれでいい、と思っていたけれど最近はそれを周りに普通の事だと認めて貰えたら、って欲がほんのり出てきたのは、兄の結婚のせいだと思う。愛しさ溢れてますって顔するだけでいいなら私にだって出来るのに、同じように愛しくて一緒にいたい相手は私にもいるのになんて考えていた。卑屈が過ぎる。同性と一緒にいる方が楽に決まってるんだから同性婚なんて認めたらいよいよ異性と結婚するなんて面倒なことをする人間は減って出生率が下がる、とか一生懸命語っている人がいたけど、申し訳ないけどちょっとくすって笑ってしまった。ちょうどこれ読んでたもんで、あぁそうかもね、って普通に思ってしまったから。今でさえ偽装婚(みたいなドラマあったよね?)とか、恩恵だけ受けるために届けだけ出して同居もしない仮面夫婦とか普通に存在していて、同性婚の法制化はそれに拍車をかけるだけっていうのはそうなのかもしれないね。今年度の出生率の話もタイムリーな話題ですし、何か色々重なりすぎてるな。

一般的な恋愛とか、結婚とか、私の中には本当に全然無いものだから、それが出来る人達は本当にまじですごいって思っているし、子を為すことって命懸けの尊くてすごい行為なんだと思っているけれど、自分がそれをできないしたくないなのが分かっているから、それができる人たちをもっと褒めてあげてほしいとは思う。子どもが好きなのに子どもは産みたくないってもしかしてすごい矛盾ですか?私。なんか話が逸れちゃった。三浦しをんを読んでいると恋愛に関する話題が出たときに「違うそうじゃないんだよーーー!!!!」って叫びたくなることが多いんだけど、今回はうん分かるなぁ、って思うことが多かった。私は雪乃に賛成。もし私が実家を継いだら最愛の女を呼んで住んでもらう妄想までしちゃったもん。お洒落な洋館じゃなくて農家の平屋だけど、最愛の女と一緒なら庭の手入れも畑も縁側の掃除もやるわって。でもそういうことだよね?違う?

そういえば若草物語じゃなくて細雪だった。読んだことないんだよな…てか牧田って蒔岡から来てるのか。すごい、今気付いた。谷崎潤一郎はちゃんと読んだことが無いな…こんなこと言うとあれだけどあんまり好みじゃなさそうで。細雪はよく聞く名作だし今度読んでみるか。

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