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小2の時、クラスの男子に「笑った顔やば笑」と言われた時からずっと、自分の笑顔は人を不快にさせるという事を忘れないようにしている。

笑う時、今目の前にいる人を不快にさせていないか、とても不安になる。

お散歩に行く時、コンビニへ行く時ですら自分の不細工な顔で誰かに不快な思いをさせてしまうのが怖くて、最低限のメイクをしている。

私はこの顔のせいで人を不快な気持ちにさせてしまうので、人よりも早くお化粧を覚えなくてはいけなかったし、自分の顔の何が、どういった理由で「やばい」のか、今でもずっと見逃さないように一生懸命、毎日、まいにち、探している。

重たいまぶたを無理やり押し上げて二重にして、
小さい目をこじ開けてカラコンを入れて、
レーザーでそばかすを消して、
スカスカのまつげにエクステをつけて、
変な形の眉毛を無理やり細くして、
痛みに泣きながら耐えて歯列矯正をして、
それでも、どうしても、自分の顔が人を不快にさせているかもしれないという恐怖心は消えない。

両親や祖父母から「こんなに可愛いのに」と言われる度に、心が痛くなる。

今度の卒業式に袴を着るので、せっかくだからという両親の意見で袴姿で前撮りをする事になった。
撮影時、私はいつも写真に写る時のように口角を少しあげた表情で撮ってもらった。
しかし、自然な表情も撮ろうと言うカメラマンの方に面白い事を言われ続けたために、笑顔の写真も撮られてしまった。

その後、撮った写真の中からアルバムに載せる写真を選ぶためにカメラマンの方と相談しなくてはいけなかった。

つまり、自分の人を不快にさせる笑顔を見なくてはいけないという事だ。

とは言っても、目を瞑ってしまっているような写りの悪い写真は事前に排除された状態で写真を選ぶので、「プロのカメラマンさんだし、もしかしたら笑った顔でもいい感じに撮れてるのもあるのかもしれない」と密かに淡い期待を抱いて写真を選ぶ部屋に入った。

何百枚とある写真の中からより写りが良いものを選んでいく。

最後まで、私の笑顔の写真が出てくることはなかった。

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